日本アカデミー賞協会特別賞も受賞した怪獣造形のレジェンド・村瀬継蔵さんが原作・総監督をつとめる『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』(夏公開)のティザーヴィジュアルと特報映像が解禁され、主題歌を人気グループ・DREAMS COME TRUEが担当することが発表されました。
1935年生まれで現在88歳の村瀬継蔵さんは、1958年に映画会社・東宝に入社し、同年『大怪獣バラン』(1958年/本多猪四郎監督・円谷英二特技監督)に造形助手として参加したのを皮切りに「ゴジラ」シリーズを含む東宝怪獣映画に携わり、その後、大映の『大怪獣ガメラ』(1965年/湯浅憲明監督)や「大魔神」シリーズ、さらに東映のテレビ作品「仮面ライダー」シリーズなど、制作会社を越えて造形スタッフとしてさまざまな作品に参加。劇中に登場する怪獣や怪人の着ぐるみの造形を手がけ日本特撮映画の特殊造形の基礎を築いた、まさにレジェンドと呼ぶべき存在で、長年の功績により今年2024年に第47回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞しています。
その村瀬さんが初めて総監督として挑んだ映画が『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』。特殊美術造形家を祖父に持つ少女・朱莉が同級生で特撮ファンの卓也とともに、亡き祖父が作ろうとしていた映画『神の筆』の世界へと入り、祖父の映画の秘密に迫っていくというファンタジー作品です。
元となったのは、村瀬総監督が1970年代に香港の映画スタジオ・ショウブラザーズに招かれて同スタジオの作品に参加した際、プロデューサーの依頼で作成したプロット。残念ながら当時は映画化に至らなかったそのプロットを、50年近い時間を経て日本を舞台に映画化しました。
この村瀬総監督が長年あたためてきた構想の実現にあたり、日本特撮界の名匠たちが集結しています。
登場するキャラクターのオリジナルコンセプトデザインを手がけたのは、村瀬総監督とともに『大怪獣ガメラ』や昭和の「仮面ライダー」シリーズなどに参加したほか『蒲田行進曲』(1982年/深作欣二監督)など特撮以外でも数多くの作品に携わり、惜しくも2023年に逝去された美術デザイナーの高橋章さん。
やはり村瀬総監督と同時期から映画界で活躍し、特撮映画撮影を支える空の背景画を描き続け「雲の神様」と呼ばれる島倉二千六(しまくら・ふちむ)さんも参加。
そして「平成ゴジラシリーズ」や特撮ドラマ原作のアニメ「SSSS.GRIDMAN」(2018年)などの怪獣デザインで特撮ファンからの支持も熱い西川伸司さんが怪獣デザインを担当。
特撮監督は、2000年以降の「ゴジラ」シリーズや「ウルトラマン」シリーズに造形スタッフとして参加し、人形時代劇怪獣映画『狭霧の國』(はぎりのくに:2019年)では監督・脚本・撮影・美術・特殊技術をつとめた佐藤大介さん。
1970年代から2000年代まで数々の作品を生み出してきた特撮クリエイターたちが世代を越えて集結し、着ぐるみとミニチュアによるアナログ特撮を基本に最新の合成技術やエフェクト処理を加えた、往年の特撮を継承した映像を生み出しています。