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8月にシネマノヴェチェントで開催「Jホラーの父 鶴田法男監督特集」で貴重な作品上映!

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「Jホラーの父 鶴田法男監督特集」で上映される1985年製作の8mm作品『トネリコ』フライヤー

 数々のホラー作品を送り出し「Jホラーの父」と呼ばれる鶴田法男監督の特集上映「Jホラーの父 鶴田法男監督特集」が、8月21日より24日まで横浜のミニシアター・シネマノヴェチェントで開催され、8mm自主作品から最新長編まで11作品が上映されます。

 まだ「Jホラー」という言葉も存在しなかった1991年にオリジナルビデオ(OV)作品『ほんとにあった怖い話』で商業監督デビューして以降、多くのホラー作品を世に送り出してきた鶴田法男監督。
 それまでになかった恐怖表現でのちのホラーに多大な影響を与えるとともに、テレビ版『ほんとにあった怖い話』や劇場用作品『リング0~バースデイ~』(2000年)などで日本にホラーを根付かせてきた鶴田監督は、現在の「Jホラー」の隆盛への道を拓いてきた「Jホラーの父」と呼ばれる存在です。

 今回の特集上映では、鶴田監督の多くの作品の中からバラエティに富んだ11本の短編・中編・長編をピックアップして一挙上映します。
 劇場用長編は、ホラーコミックの巨匠・伊藤潤二さんの原作を野波麻帆さんと柴咲コウさんらの出演で映像化した香港との合作作品『案山子 KAKASHI』(2000年)と、中国に招かれて監督した最新監督作となるサスペンス・スリラー『戦慄のリンク』(2020年)の2作品を上映。
 OV作品は、黒沢清監督や脚本家の高橋洋さんら多くのホラーの作り手が絶賛した「Jホラーの原点」と呼ぶべき先駆的作品『ほんとにあった怖い話』シリーズ三部作(1991年~1992年)を3作すべて上映。
 さらに、鶴田監督自薦による短編作品3作品をまとめて上映する「短篇集」(詳細はシネマノヴェチェント公式サイト内の特集詳細ページに掲載されます)。
 そして、鶴田監督高校時代の作品で監督にとって初めてのストーリーのある作品となった人形アニメ+トレーシングペーパーアニメ『ライオンVS.ジャガー』(1977年)と、鶴田監督が初めてサスペンス・ホラーに挑んだ『REDRUM』(1982年)、鶴田監督の商業監督デビューのきっかけとなったホラー『トネリコ』(1985年)と、アマチュア時代の8mm短編を、オリジナルのフィルム素材で上映します。
 ごく初期の作品から最新作まで、劇場用映画・OV・テレビ作品と様々なメディアにまたがり、日本国内に留まらず活躍する鶴田監督の、映画作家としての歩みをたどるようなラインナップとなっています。

 また、特集上映最終日には『案山子 KAKASHI』上映後に原作者の伊藤潤二さんと鶴田監督によるトークイベントを開催。トーク後にはサイン会や撮影会、懇親会(別途参加費が必要)も開催されます。

 会場のシネマノヴェチェント公式サイト内の特集上映詳細ページでは、上映される各作品の詳細などが掲載されています

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鶴田法男監督

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特集上映最終日に鶴田法男監督とトークをおこなう『案山子 KAKASHI』原作者の伊藤潤二さん

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『案山子 KAKASHI』ポスター

 特集上映開催にあたり、鶴田監督は次のようにコメントを発表しています。

OV『ほんとにあった怖い話』での監督デビューのキッカケになった自主製作ホラー『トネリコ』他の8ミリフィルム上映や、配給会社の解散で長年スクリーン鑑賞が不可能になっていた伊藤潤二原作映画『案山子 KAKASHI』も上映。しかも、世田谷文学館「伊藤潤二展 誘惑」開催中に伊藤先生をお招きしての贅沢なトークイベントも実施。私の特集上映は1996年にOV『亡霊学級』発売時に都内ミニシアターで開催されて以来28年ぶりで、シネマノヴェチェントさんの尽力に心より感謝するばかりです。是非、ご来場ください。
映画監督・小説家 鶴田法男

Jホラーの父 鶴田法男監督特集

  • 開催日:2024年8月21日(水)~24日(土)
  • 会場:シネマノヴェチェント(神奈川県横浜市西区中央2丁目1−8 エスプラスビル2F)

