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三留まゆみさん、台湾の映画看板師との4日間は「驚きの連続」 『顔さんの仕事』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった今関あきよし監督、三留まゆみさん、柏豪(ボー・ハウ)さん(左より)
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 今関あきよし監督が台湾の映画看板師を追ったドキュメンタリー『顔(イェン)さんの仕事』が8月31日に東京の新宿K's cinemaで初日を迎え、出演者の三留まゆみさんと柏豪さん、今関監督が舞台あいさつをおこないました。

 『顔さんの仕事』は、台湾の映画館で50年以上にわたり手描きの絵看板を描き続け、2024年には台北映画祭(台北電影節/TAIPEI FILM FESTIVAL)で卓越貢献賞を受賞した看板絵師・顔振発(イェン・ヂェンファ)さんのドキュメンタリー。
 映画関連の文章・イラストで知られるイラストライターの三留まゆみさんがナビゲーターとなり、顔さんが絵看板を完成させる過程を、顔さんへのインタビューなどを交えつつ追っていきます。

 今関監督は、台湾を舞台とした劇映画『恋恋豆花(レンレンドウファ)』(2019年)を監督したころから顔さんの存在を知っていたそうで、最初はドキュメンタリー映画を作ろうとは考えず、会ってみたくて2020年に台南にある顔さんが看板を描く映画館・全美戯院(チュアンメイシーユエン)を訪れたのが顔さんとの初対面だったと振り返りました。

 映画でナビゲーターをつとめた三留まゆみさんは、ぴあフィルムフェスティバルに入選した今関監督のアマチュア時代の8ミリ作品『ORANGING'79』(1979年)で主演をつとめた、いわば元祖今関ヒロイン。
 今関監督は「同じ映画の絵を描く人間として、見てほしい人、会ってほしい人だったので」と三留さんをナビゲーターに起用した理由を説明し、久々の今関監督作品出演となった三留さんは「何十年ぶりかの今関映画で、どんなものができるのかなと思っていたら、顔さんより私が映っているじゃんみたいな感じで(笑)」と笑いました。

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自ら企画してメガホンをとった今関あきよし監督

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ナビゲーターをつとめたイラストライターの三留まゆみさん

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通訳をつとめた俳優の柏豪さん

 映画は、顔さんが新しい絵看板を描きはじめ完成させるまでの4日間が映像に収められています。
 今関監督の最初の顔さん訪問に同行し、映画でも引き続き通訳をつとめている台湾の俳優・柏豪さんは、顔さんの作業を間近で見た4日間について「顔さんが映る映像とか動画はあるけれど、短いじゃないですか。今回はほんとに最初から看板を描いていくプロセスを全部を見せてくれました。ほんとに大切な経験でした」とコメント。
 三留さんは、顔さんが看板を描く4日間が「次から次へと驚きの連続」だったと感想を述べ「看板絵というのは、私たちの世代は子どものころはほんとに街中にありましたよね。でも気がついたら映画がシネコンでかかるようになって、看板が掛かる映画館がなくなってしまった。台湾もそんな状況なんですって。でも、その看板絵をゼロから最後まで見ることができて、ほんとに1日中ここにいたいっていう、そんな気持ちでした。ありとあらゆるものを顔さんは見せてくれたんですね」と4日間で得た想いを語りました。
 今関監督も、顔さんが絵看板を描く姿を「ぜひ(絵看板を知らない)若い方にも見てほしいし、昔を知っている方は“こうやって描いていたんだ”というのを感じてもらえらばなと思ったりもしています」と話しました。

 映画には撮影中に顔さんが三留さんに看板の一部を描くよう任せる場面もあり、三留さんは「緊張したし、できあがったときに、ほんの小さなスペースなんだけれども“ここ塗ったんです!”みたいな」とそのときの心境を回想。
 また三留さんは、多くの人は利き手により線の引きにくい角度があるにもかかわらず「顔さんは、ありとあらゆる角度で筆が運べちゃう。私なんか小さな絵でも(描きやすい角度になるよう)紙をグルグル回しなから描くんですけど、顔さんはそんなこともなく、なんの迷いもなく」と、プロの視点で顔さんの技術を評しました。

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トーク中の今関あきよし監督、三留まゆみさん、柏豪さん(左より)

 『顔さんの仕事』は日本での公開に先駆けて、取材の場となった全美戯院で6月にプレミア上映されており、そのとき顔さんの隣で並んで鑑賞したという三留さんは「顔さんは、ありとあらゆるシーンで笑ったり、ちょっと照れたり、ほんとに素敵な反応をしてくれて、私はもしかして、映画を観ているより、顔さんの横顔を観ていたんじゃないかなって」と、老若男女で大盛況となったという当日の様子を。
 台湾の上映にあたっては顔さん自身が『顔さんの仕事』のポスターを描いており、柏さんは「ぼくにとって一番感動したのは、顔さんが看板絵師になってからずっと映画の看板を描くじゃないですか。やっと自分の映画のポスターを描くことができて、それはほんとに嬉しいことです」と想いを述べました。
 そして今関監督は、毎日午前中は全美戯院の前の道で看板を描いている顔さんに「会えますので、ぜひ旅行がてら」と、三留さんは「あの映画館で映画もぜひ観てください。たくさんの映画を上映してきた濃い空気みたいなものがありますね」と、顔さんの魅力、全美戯院の魅力に直に触れてほしいと呼びかけました。

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台湾上映版のポスターも掲載されたパンフレットを紹介する今関あきよし監督、三留まゆみさん、柏豪さん(左より)

 絵看板を描く顔さんを通して、映画に関わる人々の想いを映し出す『顔さんの仕事』は、8月31日土曜部より、東京の新宿K's cinemaにて公開中。ほか、全国順次公開されます、

ポスター

顔さんの仕事

  • 企画・制作・監督:今関あきよし
  • 出演:顔振発 三留まゆみ 柏豪

2024年8月31日(土)より 新宿 K's cinema ほか全国順次公開

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