舞台あいさつをおこなった澤真希さん、松本いさなさん、杵村春希監督、山﨑翠佳(やまざき・すいか)さん、渡辺綾子さん、桜一花(さくら・いちか)さん、入江崇史さん(左より)
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ひとりの高校生の選択を三重県熊野市オールロケで描いた『カフネ』が10月12日にポレポレ東中野で初日を迎え、主演の山﨑翠佳さんと共演の松本いさなさんら出演者と杵村春希監督が舞台あいさつをおこないました。
『カフネ』は、小さな港町を舞台に、妊娠したことを恋人や家族に打ち明けられない高校3年生の澪と、その周囲の人々たちの姿を通して、語り合うことによる心と心の通い合いを描いた作品。
撮影当時は大阪芸術大学在学中だった杵村監督をはじめとする学生スタッフによる作品で、第18回大阪アジアン映画祭や第24回TAMA NEW WAVEでの上映などを経て劇場公開を迎えました。
映画撮影時には21歳だった杵村春希監督は「人々の対話というのをメインに描いた作品になりますので、どうぞそこを注目して楽しんでいただけければと思います」と、映画のテーマに触れつつあいさつ。。
主人公の澪を演じた山﨑翠佳さんはこれが映画初主演で「『カフネ』は、私にとって俳優としてだけではなく人としても人生を大きく変えてくれた作品なので、それをみなさまに観てもらえることが、すごく嬉しくてありがたいです」と、初主演作の公開を迎えた心境を述べました。
澪の親友・夏海を演じた松本いさなさんは「2年前に作品を作って、熊野で撮って、ついに東京でという、素晴らしい日を迎えられたことがほんとに嬉しいです」、澪が訪れる産婦人科の女医を演じた渡辺綾子さんは「初日にみなさんのお顔を見てあいさつできることをすごく嬉しく思います」、澪の母親・雫を演じた桜一花さんは「東京でぜひやりたいねって言っていたことが叶って、みなさまの前でごあいさつできるとことがすごく嬉しいです」と、それぞれ東京公開の喜びをコメント。
澪の彼氏の母親・礼子を演じた澤真希さんは「最高のメンバーで作った映画です。二度と再現できないような瞬間を切り取って切れたような映画」と、澪の父親・稔を演じた入江崇史さんは「よくある題材かもしれないですけど、そこになにか、ぼくらが想像できないような力が込められている映画だと思うんです。真心だったり、情熱だったり、ピュアなものが、むせ返るほど出てくる映画だと思うので、楽しんでください」と、作品の魅力を語りました。
キャストに杵村監督の印象が質問されると、入江さんは「なにを聞いてもあまりなにも返ってこないような(笑)」、澤さんは「(オーディションのときに)監督の反応がニュートラルすぎて、なんの手応えもなく(笑)」と答え、杵村監督のあまり多弁ではない様子をうかがわせましたが、澤さんが「現場に行っても監督がとってもニュートラルで、いま思うとそれが安心」と付け加え、桜さんが「なにか、すごく心のゆとりを与えてくれるような撮影でした」と答えたように、そんな杵村監督だから生まれた現場の雰囲気があったよう。
妊娠というテーマを扱う上で監督はじめスタッフが取材する段階から立ち会っていたという渡辺さんは「入江さんがおっしゃっていたように寡黙なんですけど、こだわりというか“こうしたい”みたいなものがそのときから伝わっていました」と振り返りました。
松本さんは監督の印書を「イメージとしては、ずっと静かな、沈んでいる感じなんだけど中には炎が燃えているみたいな感じで“これをやり遂げたい”という気持ちがつねに静かだからこそすごい感じるからこそ、杵さんの出すオーラのお陰でいい緊張感があったので、撮影もみんながひとつになりやすいというか、そういう環境づくりでした」と回答。
山﨑さんは杵村監督について「人の話をすごく丁寧に聞いてくださる方だなと思って、それがたぶん『カフネ』という映画にも滲んでる。感情の機微だったり、セリフのない表情とかをちゃんと撮ってくださっている。それをしっかり見て、いろいろなことをよく見てくださっている方だなと思って。あと演出だと、一言に100詰まっているというか」と話し「私としては寡黙というより、けっこう喋ってくださるイメージがあるので、新しい発見があったんですけど(笑)」と、ほかのキャストの答えに意外そうな様子も見せつつ「いろいろな顔を持つ、不思議な方なのかなって思います」とまとめました。
最後に杵村監督は「自分が死にもの狂いで撮った、自分と関わってくれたスタッフのみんなとキャストのみなさまが、撮影とか脚本とか編集も、全力で取り組んだ映画になっています。ご覧になる側は、心を安らかにというか、軽い気持ちで観ていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします」と話して舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、澪の彼氏役の太志さん、澪と夏海の同級生役の木下隼輔さんらが出演、大阪発のアートバンド終日柄(ひねもすがら)の主題歌が作品を彩る『カフネ』は、10月12日よりポレポレ東中野にて、11月2日土曜日より大阪のシアターセブンで公開されます