上映作品

  • 『案山子KAKASHI』(2001年/日本・香港/DVD/カラー/86分)
  • 『戦慄のリンク』(2020年/中国/BD/カラー/96分)
  • 『ほんとにあった怖い話』(1991年/DVD/カラー/43分)
  • 『ほんとにあった怖い話 第二夜』(1992年/DVD/カラー/50分)
  • 『新・ほんとにあった怖い話 幽幻界』(1992年/DVD/カラー/45分)
  • 「短篇集」【販促上映】」(詳細は劇場サイトにて
  • 「8ミリ大会」(フィルム上映。ただしフィルム状態が悪い場合、急遽DVD上映に変更の可能性有り)
    • ■『ライオンVS.ジャガー』(1977年/8ミリ/カラー/4分)
    • ■『REDRUM』(1982年/8ミリ/カラー/18分)
    • ■『トネリコ』(1985年/8ミリ/カラー/26分)
  • 特集上映の詳細はシネマノヴェチェント公式サイト内特集詳細ページをご覧ください

上映スケジュール

  • 8月21日(水) 15:00~『戦慄のリンク』 / 16:45~『案山子』 / 18:30~『ほん怖』
  • 8月22日(木) 15:00~ 短篇集 / 16:45~『戦慄のリンク』 / 18:30~『ほん怖 第二夜』
  • 8月23日(金) 15:00~『案山子』 / 16:45~ 短篇集 / 18:30~『新・ほん怖』
  • 8月24日(土) 12:00~ 8ミリ大会 / 14:00~『案山子』※トークイベントあり

料金

  • 21日~23日:各プログラム 当日1600円
  • ※22日・23日上映の「短篇集」は【販促上映】となっており、当日ほかのプログラムを有料鑑賞した方が無料で鑑賞てきます。「短篇集」のみの鑑賞はできません
  • 24日:「8ミリ大会」 前売 2000円/当日 2300円
  • 24日:『案山子 KAKASHI』+イベント 前売 6000円/当日 6500円 /懇親会費 4000円

 8mmフィルムでの上映やトークイベントなど、シネマノヴェチェントだからこそ実現できた今回の特集上映。おそらく今回の特集上映以外では鑑賞が難しいであろう貴重な作品も含まれており、鶴田監督ファン、ホラー映画ファンには見逃せない4日間となっています。

 特集上映開催前週の8月17日には、新文芸坐でOV作品『亡霊学級』の制作28年を経てのデジタルリマスター版上映も開催が決定しており、今年の夏は鶴田監督作品が劇場のスクリーンを恐怖で彩る!

案山子 KAKASHI

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  • 野波麻帆 柴咲コウ グレース・イップ 松岡俊介 りりィ 河原崎建三

  • 監督:鶴田法男
  • 原作:伊藤潤ニ(朝日ソノラマ刊「伊藤潤ニ・恐怖マンガCollection」より)
  • 製作:楊受成/相原英雄/北村喜久雄/川島晴男
  • プロデューサー:尾西要一郎
  • 脚本:村上修/玉城悟/鶴田法男/三宅隆太
  • 撮影:菊池亘
  • 特殊メイク:ピエール須田
  • 音楽:尾形真一郎
  • 配給:マイピック

  • 2001年/日本・香港合作/アメリカンビスタサイズ/2chステレオ/86分配給:マイピック

  • 【あらすじ】 連絡の途絶えた兄・剛(松岡俊介)の部屋に置かれた、謎の言葉を残した一通の手紙。発見したのは剛の妹、かおる(野波麻帆)。差出人はかおるのかつての親友、泉(柴咲コウ)。兄が泉のもとに居ることを確信したかおるは、手紙が投函された“不来彼方村(こずかたむら)”へと一人車を走らせる。だが剛の姿も泉の姿もそこにはなく、かおるが眼にしたのは、無数に、そして不気味に林立する案山子の姿だった。やがてかおるは村に隠された秘密に遭遇する。

戦慄のリンク

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  • スン・イハン フー・モンボー ニー・ムーシー ハン・チウチ ワン・ツーイー ジョウ・ハオトン シャオ・ハン

  • 監督:鶴田法男
  • 脚本:ヤン・ヤン/鶴田法男
  • 原作:マ・ボヨン「她死在QQ上」
  • 撮影:神田創
  • 編集:須永弘志
  • 美術:リー・チア
  • 音響効果:大河原将
  • 照明:丸山和志
  • 音楽:小畑貴裕
  • 製作総指揮:シェン・ユビン/ポン・ヤンファン/ワン・シン/チェン・チュンイン
  • 製作:チェン・インイン/ワン・シャオシャン/チェン・チアン/ルオ・ユアン
  • 提供:三鷹オスカー/フィールドワークス
  • 配給・宣伝:フリーマン・オフィス

