舞台あいさつをおこなった北口ユースケ監督、朝比奈めいりさん、並木愛枝(なみき・あきえ)さん、ドヰタイジさん、井之上チャルさん、平田理さん(左より)
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過去に虐待を受けた少女を主人公に娘と母の関係を描く『彼岸のふたり』が2月4日に池袋シネマ・ロサで初日を迎え、主演の朝比奈めいりさんと共演の並木愛枝さんら出演者と北口ユースケ監督が舞台あいさつをおこないました。
『彼岸のふたり』は、親からの虐待を受けて児童養護施設で育った娘とその母、マネージャーの子どもを妊娠してしまったご当地アイドルとその母というふた組の母娘の姿を通して、それぞれの環境で懸命に生きる女性たちの姿を描いた作品。大阪での先行上映や海外の映画祭への出品を経て、全国公開を迎えました。
これが初長編となる北口ユースケ監督は「この作品は、撮影したのは3年くらい前なんですけど、ちょうどコロナが流行りはじめたときで、撮影が始まった瞬間に緊急事態宣言が出て、何度も中断を挟んで、完成できないんじゃないかって何度も不安になったんですけど、今日ここにいる素晴らしい俳優をはじめいろいろな人たちの助けがあって無事にかたちにすることができました。そしてこうやって東京でも上映する機会をいただくことができて、本当にありがとうございます」と初日を迎えた心境を述べ、出演者とともに客席に礼をして感謝を示しました。
イロハサクラとEllis et Campanuleというふたつのアイドルグループのメンバーとして大阪を拠点に活動する現役アイドルで、児童養護施設で育った主人公・西園オトセを演じて初の映画主演をつとめた朝比奈めいりさんは「みなさんにこの映画を早く観ていただきたいなって撮影が終わってからすごくワクワクしていたので、今日、じっくり『彼岸のふたり』を楽しんでいただけると嬉しいです」とあいさつ。
過去にオトセを虐待しており現在も荒れた生活を送る母・西園陽子を演じた並木愛枝さんは「この作品でオトセがする決断というのは、現実的には難しいかもしれないですけど、多くの子供たちが親に愛されたいという気持ちを持っているということを、オトセが希望と勇気を持って叶えてくれたような感じだと私は受け取っています。どうぞ最後まで、ひとりの少女の人生を見届けてください」と、メッセージを伝えました。
劇中では一度も役名が出てこないソウジュンを演じたドヰタイジさんは、自身の役を「ずっとオトセのそばにいて成長を見届けるというような立場の人間です」と紹介した上で「いま言ったことを上映後にどう感じられるかはみなさん次第かなというような、そんな映画でございますので、最後までゆっくりとご覧ください」と、上映前のあいさつとあってやや思わせぶりにコメント。
オトセが育った施設の職員・好井雅人を演じた井之上チャルさんは「この映画は、心持ちだったり、心情だったり、環境が違うと、また見方が変わってくる映画だと思いますので、今日観てくださって、明日とは言いませんが、数ヶ月後、数年後、なにか環境が変わったら観ていただけると、また違った映画に見えてくると思います。永く愛してほしいなと思っております」と作品への想いを。
劇中に登場するご当地アイドルグループ・タングルヘアーのマネージャーである浦田淳を演じた平田理さんは、担当アイドルと関係してしまう設定の役に「役的にはかなりクズな感じなんですけど(笑)」と笑いも交えつつ「北口さんの現場はいつもすごく楽しくて、こいつメチャクチャお芝居楽しんでやっているなというのを感じてもらえたら幸いです」と話しました。
『彼岸のふたり』は、室町時代に現在の大阪堺市に実在したと伝えられる遊女・地獄太夫の人生をモチーフとしており、主題歌にも地獄太夫を題材とした曲「地獄太夫」が使われてます。朝比奈さんが所属するグループ・イロハサクラが歌い、北口監督が「歌詞がすごく好きで、そこからインスピレーションを受けている」というこの曲を、公開初日の特別な趣向として、朝比奈さんが「歌わせていただきます!」とソロで披露しました。
また、公開の2日後の2月6日が朝比奈さんの21歳の誕生日ということで、歌い終えた朝比奈さんに北口監督がサプライズで花束をプレゼント。朝比奈は「ビックリ! ビックリしました!」と喜びを見せました。
北口ユースケ監督に贈られた誕生日祝いの花束を抱える朝比奈めいりさん
北口監督は最後に「ぼくはもともと俳優をやっていたんですけど、この作品はとにかくいい芝居を撮りたいという想いだけで突っ走ってきたというか、やりきった感じがありまして、それに賛同してくれたみなさん、朝比奈さんは初めての演技だったんですけど素晴らしい瞬間をいっぱい見せてくれたので、せっかく今日は大きなスクリーンですので、ちょっとした目の揺らぎだったり、指先の細かい動きとか、ほんとに細かいところまで作り込んで一緒に芝居を作ってきましたので、そういうところを注目して観ていただけると嬉しいです」と作品の見どころを挙げて舞台あいさつを締めくくりました。
シネマ・ロサロビーには劇中で使われた衣裳などを展示
舞台あいさつ登壇者のほか、ご当地アイドルグループとして活動する広川夢を演じる寺裏麻貴さん、夢の母親を演じる眞砂享子さんらが出演する『彼岸のふたり』は、2月4日土曜日より池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開中で、5日には上映後に並木愛枝さん、平田理さん、吉田龍一さん、北口ユースケ監督によるトークショーを開催。
ほか、3月4日土曜日より神奈川の横浜シネマリン、3月17日金曜日より京都の京都シネマ、3月18日土曜日より大阪の大阪第七藝術劇場、時期未発表で愛知の名古屋シネマスコーレ、兵庫の元町映画館など、全国順次公開されます。