数多くの映画祭受賞経験を持つインディペンデント映画界屈指のストーリーテラー・谷口雄一郎監督の最新作『あのこを忘れて』が、3月11日より池袋シネマ・ロサで2週間のレイトショー公開されることが決定し、メインヴィジュアルや予告編が解禁されました。
『あのこを忘れて』は、病気治療薬の副作用で別れた恋人のことを「忘れた」男とその恋人になりすまそうとする女、同じく副作用で愛する子どもを亡くしたことを「忘れた」妻と子どもがいなかったことにしようとする夫、ふた組の男女が大切な「あのこ」を巡り繰り広げる、切なくも希望を与える物語。
『あのこを忘れて』より。保坂直希さんが演じる瀬戸幸也(右)と相馬有紀実さんが演じる林美琴
監督・脚本・編集をつとめた谷口雄一郎監督は、日本映画学校在学中からフリーの録音助手として映画の現場を経験し、同学卒業後に執筆し伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2009短編部門大賞を受賞したシナリオを自らのメガホンで映画化した『純子はご機嫌ななめ』(2010年)で監督業に進出。同作で福岡インディペンデント映画祭2011の40分ムービー部門グランプリなど国内の映画祭で4冠を獲得、監督第2作『ゆびわのひみつ』(2012年)は札幌国際短編映画祭2013最優秀国内作品賞ほか国内外の映画祭で7冠を獲得するなど、コンスタントに監督作を発表し各地の映画祭で高評価を受けるインディペンデント映画界のトップランナーとして活躍しています。
その最新作となる『あのこを忘れて』は、シナリオ完成前より出演する俳優とのワークショップを重ね、半年以上にわたるリハーサルを経て制作された意欲的な作品。
心の傷を抱える夫婦を演じる石橋征太郎さんと木村梨恵子さん、「恋人同士」となるふたりを演じる保坂直希さんと相馬有紀実さんをはじめ、中村更紗さん、紫藤楽歩さん、壷田大貴さん、白畑真逸さんら、インディペンデント映画からメジャー映画、ドラマやバラエティなどでも活躍する気鋭の俳優陣が顔を揃えています。
『あのこを忘れて』より。石橋征太郎さんが演じる長門浩次朗(右)と木村梨恵子さんが演じる長門千紗
すでに各地の映画祭で上映されてきた『あのこを忘れて』が、観客の熱い支持に応えて待望の劇場公開が決定。
3月11日の公開を前に解禁された予告編では、緻密に構築された脚本と繊細な感情を描き出す演出、美しい映像の一端に触れることができます。
また、メインヴィジュアル(記事最後に掲載)は『ほとぼりメルとサウンド』(2021年)の監督・東かほりさんのデザインによるもので、作品へのイメージを掻き立てます。
その魅力的な脚本と演出でインディペンデント映画界きってのストーリーテラーとして注目を集めてきた谷口監督初の劇場公開作となる『あのこを忘れて』は、3月11日土曜日より、インディペンデント映画のメッカである池袋シネマ・ロサで2週間レイトショー上映されます。
『あのこを忘れて』ストーリー
ある病気の特効薬。その副作用は、特定の人を「忘れる」ことだった。
別れた恋人を「忘れた」男・瀬戸幸也。長年、幸也に片思いしてきた女・林美琴は、つい自分が恋人だったとウソをついてしまう。
最愛の子供を亡くしたことを「忘れた」妻・長門千紗。夫・長門浩次朗は、そのまま、子供がいなかったことにしようとする。平穏な暮らしを続ける彼らだが、歪みは少しずつ生まれていく。
それぞれの決断、そして、それがもたらす行く末とは……。
2組の男女と寄り添う人々が織りなす、悲しみと優しさに彩られた「あのこ」への物語──