ミネオショウさんが主演し、小沢まゆさんが出演に加えプロデューサーもつとめた髙橋栄一監督『ホゾを咬む』が12月2日に公開されるのを前に、予告編と新たな場面写真が解禁。また、俳優・映画監督などからの推薦コメントが公開されました。
髙橋栄一監督『ホゾを咬む』独特な世界を感じさせる予告編解禁 俳優・監督らからの推薦コメントも
「後悔する」という意味の慣用句「臍を噛む」がタイトルのもととなった『ホゾを咬む』は、会社員の夫が妻にある疑念を抱き、隠しカメラでの監視や尾行をおこなうようになっていくというストーリー。
最新短編『サッドカラー』(2022年)がPFFアワード2023に入選するなど注目を集めている気鋭の映像作家・髙橋栄一監督が、自身がASD(=自閉スペクトラム症)グレーゾーンと診断された経験から着想し、独自の切り口で「他人と接すること」「愛すること」を描いています。
撮影監督には武正晴監督作品で知られる西村博光さんが参加。モノクローム・スタンダードの映像が独特の味わいを生み出しています。
主人公・茂木ハジメを演じるのは、主演作『MAD CATS』(2021年/津野励木監督)をはじめ出演作が次々に公開され、役柄の幅広さから「カメレオン俳優」の異名を持つミネオショウさん。
『少女〜an adolescent』(2001年/ 奥田瑛二監督)で高い評価を得て以降も多くの作品に出演、近年は映画プロデュースも手がける小沢まゆさんが短編『サッドカラー』に続いて髙橋監督とタッグを組み、ハジメの妻・ミツを演じるとともにプロデューサーも兼任。
そのほか、数多くの作品に出演し主演作『はこぶね』(2022年/大西諒監督)も話題の木村知貴さん、高い評価を受けた『れいこいるか』(2020年/いまおかしんじ監督)の河屋秀俊さん 子役の福永煌(ふくなが・あきら)さんらが出演しています。
解禁された予告編は、ハジメとミツの会話で幕を開け、妻への疑念を募らせるハジメの行動や、一癖も二癖もありそううな登場人物たちがモノクロームで映し出されていきます。
そして、俳優の佐伯日菜子さん、お笑い芸人の永野さん、映画監督の瀬々敬久さん、日本映画界を代表するカメラマンのひとりである芦澤明子さんらの推薦コメントも解禁されました。
佐伯日菜子さんは「みんなどこか変だ。どこか変なんだけど気になってしょうがない。」、映画監督のいまおかしんじさんは「不思議な余韻がいつまでも残る。」、芦澤明子さんは「本を読み終えて、また最初から読みたくなる、そんな作品でした。」と、それぞれの視点から作品の魅力を語っています。
俳優:佐伯日菜子さんコメント
不穏な始まり方と登場人物たち。
みんなどこか変だ。どこか変なんだけど気になってしょうがない。
不思議な音の使い方と不思議と雄弁なモノクロの画像。
ミネオショウ氏の存在感が風に揺れる柳のようにしなやかに時に強くこの作品の中で生きている。
お笑い芸人:永野さんコメント
歳を取れば取るほどに頭が混乱して、そのカオスに最初は自惚れていて、いよいよ余裕がなくなって逃げ出したくなり、
そんな中で観たこの奇妙かつ落ち着いた世界はもしかしたら全て主人公の妄想のようでもあり、
鑑賞後に不思議と気持ちが軽くなった自分がいました!
