PFFアワードで2作連続入選を果たした新鋭・石川泰地監督初の特集上映「一部屋、二人、三次元のその先」が東京のテアトル新宿で5月3日より1週間にわたり開催されるのに向け、石井裕也さん、石川慶さん、山川直人さんと3人の映画監督が絶賛のコメントを寄せています。
石川泰地(いしかわ・たいち)監督は1995年生まれ。早稲田大学在学中に、映画監督の是枝裕和さんや映画研究者の土田環さんが担当教員をつとめる映像制作実習の授業を受講して短編『亡霊は笑う』(2018年)を監督。その後、2021年に短編『巨人の惑星』でPFFアワード2021入選、2023年には中編『じゃ、また。』でPFFアワード2023入選・映画ファン賞(ぴあニスト賞)受賞と、新人監督の登竜門として定評のあるPFFアワードに2作連続入選を果たしています。
このほど開催される初の特集上映「一部屋、二人、三次元のその先」では、PFFアワード入選作である『巨人の惑星』『じゃ、また。』の2作品を上映。
『巨人の惑星』は、東京の夜の街に出現する「巨人」の存在を信じる男とその友人の物語。
『じゃ、また。』は、大学を除籍になり引きこもる男のもとを、映画サークルの仲間が訪ねてくることから始まる作品。
2作品とも、ほとんどがアパートの一室のみでおこなわれており、メインキャストは石川監督自身とその友人のふたりだけ。「自主映画」の最もプリミティブなかたちとも言えるミニマルな作品ながら、ふたりが交わす会話が、いつしか観る者を壮大な世界へといざなっていくような作品となっており、特集上映のタイトル「一部屋、二人、三次元のその先」は、2作に共通する要素を象徴的に示しています。
特集上映の開催に向け、石川監督自ら編集した2作品それぞれの予告編が公開されています。
さらに、『舟を編む』(2013年)『月』(2023年)などの石井裕也さん、『蜜蜂と遠雷』(2019年)『ある男』(2022年)などの石川慶さん、『ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け』(1986年)『時の香り リメンバー・ミー』(2001年)などの山川直人さんと、3人の映画監督より絶賛のコメントが寄せられています。
映画監督:石井裕也さんコメント
某有名俳優が『じゃ、また。』を観て「俺もこの作品に出たい」と言っていたが、石川監督が作るあの「部屋」には簡単に入れない。誰にも真似できない会話劇。
映画監督:石川慶さんコメント
なんだろう、作りも題材もすごく“自主映画”なんだけど、最後とんでもなくダイナミックに“大きな映画”に様変わりするんですよ。 規格外の新人の登場に、同じ石川監督として戦々恐々としております。
映画監督:山川直人さんコメント
最小限の素材で最大の面白さ。これが石川泰地監督作品の特質だ。
しかも謎なのに魅力的、これは現実か幻想か、そして真面目なのかハッタリなのか...。
頭の中で想像が渦を巻く。これこそたぐいまれにして至上最高の映画体験だ!
石川泰地監督は、大手出版社・講談社が2023年8月より募集した映像クリエイター支援プロジェクト「第2回シネマクリエーターラボ」で短編映画の企画『エンパシーの岸辺』が1126に及ぶ応募作の中から3組の優秀賞のひとつに選ばれており、同作品は2024年内に映画化され、国内外の映画祭への出品が予定されています。
今後の活躍が期待される新鋭・石川泰地監督初の特集「一部屋、二人、三次元のその先」は、5月3日金曜日より9日木曜日まで東京のテアトル新宿で開催。『じゃ、また。』はテアトル新宿で撮影されたカットもあり、撮影地で鑑賞するという、またとない体験ができるのも注目です。
石川泰地監督メッセージ
カメラという言葉は、ラテン語で「暗い部屋」という意味の“camera obscura”から来ているそうですね。今 回上映される二つの短い映画はどちらも、ある男が暮らす部屋を、もう一人の男が訪ね、二人の間で反射し た言葉が窓ガラスを抜けて、部屋の外に虚像を作り出す、みたいな話です。一人、自室で煮詰めた二つのア イデアが、近しい友人たちの多大なる献身を得て、それぞれの像を結びました。この、たいへん小さな映画 が、映画館という「暗い部屋」で上映されることで、大きな映画となることにワクワクしています。
特集上映「一部屋、二人、三次元のその先」上映作品『じゃ、また。』場面写真