舞台あいさつをおこなった中村優一さん、秋沢健太朗さん、鶴嶋乃愛(つるしま・のあ)さん、高山孟久さん、賀集利樹(かしゅう・としき)さん(左より)
※画像をクリックすると大きく表示します
俳優・中村優一さんが初めて映画の企画・プロデュースと監督をつとめた『YOKOHAMA』を上映中の池袋シネマ・ロサで、4月20日に出演者の賀集利樹さん、鶴嶋乃愛さん、高山孟久さん、秋沢健太朗さんと中村さんが舞台あいさつをおこないました。
『YOKOHAMA』は、中村優一さんの故郷である横浜を舞台に「狂想」をテーマにした『贋作』『横濱の仮族』『死仮面』の短編サスペンス3編で構成されたオムニバス形式の作品。中村さんは全体の企画・プロデューサーをつとめ『死仮面』で映画初監督。『贋作』の金子智明監督や『横濱の仮族』のヨリコジュン監督をはじめ、過去に中村さんと一緒に作品に携わったスタッフ・キャストが多数参加しています。
舞台あいさつは上映終了後におこなわれ、客席の大きな拍手に迎えられた中村さんら登壇者は、和やかな雰囲気で作品についてトークを繰り広げました。
賀集利樹さん演じる妻に去られた男・ノボルと鶴嶋乃愛さん演じる謎めいた若い女・サエコの奇妙な共同生活を描いた『贋作』は、物語終盤のドライブシーンから撮影が始まったそう。
初対面でいきなり物語終盤のシーンの撮影で、賀集さんも鶴嶋さんも緊張や「どうやって関係性を作っていこうか」(賀集さん談)という戸惑いもあったそうですが、賀集さんが積極的に話題を振って会話を積み重ねていったそうで、鶴嶋さんはその撮影があったおかげでそのあとの撮影でノボルとサエコの関係を演じられたと振り返り「むしろ初日にドライブシーンにしてくださったことがありがたかったかなと思います」とコメント。鶴嶋さんのその言葉に賀集さんは「これはもう、中村優一プロデューサーがすべて考えたスケジュールってことですね」とプロデューサー・中村さんの手腕をアピールしましたが、中村さんは「いや、あれは金子監督がドライブさせたいって」と正直に明かしました。
また、賀集さんは「仮面ライダーアギト」(2001年)で主演、鶴嶋さんは「仮面ライダーゼロワン」(2019年)でヒロイン役と、ふたりとも年代は異なりますが仮面ライダー経験者で、自身もライダー経験者である中村さんは「平成ライダーの主役と令和ライダーのヒロインがオープンカーに乗っているのがバイクの二人乗りに見えてきて、これライダーじゃん! って」と「別の角度で感動していました」と話しました。
家族を失った富豪が家族そっくりの人々を集めるストーリーの『横濱の仮族』は、全編がワンカットで撮影されており、主人公の富豪・横濱権蔵を演じた高山孟久さんは「セリフも間違えられないし、その緊張感が」と話し、撮影時に「(緊張で)胃が痛くなりました」とヨリコジュン監督に話したところ、撮影も担当していたヨリコ監督に「俺は(重いカメラをずっと持っていて)腕が痛い」と返されたというエピソードを紹介しました。
さらに高山さんは「とある美容室に中村優一プロデューサーに呼び出されて、おかっぱ頭にさせられて(笑)」と、登場人物全員の髪型がおかっぱ頭の『横濱の仮族』の中で、高山さんだけがウィッグではなく地毛でおかっぱだったと告白。中村さんは「そのときはまだ台本できていなかったんですよ。なのに、とりあえずおかっぱにしてくださっいって(笑)」と裏話を披露し、高山さんは「とりあえずしましたけど(笑)」と笑いました。
中村さんがメガホンをとった『死仮面』は、特殊メイクの絡んだある事件を巡るストーリーで、主人公の特殊メイクアップアーティスト・米村を演じた秋沢健太朗さんは、これまで演じてきた役とは対極的とも言える役が「すごくやりたかった役ですね」とコメント。秋沢さんが「優一くんにも、何年か前に喫茶店かなんかで“悪役みたいなことをやりたいんだ”というのをずっと言っていて」というエピソードを紹介すると、中村監督は「そこがまさしくスタートなんですよ」と、そのときの秋沢さんとの会話がきっかけで映画作りを思い立ったと明かし「ぼく自身も監督が初めてということで、健太朗と心中するつもりでやってやろうと」と、プライベートでも親しい秋沢さんがいてこその想いがあったと話しました。
秋沢さんは、撮影していたときはこれほど大きな規模での公開になるとは「想像もしなかったですよね」と話すとともに「優一くんがこれから大・大監督になるきっかけなので。ぼくというスターを使った時点で」と、自身を「スター」と呼ぶユーモアを交えた中村監督へのエールで場内の笑いを誘いました。
舞台あいさつの最後に中村さんは「ぼくは17歳の高校生のときから俳優を始めて、一番最初に映画のオーディションを受けたときに落ちてしまって“映画ってどうやって出るんだろう?”って思って。そんなぼくが、今年37歳で、ちょうど20年経って、こうやって映画を自分で企画して、大切な故郷の横浜と、大切な仲間と、こうやって作品が作れて、映画館に自分のポスターがあるってすげえ幸せだなって思いました」と長年の映画への想いを述べると「こうやってみんなで舞台あいさつに立たせていただいて、見届けてくださったみなさまがここに一緒にいてくれて、とても幸せに思います」と観客のみなさんに感謝。
そして「1本作ってこれで満足するんじゃないかって思っていたんですけど、今日がまたスタートとして、もちろん俳優も続けていきますけど、またこうやって作品を大好きな人たちと作れたら嬉しいなと思ってますので、今後とも応援していただけたらと思います」と、作り手としての新たな意欲を見せて舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、第一話『贋作』に小野まりえさん、飛葉大樹さん、第二話『横濱の仮族』にRaychellさん、末野卓磨さん、水原ゆきさん、波多野比奈さん、新田ミオさん、白又敦さん、西洋亮さん、第三話『死仮面』に渋江譲二さん、西尾聖玄さんら、多彩な俳優陣が出演し、横浜の街の様々な表情を見せていく『YOKOHAMA』は、4月19日より、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほか、全国ロードショー。4月21日にも都内の劇場で舞台あいさつがおこなわれます。