超能力を持った探偵の活躍を描いた『エスパーX探偵社〜さよならのさがしもの〜』が４月29日に池袋シネマ・ロサで初日を迎え、主演の末原拓馬さん、共演の佐伯大地さん、秋月三佳さんらキャストと木場明義監督が舞台挨あいさつをおこないました。

　国内外の映画祭で高評価を受けた『つむぎのラジオ』（２０１７年）や短編から長編に発展した『サイキッカーZ』（２０２２年）などを送り出してきた木場明義監督の最新作となる『エスパーX探偵社〜さよならのさがしもの〜』は、東京の下町が舞台の“脱力系探偵”エンターテイメント。超能力を持つ探偵・松田聖人（まつだ・きよひと）が、ある依頼をきっかけに超能力者が関わる事件を追っていく姿が描かれていきます。

　舞台あいさつは初回の上映前におこなわれ、木場明義監督は「ゴールデンウィーク初日の楽しい日に、この映画を選んでいただいてほんとに光栄でございます」と、客席を埋めた観客のみなさんに感謝を示しました。

　超能力を持つ探偵・松田聖人を演じた末原拓馬さんは、たくさんの超能力者が登場する設定ながら「そんなに『アベンジャーズ』していなくて、ひじょうに下町情緒」の作品のため「突拍子もない世界を表現するような芝居をしなければいけないのかどうかなってことは、けっこう悩みはしました」とコメント。「最終的に、人間寄りにしたほうがいいなという結論に至り、むしろ柔らかく、すごく揺らぎとかが出るように」演じたと役作りについて語りました。

　超能力者を嫌う一方で松田に協力を求める刑事・南野洋一役の佐伯大地さんは、この作品では少数派の超能力を持たない役で「“ぼくは超能力使えないんだな”と思いました。だって、超能力の映画だったら超能力使いたくない？」と、残念な想いもあったよう。

　超能力者の藤村蘭子を演じた秋月三佳さんは、強力な力を持ちゴスロリ姿という設定の役に「観ていただいたらわかるんですけど、けっこうノリノリで(笑)」演じたと話しつつ、役作りにあたっては「ほんとに人間味を大事にして、まだ自分探し中の子みたいな感じで、ちょっとでも好きになれるキャラにできたらいいなと思いながらやっていました」と振り返りました。

　松田のもとを訪れる依頼人・増田未依役の松井りなさんは、タイトな撮影スケジュールで「監督がね、けっこう焦っちゃったり、不安そうな顔をしたりしているから、笑顔になってもらおうと思って」食卓のシーンで用意されていた芋煮を監督にアーンしてあげたという裏話を披露。「そのおかげで映画ができあがりました(笑)」と、芋煮が作品に意外な貢献をしていることを明かしました。

　ほかのキャストから木場監督の人柄を感じさせる発言が続き、事件を追う中で主人公が出会う青年・小泉恭平を演じた岩井拳士朗さんは「不器用な人が作る作品というのはいい作品が多いんです。あったかいんです。この作品もすごくあったかいと思います。現場も、時間がなかったりスタッフの数が少なかったり、けっこうバタバタしていたんですけど、その中でもみんな協力しあって、一致団結して、撮影進むごとにどんどん一丸となってチームみたいな感じになって作り上げた映画なので、ぼくはすごいあったかい作品だと思います」と、木場監督の人柄ならではの作品の魅力をアピール。

　木場監督も「楽しく観られる作品、エンタメ作品にしたい部分も前提としてありつつ、物語としては“喪失”をテーマにしていまして、物語を動かしてくメインの人たちはう誰か大切な人を亡くしていたりしていて、失ったものに対する行動のそれそれの違いとかを観ていただければなと思います」と、作品に込めた想いを語りました。

　舞台あいさつでは映画の内容にちなんでどんな超能力を使いたいかという話題も飛び出し、佐伯さんは「渋谷とか新宿に行くじゃん。人がいっぱいいるじゃん。ぼくが手を叩くと、人が全部家に帰る超能力が欲しい」。その能力があれば駅が混雑していても乗り換えが便利という佐伯さんに、ほかのキャストからは電車に乗らず移動できる力のほうが便利なのではというツッコミが。佐伯さんがさらに「ディズニーランドとかでもパーンてやったらみんな」と主張すると末原さんは「楽しくないよそんなディズニーランド(笑)」。
　また、岩井さんが暗記が簡単にできるドラえもんの道具「アンキパン」の能力が欲しいと話すと、末原さんが「アンキパンは俳優の夢だよね(笑)」としみじみ呟くなど、超能力の話題は盛り上がりを見せました。

