『子宮に沈める』『飢えたライオン』などで知られる緒方貴臣監督が伊礼姫奈さんを主演に迎えた新作『シンデレラガール』が11月18日に公開されることが決定し、ポスターヴィジュアルと緒方監督、伊礼さんのコメントが解禁されました。
実在の事件をモチーフに育児放棄を描いた『子宮に沈める』(2013年)や、ネットでの情報拡散やメディア報道がもたらすものを描いた『飢えたライオン』(2017年)など、誰の身にも起こり得る現代社会の歪みに目を向けてきた緒方貴臣監督。
その最新作となる『シンデレラガール』は、義足のモデルを主人公に、ひとりの女性とその周囲の人々が“障がいの象徴”と捉えがちな義足をポジティブなものと捉えていく心の変化を、観客を惑わす大胆な手法も用いて描いていきます。
幼いころに病気のため片足を切断しつつもファッションやメイクに興味を持ちモデルとして活躍する主人公・佐々木音羽(ささき・おとは)を演じるのは伊礼姫奈(いれい・ひめな)さん。4歳より女優活度を開始して多くの作品に出演し、最近ではテレビドラマ・映画で展開した『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(2023年)で主人公の“推し”であるマイナーアイドルを演じて話題となった2006年生まれの期待の若手女優が、自身と同年代である高校生モデルの心の動きを繊細に表現しています。
解禁されたポスターヴィジュアルは、鏡に映る伊礼さん演じる主人公・音羽のアップに「あなたには魔法も白馬の王子様も必要ない」というコピーが添えられています。
魔法の力や王子様に見出されることによって恵まれない境遇を脱する童話の「シンデレラ」。そのストーリーから「自分以外のなにかが自分の人生を変えてくれる」と期待する女性の依存的願望が「シンデレラ・コンプレックス」と呼ばれています。
「シンデレラ」をタイトルに冠した映画『シンデレラガール』は、魔法や王子様に象徴される「なにかの力」に依存する女性像へのアンチテーゼとなる作品であることを、このコピーは示しています。
公開決定にあたり、主演の伊礼姫奈さんと緒方貴臣監督は次のようにコメントを発表しています。
主人公・佐々木音羽役:伊礼姫奈さんコメント
初めて監督とお会いした時から、監督の持っている世界観に惹かれました。それと同時に、その広がる世界に自分がついて行くことが出来るのか不安もありましたが、丁寧に言葉で伝えてくださり、分からないところは一緒に答えが出るまで考えてくださる姿に安心を覚えました。のびのびと音羽を等身大で演じることが出来たと思います。
「義足」という今まで演じたことの無い、難しいテーマではありましたが、当事者の方にお話をお伺いしたり、沢山勉強して撮影に挑みました。映画に散りばめられたメッセージを劇場で受け取っていただけたら嬉しいです。
監督・共同脚本:緒方貴臣監督コメント
これまでの作品は、「胸糞悪い映画」とか「2度と観たくないけど、みんなに観てほしい映画」などと言われ続けてきました
そういった作品を特に目的にしていたわけではなく、それぞれの題材に合った構造と描き方をした結果でした
そして、新作『シンデレラガール』も、その題材にふさわしい作りをしています
今までの作品とは違うアプローチ、試みをしていますので、
この映画がどのように受け止められるのか今から大変楽しみです
緒方貴臣版『シンデレラ』をぜひ劇場で体感してみてください!
義足のモデルを主人公にするにあたって、全身の筋力が低下する難病・進行性筋ジストロフィーを持ちモデルとしても活動する森山風歩(もりやま・かざほ)さんらが監修として参加。
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 審査員賞受賞作『淵に立つ』(2016年/深田晃司監督)など数々の作品に参加するカメラマン・根岸憲一さんが緒方監督の前作『飢えたライオン』に続いて撮影監督をつとめるなど、精鋭スタッフが集いました。
また、音羽のマネージャー・木村唯を演じるのは『男の優しさは全部下心なんですって』(2022年/のむらなお監督)『たまつきの夢』(2022年/田口敬太監督)主演など多くの作品に出演する辻千恵さん。音羽が入院していた病院の看護師・八神桜役には「個人差あります」(2022年)などテレビドラマ・CMに出演する泉マリンさん、同じ病院の医師・内藤重樹役に400万以上の再生数を記録したネット配信短編映画「私もただの女の子なんだ」(2021年/YP監督)主演の太田将熙さん、音羽の母親・多佳子役には大河ドラマ「どうする家康」にも出演する輝有子(きい・ゆうこ)さんと、実力派俳優陣が顔を揃えました。
そして、音羽と一緒に動画投稿などをする仲良しグループのメンバー役で、第2回スターオーディションファイナリストで映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023年/ 新城毅彦監督)などに出演する佐月絵美さん、210万人以上のSNSフォロワー数を持つインフルエンサーの三原羽衣(みはら・うい)さん、恋愛リアリティ番組や映画『ミンナのウタ』(2023年/清水崇監督)などに出演する田口音羽(たぐち・おとは)さんと、2000年代生まれの期待の新星たちが集合。
さらに、多くの映画監督が信頼を寄せる筒井真理子さんがストーリーで重要な役割を果たすファッションデザイナー・五十嵐衣織を演じ、作品に一層の厚みを与えています。
充実のスタッフ・キャストとともに緒方貴臣監督が新たなタッチで送る『シンデレラガール』は、11月18日土曜日より東京の新宿K's cinemaで上映。ほか、栃木の小山シネマロブレ、名古屋のシネマスコーレ、京都のアップリンク京都、神戸の元町映画館などにて全国順次公開されます。
『シンデレラガール』ストーリー
12歳の時に病気で⽚脚を切断した音羽。その後も⼊退院を繰り返し、中学校の卒業式にも参加できなかった。そんな⾳⽻のために、クラスメイトたちがサイプライズの卒業式を病院の屋上でして、その動画がSNSで話題になり、音羽にモデルのオファーが舞い込む。義⾜の⼥⼦⾼校⽣モデルという特異性もあり、一時的に注⽬されるも、その後のモデルとしての仕事は義⾜を隠したものばかりだった。
⼀⽅、マネージャー・唯は、⾳⽻と一緒に義足のファッションブランドで「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という理念を聞き、⼼を動かされる。義⾜をもっと押し出していこうと決める二人。やがてファッションショーに出演できるチャンスがやってくるが…