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緒方貴臣監督の衝撃作『子宮に沈める』児童虐待防止推進月間に合わせ11月4日よりリバイバル上映

 新作『シンデレラガール』公開を控える緒方貴臣監督の2013年公開作で児童虐待が題材の『子宮に沈める』が、新宿K's cinemaで11月4日より1週間にわたりリバイバル上映され、俳優の水石亜飛夢さんらをゲストに迎えたトークイベントも連日開催されます。

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『子宮に沈める』より

 2013年に公開された『子宮に沈める』は、ふたりの幼い子どもが命を落とした実際の事件「大阪2児育児放棄事件」をもとに製作されたフィクション。母親が家に戻らなくなり残された幼い姉弟が閉ざされた部屋の中で必死に生き延びようとする姿が、全編が室内という限定した空間で描かれていきます。

 ショッキングな題材を扱いつつも放棄される子どもと放棄する親の姿を真摯に描いた『子宮に沈める』は、児童虐待のない社会を目指すオレンジリボン運動の推薦映画に選ばれるなど大きな反響を呼び、現在でも配信サービスで3ヶ月で7万人が視聴するなど多くの関心を集め続けています。

 いまだに児童虐待があとを絶たない中、劇場公開から10年を経た『子宮に沈める』が、11月の児童虐待防止推進月間に合わせて11月4日より1週間リバイバル上映されます。

 リバイバル上映にあたり、育児放棄してしまうシングルマザー・由希子を演じた伊澤恵美子さん、由希子の別れた夫・俊也を演じた辰巳蒼生(たつみ・あおい)さん、由希子と親密な関係になる男性・要を演じた田中稔彦さんの出演者3人と緒方貴臣監督、さらに乳児を預ける「こうのとりのゆりかご」を運営するなどさまざまな事情から子どもを育てられない母親の受け皿となる活動をおこなっている熊本・慈恵病院の蓮田健院長らがコメントを発表しています。

由希子役:伊澤恵美子さんコメント

人生をも変えてしまうような映画に出会い、演じさせてもらえた経験に感謝しています。公開から10年経ち、今もたくさんの方からこの映画を見たという感想が届くというのはすごいことだなと思います。感想も、公開前、タイトルだけで否定的な意見が出ていたような公開当初に比べ、応援が増えてきたのも印象的です。
映画も社会も次のフェーズに進むタイミングなのかもしれません。ぜひこの機会に映画館でこの作品と向き合っていただければ幸いです。

俊也役:辰巳蒼生さんコメント

当時、完成した作品を観させていただいた時に、
私の心の中に得体の知れないモノが、深く沈んでいったのを覚えています。
「私の得体の知れないモノはなんだったのか、、、」
この忙しい国の狭間で生きる一人の人間として、情報化社会だけでは答えが出ないことはわかったような気がします。
今もなお、私の心にある得体の知れないモノは、大きくなったり、小さくなったりしています…

要役:田中稔彦さんコメント

『子宮に沈める』リバイバル上映おめでとうございます。
劇場で観て、自宅で観て。最後に観た日からかなりの月日が経っていると思います。この作品が全国を周り、DVDレンタルの時代を経て、今なおネット配信でも視聴上位ランキングに入るという広がり方と、時を経て生き続ける『映画』という媒体の力に驚きと喜びがあります。
初めて脚本を読ませて頂いたとき、あまりの衝撃に「うわっ」と呟いてしまった事を覚えています。どうする?とマネージャーから聞かれた時、即答で「やりたいです」と応えました。その後緒方監督がうちの事務所に足を運んで作品の事を説明して下さいました。その日の事や撮影の日々は今でも忘れられません。
僕も29歳から39歳になりました。いつの間にか僕も映画を撮るようになりました。緒方監督には今もお付き合いを続けて頂いており、様々なアドバイスも頂きました。僕の尊敬する監督の一人です。
『子宮に沈める』既にご覧になられた方にも、そしてまだ観ていない方にも、劇場という特別な空間で観て頂ければと願っております。

監督:緒方貴臣監督コメント

この映画の基となった大阪の事件から13年、
映画の公開から10年が経ちました。
その間、国の施策として様々な虐待防止対策、
子育て支援が行われ、この4月には子ども家庭庁も発足しました。
子どもや育児を取り巻く環境はまだ十分とは言えませんが、
児童虐待が家族間だけの問題ではなく、
社会の問題という認識はかなり広がってきたように感じています。