　舞台あいさつは、登壇者ひとりひとりのメッセージで締めくくられました。

「超能力とか、アクションとか、謎解きとか、いろいろな要素が詰まっています。盛りだくさんです。ほんとに観ていて楽しくなれるような作品だと思います。気楽に観られて楽しく観られるという、ぼくはそういう作品がすごく好きなので、この映画を楽しんで帰ってください。あと、インスタグラムをやっていますのでフォローしてください(笑)。応援よろしくお願いします」（岩井拳士朗さん）

「私もこの映画がすごく大好きになったんですけど、もし面白いなと思ってくださったら、ＳＮＳに書いていただけたら私も見て“いいね”押しまくって、感謝して泣くので(笑)、ぜひ。そして、もしよろしければＳＮＳフォローしていただけたら嬉しいです(笑)。映画とか、今年とか来年とかどんどん出ていこうと思って作っているので、監督もやったりもしているので、これからもがんばりますのでよろしくお願いします。今日は本当にありがとうございます」（秋月三佳さん）

「監督が最初におっしゃっていた“ゴールデンウィークの初日をいただけて”という言葉は素晴らしいなと思って、ぼくもほんとにお礼が言いたいです。ありがとうございます。素敵な休日になるように一生懸命みんなで作ったので、こう見えて映画自体は面白いので(笑)、いい感じの具合なので、超能力の感じとか、ぜひみなさん楽しんで観ていただいて、２度３度、４度５度、劇場に来ていただけたら嬉しいと思います」（佐伯大地さん）

「本日はありがとうございます。とにかく映画を撮るのが非常に大変で、１週間で撮りきったところから、その前後とかずうとこのプロジェクトが回っていて、ほんとにたくさんの方に関わっていただきました。クラウドファンディングについても、みなさんご支援ありがとうございました。映画は、作ってからが勝負ということらしくて、これからどうやっていろいろな劇場でやっていただけるか、東京のみならず地方とかもスタッフのみなさんがいろいろと戦略を立てているそうなんですが、ひとえにみなさまがどれだけ盛り上げてくださるか、評判が上がるかみたいなことなんですよね。ぼくからも大事に大事に、一生残るものですから、この作品とともに生きていこうと思いますので、みなさま、今後ともこの映画をよろしくお願いいたします」（末原拓馬さん）

「みなさん初日に来てくださいまして、ありがとうございます。みんなこんなにワチャワチャ楽しい感じでやっていますけど、映画自体は……映画自体“も”、ワチャワチャやりながら、すごくシリアスなテーマもあったりもして、90分間ノンストップで心が忙しいと思うんですけど、楽しんでいただければと思います。あとは、松井りなの顔と名前を覚えていただければ、それだけで私は幸せです(笑)。とにかく、ゴールデンウィーク初日、きっとこの映画を観たら素晴らしい幕開けになると思うので、しっかりゴールデンウィークを楽しみながら、この映画も楽しんでください」（松井りなさん）

「ほんとにご来場ありがとうございます。先ほど佐伯くんからも言ってくれたように、ゴールデンウィークのいい時間を与えてくださって、シネマ・ロサさん本当にありがとうございます。なかなかない機会ですから、がんばっていこうと思っております。みなさんご協力をお願いします。もし面白いと思っていだけたら、ＳＮＳ等、レビュー等、盛っていただいて、大げさに書いていただけたら嬉しいです(笑)。ぼくたちが一段ランクアップして羽ばたけていくには、みなさんの力が必要でございますので、ぜひともよろしくお願いいたします」（木場明義監督）

　木場監督が愛する街・浅草を舞台に、軽妙でコミカルなタッチながら“喪失”を抱えた人間の生き方を真摯に描いた『エスパーX探偵社〜さよならのさがしもの〜』は、初日舞台挨拶登壇者のほか、新日本プロレスのプロレスラー・田口隆祐さん、アイドルグループ・でんぱ組.incの鹿目凛さんらが出演。４月29日より池袋シネマ・ロサにて上映されています。

　４月30日の上映後には、不良超能力者二人組・榊原育代役の當山美智子さんと柏原佳子役のいわたまありさんが、５月５日の上映後には町の事情に通じる男・西田光一を演じた田口隆祐さん、松田にある調査を依頼する早見優子役の橘美緒さん、超能力者の河合夏子を演じた鹿目凛さんが、それぞれ木場監督とともに舞台あいさつをおこないます。