誰も特別じゃない。
映画監督:瀬々敬久さんコメント
金魚鉢を頭から被ったような圧迫感。
コロナ以降の日々を生きる感触が、少しずれた現実感の中で描かれていて魅力的だ。
夫婦の行き違いというモチーフからか、デビッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』を思い出した。
今、私たちは何をロストしているのだろう。
果たして、それは今なのか、ずっと以前から失くしていたのか。
それを見つけようとする男女の物語。
見終わった後の果てしない感触が今も心に残っている。
映画監督・脚本家・俳優:佐藤佐吉さんコメント
果たして『世の中』とは『常識』とは何か。得体の知れないそれらのものが時として我々を追いつめ愚行に走らせる。既成の価値観に囚われずとも人はあるがままで肯定され得る存在なのだ。
そう思わせてくれる映画でした。
映画監督:いまおかしんじさんコメント
会社に行って仕事して家に帰ってくる毎日。妻や同僚との噛み合わない会話。自分のいない間に妻は何をしているのか。妄想がふくらむ。不安でいても立ってもいられなくなる。ジリジリと追い詰められていく男。不思議な余韻がいつまでも残る。
脚本家・映画監督:足立紳さんコメント
妻のキャラクターが妙に魅力的で、あんなふうに監視したくなるのがすごくよく分かるし、ドキドキワクワクした。
ラストの夫婦のとある姿は名場面だと思った。特に夫の姿。
あんな状況で、あんなふうになってみたいと思った。
撮影監督:芦澤明子さんコメント
スクエアな画角にモノクロ、堅苦しい映画かと思ったら、しなやかで、画面に溢れる色気のようなもの、とても楽しく見れました。穏やかな気持ちになりました。本を読み終えて、また最初から読みたくなる、そんな作品でした。次回作も楽しみです。
映画パーソナリティ:伊藤さとりさんコメント
モノクロの世界で浮き上がる普段は気付きにくい表情の動き。
そこから私たち観客も、登場人物の本心を読み取ろうとする。
他者の気持ちをどこまで知れば、友好関係は築けるのだろうか。
こんな面白い角度からそれについて探求するとは、つくづく恐れ入った。
映画文筆家:児玉美月さんコメント
どこか不穏なモノクロームの世界のなか、会話や仕種といったディテールが緻密に設計されている。誰しも秘められた部分があると頭ではわかっていながらも、そのすべてにどうしても手を伸ばさずにはいられない。窓際にぶら下げられた鳴らない風鈴のように、謎を謎のまま宙吊りにしながら、わたしたちはぎこちなく人間関係の有り様を模索してゆくしかないのに。
気鋭の監督のもと、充実のスタッフ・キャストにより生み出された新感覚の日本映画『ホゾを咬む』は、12月2日土曜日より8日金曜日まで東京の新宿K's cinema、12月15日金曜日より21日木曜日まで同じく東京の池袋HUMAXシネマズ、ほか全国順次公開されます。
『ホゾを咬む』あらすじ
不動産会社に勤める茂木ハジメは結婚して数年になる妻のミツと二人暮らしで子供はいない。
ある日ハジメは仕事中に普段とは全く違う格好のミツを街で見かける。帰宅後聞いてみるとミツは一日外出していないと言う。
ミツへの疑念や行動を掴めないことへの苛立ちから、ハジメは家に隠しカメラを設置する。
自分の欲望に真っ直ぐな同僚、職場に現れた風変わりな双子の客など、周囲の人たちによってハジメの心は掻き乱されながらも、自身の監視行動を肯定していく。
ある日、ミツの真相を確かめるべく尾行しようとすると、見知らぬ少年が現れてハジメに付いて来る。そしてついにミツらしき女性が誰かと会う様子を目撃したハジメは...。
ホゾを咬む
- ミネオショウ
小沢まゆ
木村知貴 河屋秀俊 福永煌 ミサ リサ 富士たくや
森田舜 三木美加子 荒岡龍星 河野通晃 I.P.U 菅井玲 - 脚本・監督・編集:髙橋栄一
- プロデューサー:小沢まゆ
- 撮影監督:⻄村博光(JSC)
- 録音:寒川聖美
- 美術:中込初音
- スタイリスト:タカハシハルカ
- ヘアメイク:草替哉夢
- 助監督・制作:望月亮佑
- 音楽:I.P.U
- 整音・音響効果:小川武
- 楽曲提供:小川洋
- 劇中絵画:「生えている」HASE.
- 宣伝デザイン:菊池仁 田中雅枝
- 本編タイトルデザイン:山森亜沙美
- 宣伝写真:moco
- DCPマスタリング:曽根真弘
- 製作・配給:second cocoon
- 配給協力:Cinemago
- 海外セールス:Third Window Films
- 文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
- 2023年/4:3/モノクロ/DCP/5.1ch/108分
2023年12月2日(土)より新宿K's cinema、12月15日(金)より池袋HUMAXシネマズ ほか全国順次公開