詩と映画のふたつの世界で活躍してきた福間健二監督の最新作で監督自身が出演もしている『きのう生まれたわけじゃない』が11月11日より東京のポレポレ東中野ほか全国順次公開されることが決定し、場面写真3点と福間監督の企画時のコメント、福間惠子プロデューサーのコメントが解禁されました。
少女と老人の交流を描く福間健二監督最新作『きのう生まれたわけじゃない』11月11日公開決定
1949年生まれの福間健二監督は、詩人・現代イギリス詩の研究者として活躍。一方で高校時代から8ミリで映画を撮り1969年には16ミリ映画『青春伝説序論』を監督するなど、映画へも強い情熱を持ち、1995年に劇場用映画第1作となる『急にたどりついてしまう』を監督すると、2008年の『岡山の娘』以降、『わたしたちの夏』(2011年)、『あるいは佐々木ユキ』(2013年)、『秋の理由』(2016年)、『パラダイス・ロスト』(2020年)と、コンスタントに長篇劇場映画を発表し、詩と映画のふたつのフィールドで“冒険”を続けてきました。
その長篇7作目となる最新作が『きのう生まれたわけじゃない』。学校に行かない14歳の少女・七海(ななみ)と、妻を亡くした77歳の老人・寺田との心の交流を描いた作品となっています。
他人の心がわかる中学2年生の七海を演じるのは、これが映画初出演となる、くるみさん。幼さの一方で、力強くまっすぐとした表情を見せます。
そして、元・船乗りの老人・寺田を演じるのは福間監督自身。かつて若松孝二監督『現代性犯罪暗黒篇 ある通り魔の告白』(1969年)で主演をつとめたこともある福間監督が、自らの作品で俳優としての顔を見せます。
さらに、主演作『UNDERWATER LOVE -おんなの河童-』(2011年/いまおかしんじ監督)など多くの作品に出演する正木佐和さんが七海が心を許す女性・岬と寺田の妻・綾子を一人二役で演じるほか、七海と寺田が出会う人々を、映画監督としても活躍し本作で監督補もつとめる守屋文雄さんや、安部智凛(あべ・ともり)さん、蕪木虎太郎さん、住本尚子さん、谷川俊之さん、今泉浩一さん、小原早織さんら、個性豊かなキャストが揃っています。
福間監督は2023年3月に脳梗塞に倒れ、療養中の4月に肺炎により還らぬ人となり、病に倒れる前に完成させていた本作『きのう生まれたわけじゃない』は最新作であり遺作となりました。
公開決定にあたり、福間監督が制作段階で残していた企画意図と、本作のプロデューサーであり福間監督の妻である福間惠子さんのコメントが解禁されています。
福間健二監督による企画意図
いま、人々は、とりわけ弱い立場にある老人と少年少女は、生き方を見失っている者が多い。これから何をすればいいのか、展望が見いだせない。けれども、人は人に出会い、なにかを受け取り、与えあうことで、小さな希望をつかむことはできる。
東京郊外を舞台にした、近過去でも近未来でもあるような物語を通して、そういう主題を訴えるとともに、いままでの殻を破るような映画表現を追求し、そのなかに人々を招くような「対話」を実現したい。
福間惠子プロデューサーコメント
福間健二は、この地上にたしかな感触をもって生きることを底辺におきながら、詩と映画への冒険的な表現に果敢に挑戦してきた。本作では、探していた七海役のくるみに出会えた瞬間に、みずからが老人の寺田役を引き受けることを決めたのだと思う。20 歳で若松孝二監督『通り魔の告白 現代性犯罪暗黒篇』の脚本を書き主演してから 53 年後の、大きな挑戦だった。「主演作が遺作になるなんてカッコよすぎるよ、監督」とスタッフのひとりが言ったが、果たしてそうなのである。
公開決定に合わせて、くるみさん演じる七海のまっすぐな表情と、福間監督自身が演じる寺田、そしてベンチに並んで腰を下ろす七海と寺田の、3点の場面写真も解禁されています。
希望を持てない少女と、過去にとらわれている老人が、ふたつの人生が交差し、止まっていた時間が動き出す。
福間健二監督が若いスタッフとともに新境地に挑んだ『きのう生まれたわけじゃない』は、11月11日土曜日より、東京のポレポレ東中野にて公開。ほか、全国順次公開されます。
きのう生まれたわけじゃない
- くるみ 福間健二 正木佐和 安部智凛 守屋文雄 蕪木虎太郎 住本尚子 谷川俊之 黒田武士 高平よしあき 常本琢招 保志実都貴 西山慧 柴山葉平 村上僚 今泉浩一 小原早織 町屋良平(友情出演) 伊藤洋三郎(友情出演)
- 原案・脚本・監督:福間健二
- 撮影・照明:山本龍
- 録音・編集:川上拓也
- 美術:住本尚子/則武弥
- 音楽:福間健二
- ヘアメイク:浅野加奈
- スタイリスト:原早織
- 脚本協力・監督補:守屋文雄
- 助監督:厨子翔平/大城義弘
- プロデューサー:福間惠子
- 製作:tough mama
- 配給・宣伝:ブライトホース・フィルム
- 文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
- 2023年/1:1.85/5.1ch/DCP/86分
2023年11月11日(土)よりポレポレ東中野 ほか全国順次公開