映像制作ユニット「しどろもどり」の最新作で堀春菜さんの5年ぶりの映画主演作となる『スミコ22』(すみこにじゅうに)が6月29日に東京の新宿K's cinemaで公開されるのが決定し、ポスターヴィジュアルが解禁。また、堀春菜さん、福岡佐和子監督らのコメントが発表されています。
2018年に、当時日本大学芸術学部演劇学科在学中だったはまださつきさんと、映画学科在学中だった福岡佐和子監督が結成した映像制作ユニット「しどろもどり」は、ウェブラジオから活動を始め、第32回東京学生映画祭コンペティション上映作『トエコモイ』(2021年)、劇場公開を果たした『まだ君を知らない』(2022年)と映画を送り出しています(いずれも福岡佐和子監督)。
その最新作となる『スミコ22』は、メガホンをとった福岡監督自身の体験をベースにした物語で、就職した会社を4ヶ月で辞めた22歳の女性・静岡スミコの等身大の葛藤をユーモラスに描いていきます。
主人公の静岡スミコを演じるのは、主演作『空(カラ)の味』(2016年/塚田万理奈監督)などで高い評価を受け、これが『浜辺のゲーム』(2019年/夏都愛未監督)以来、5年ぶりの主演作となる堀春菜さん。
そして、しどろもどりのひとり・はまださつきさんが、スミコの同居人・はなを演じるほか、松尾渉平さん、樹さん、安楽涼さん、梶川七海さん、イトウハルヒさん、川本三吉さんらが出演。
さらに、しどろもどりの前作『まだ君を知らない』に主題歌「台所のうた」を提供したシンガーソングライターの工藤祐次郎さんがナレーションを担当、2作続けてしどろもどり作品に参加しています。
解禁されたポスターヴィジュアルは『ほとぼりメルトサウンズ』(2022年)などで映画監督としても知られる東かほりさんがデザインを担当しており、ショートケーキを頬張るスミコの写真に「自分とたしかに過ごす毎日」というコピーが添えられた、温かさを感じるヴィジュアルとなっています。
特報映像は、顔を洗うスミコを捉えたスタンダードサイズのワンカットのみで構成されつつ、どこか映画全体の雰囲気も感じさせるものとなっています。
また、公開決定にあたり、主演の堀春菜さん、福岡佐和子監督、出演に加え助監督もつとめたはまださつきさん、ナレーションをつとめる工藤祐次郎さんがコメントを発表しています。
主演(静岡スミコ役):堀春菜さんコメント
私が22歳だったのは、世界中がコロナという言葉を知る少し前。俳優の仕事をしながら保育園でアルバイトをしていて、それなりに悩みながらも楽しく生活していた気がする。と、一言でまとめられてしまうくらい、あの頃、私が何を考えていたのかあまり覚えていない。自分の好きが曖昧になっていることに気がついてそのことについて一生懸命考える22歳のスミコを演じながら、忘れちゃったけどこんないい時間を私も過ごしていたかもしれないと思った。
悩め、悩め、いいことだ、と今の自分が彼女たちに伝える時、同時にこれからの私に同じことを言われる気がしてドキッとした。22歳のスミコと22歳だった私、これからのいつかの私が問いかける。今、好きなことはなに?最近会ったワクワクしたこと、怒ったこと、教えてよ、と。劇場公開を迎えて、『スミコ22』を過ごしてくれた方々と早くおしゃべりがしたい。
福岡佐和子監督コメント
この映画は私自身の、仕事を辞め、自分が考えていることに対して敏感になりたい という気持ちで過ごしていたころの気持ち、日々が基になっています。
毎日というのはとりとめがなく、ひとつづきには進んでいかないけれど、どんな気分でも、自分の感じていることをまっすぐキャッチしていられたらいいな、と思っています。
私はこの映画の主人公であるスミコのことがとても好きです。
たくさんの方に出会っていただけますように。
かっこいい一人一人が一緒になってつくってくれたこの映画を、大好きなK’s cinemaさんで上映の機会をいただけたこと、本当に嬉しく思っています。
出演(はな役)・助監督:はまださつきさんコメント
人と関わる時、「みかんりんご理論」を大事にしています。「一見違うようだけど、私がみかんを好きなのと同じように彼女はりんごが好きなんだな」というふうに考えよう、というやつです。
『スミコ22』を作っていく時、それが少しずつアップデートされていく感覚がありました。「私がみかんを好きなのと同じように彼女はぶどうが嫌いだ」、もっと言えば「私がみかんを好きなのと同じように彼女はいま散歩をしている」みたいな理解(共感?)の仕方がいちばん、相手のこと好きでいられるんじゃないかなあと。
つまりその、『スミコ22』のこと、「具体的にはそんな共感とかじゃないけどなんか、なんかわかる〜〜!」と思っています。
そういう風に映画観たり友だちと関わったりしていたい!
ぜひ、この映画に関わりに来てください。
ナレーション:工藤祐次郎さんコメント
人の日記を覗き見るという行為はなかなかの大罪であるかとは思うのですが、『スミコ22』は監督である佐和子さんの日記を元に書かれた脚本とのこと。
頭では思っていても口にすると誰かを傷つけたり、面倒くさがられたり、自分が悲しくなってしまったりしかねない心の声を担当しました。そんなこと、思っていてもやっぱり言えないよなあ、という声を口にしながら私、少しドキっとしたりしています。
ところで私は自販機のカップルが好きです。すごく。
『スミコ22』は、大阪で開催されている第19回大阪アジアン映画祭のインディフォーラム部門で3月6日・7日に上映(堀春菜さん、はまださつきさん、福岡佐和子監督が登壇)され、6月29日土曜日より東京の新宿K's cinemaで公開されます。
『スミコ22』あらすじ
友人とエビフライパーティーをしている静岡スミコはふと思う。自分の感覚がいつの間にかひどく曖昧なものになっている。何が猛烈に好きで何が耐え難く嫌いか、何を面白く思っていて何を喋りたいのか、そのどれをもちっとも感じられないまま人生を過ごしてしまっていると。
それからのスミコは自分と会話しながら日々を過ごす。実家にいる猫のおこげが彼女にとってとても大事である。馴染めない空間に馴染もうと挑んだ後は、美味しいチョコを食べる必要がある。白いスキニーを履いてパンツが透けている人が気になる。二日酔いで昨日のことを思い出すはずが、思い出す必要のないところまで思い出してしまう。くしゃみをすると鼻水が出ることを意味わからないなと思う。
大学を卒業して入社した会社を4ヶ月でやめたスミコ。新生活の中で、自分がたしかに思っていることを たしかに思っているな と思いながらすごそうとしている。