しかし今もなお1週間に1人のペースで、
虐待によって子どもが命を落としています。
コロナ禍では虐待が増えたとも言われています。
それは危機下では社会的立場の弱い者へ皺寄せがいくためです。
私たちのすぐ近くに映画の「親子」がいるかもしれない。
またその「親子」に自分たちがなる(なった)かもしれない。
この映画には、解決策は描かれていません。
そもそもこれらの問題に模範解答のような解決策はありませんが、
どうしたら「親子」が、助けられたのか
映画を通じて、考えて頂けたら嬉しいです。

慈恵病院院長:蓮田健さんコメント

子どもは慈しまれて育つのが当たり前と思っている人には残酷な映画です。
私の胸にはグサリと突き刺さりましたが、同時に子どものために何をなすべきかを考えさせてくれました。
見放され虐げられている子どもはたくさんいます。
見えていないだけです。
この映画を通じて子ども、そして親を助ける人が一人でも増えることを願っています。

認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク(オレンジリボン運動)理事長:吉田恒雄さんコメント

私たち一人ひとりができることをして、子ども虐待のない社会を目指しましょう。
親の貧困やパートナー、近隣・親族からの孤立、メンタル問題などさまざまな原因が重なったとき、子ども虐待につながるといわれています。こうした家族のなかには、不安や遠慮などにより支援から遠ざかってしまう家族もあります。現在の虐待問題に対しては、課題を抱えた家族が安心してSOSを出せるような社会になることが必要です。ちょっとした声掛けや小さなお手伝いなど、私たち一人ひとりが、子どもと子育てを優しく見守り、ちょっとした声掛けや小さなお手伝いなどをして、親が安心して楽しく子育てできる社会=子ども虐待のない社会をめざしましょう。
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『子宮に沈める』より。伊藤恵美子さん演じる由希子(中央)と娘の幸、息子の蒼空(そら)と3人での生活は、次第に余裕を失っていく……

 また、リバイバル上映期間中、連日トークイベントが開催されます。
 緒方貴臣監督が連日出演。『子宮に沈める』主演の伊藤恵美子さん、緒方監督作品『飢えたライオン』(2017年)に出演の水石亜飛夢(みずいし・あとむ)さんや、育児アドバイザーの河西景翔(かわにし・けいと)さん、女性の多用な生き方を支援する一般社団法人・siente代表でノンフィクション作家の中山美里さんらが登壇し、児童虐待について考えます。

『子宮に沈める』リバイバル上映トークイベント

  • 11月4日(土):伊澤恵美子(主演) 緒方貴臣(監督)
  • 11月5日(日):高橋まきこ(中央区議会議員) たぞえ麻友(目黒区議会議員)、緒方貴臣
  • 11月6日(月):河西景翔(育児アドバイザー) 伊澤恵美子 緒方貴臣
  • 11月7日(火):橋本ゆき(渋谷区議会議員) 緒方貴臣
  • 11月8日(水):緒方貴臣
  • 11月9日(木):中山美里(ノンフィクション作家・siente代表) 緒方貴臣
  • 11月10日(金):水石亜飛夢(俳優) 緒方貴臣

 時代を越えて観客に鮮烈なメッセージを投げかける『子宮に沈める』は、11月4日より初公開と同じ新宿K's cinemaでリバイバル上映。
 fjmovie.comでは、初公開の2013年に緒方貴臣監督のインタビューを掲載しています。リバイバル上映に合わせ、ぜひこちらの記事もご覧ください。

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『子宮に沈める』より

【『子宮に沈める』リバイバル上映予告編】
ポスター

子宮に沈める

  • 伊澤恵美子 土屋希乃 土屋瑛輝 辰巳蒼生 仁科百華 田中稔彦

  • 監督・脚本:緒方貴臣
  • 撮影:堀之内崇
  • 照明:月岡知和
  • 録音:根本飛鳥
  • 美術:渡辺麗子
  • 編集:澤井祐美

  • 配給:paranoidkitchen

  • 2013年/カラー/95分

2023年11月4日(土)より新宿K's cinemaにて 1週間限定リバイバル上映

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