  • 2020年/中国/アメリカンビスタ/北京語/96分

  • 【あらすじ】 大学生のシャオノア(スン・イハン)は自殺と断定された従姉タン・ジン(ニー・ムーシー)の死に疑問を抱き、自ら真相を解明することに。犯罪心理学に詳しい従姉の同級生マー(フー・モンボー)に協力してもらい調査を進めていく。やがて、従姉のパソコンに残されていたチャットのやり取りと、「残星楼」というネット小説のリンクを発見。それを読んだシャオノアに、悪夢のような出来事が襲いかかる。

ほんとにあった怖い話

  • 『ひとりぼっちの少女』 出演:浅沼順子 久野博美
  • 『幽体飛行』 出演:森口舞
  • 『赤いイヤリングの怪』 出演:後藤宙美 石川しのぶ

  • 原作:「ほんとにあった怖い話」(朝日ソノラマ 刊)
  • 監督:鶴田法男
  • ナレーター:玄田哲章
  • 脚本:小中千昭/鶴田法男
  • 撮影:龍乃佳也/木村浩彦/中村知好/須賀隆
  • プロデューサー:伊藤直克/小椋悟

  • 1991年/スタンダードサイズ/ステレオ/43分

  • 【解説】 80年代、レンタルビデオが隆盛を極めていた頃、既存映画のビデオソフト化の仕事をしていた鶴田が、東映Vシネマのヒットなどに刺激を受けて、同名コミックのオリジナルビデオ(ビデオ専用映画)化を企画。現場経験ゼロだったが、大学4年から撮り始めた8㎜フィルムホラー映画『トネリコ』を認めてくれた出版社とプロデューサーのおかげで完成させることができた。

ほんとにあった怖い話 第二夜

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  • 『夏の体育館』 出演:春原由紀 寺田恵美
  • 『霊のうごめく家』 出演:小笠原亜里沙 伴直弥(伴大介)
  • 『真夜中の病棟』 出演:相沢朱音

  • 原作:「ほんとにあった怖い話」(朝日ソノラマ 刊)
  • 監督:鶴田法男
  • ナレーター:玄田哲章
  • 脚本:小中千昭
  • 撮影:守屋保久
  • プロデューサー:伊藤直克/植村康忠

  • 1992年/スタンダードサイズ/ステレオ/50分

  • 【解説】 1作目が予想以上のヒットになったので、直ぐに作られた2作目。ただし、1作目が思うように出来なかったと遺恨が残った鶴田は、撮影前に全ての絵コンテを描くなど周到に準備をして撮影に挑んだ。結果として、『夏の体育館』の赤い服の女は、後の黒沢清ホラーの定番の幽霊アイコンになり、『霊のうごめく家』は様々なJホラー作家に多大な影響を与えるエポックメイクな作品となった。

新 ほんとにあった怖い話 幽幻界

  • 『婆 去れ!!』 出演:山中ひとみ
  • 『踊り場の友だち』 出演:小堺忍 白石玲子
  • 『かなしばり』 出演:相沢朱音
  • 『廃屋の黒髪』 出演:山田寿子 江口秀太郎 水上竜士

  • 原作:「ほんとにあった怖い話」(朝日ソノラマ 刊)
  • 監督:鶴田法男
  • ナレーター:相見陽子
  • 脚本:小中千昭
  • 撮影:守屋保久
  • プロデューサー:伊藤直克/植村康忠

  • 1992年/スタンダードサイズ/ステレオ/45分

  • 【解説】 前作『第二夜』は今でこそJホラーの最重要作と呼ばれているが、発表された当初は「ホラーとは思えない」という批判も多数あり、数字も1作目には及ばなかった。そこで、鶴田がアメリカン・ホラー的演出で完成させたのがこの3作目。現在、ハリウッドで活躍する北村龍平監督は学生時代に本作を観て、「声を上げるほど震えあがったのは本作だけだ」と語っている。

8ミリ大会『ライオンVS.ジャガー』

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  • 【キャスト】 ライオン くたくたジャガー 小ブタ(全ぬいぐるみ)

  • 監督・撮影・照明・編集:鶴田法男
  • アニメーター:川口義仁/中山春樹

  • 1977年/8ミリフィルム/モノラル/約4分

  • 【解説】 高校二年だった鶴田法男が生まれて初めて作った物語のある映画。人形アニメ+トレーシングペーパー・アニメ。

8ミリ大会『REDRUM』

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  • 【キャスト】 脇坂美津子 内藤啓二 ほか

  • 監督・脚本・撮影・照明・編集・特殊メイク:鶴田法男

  • 1982年/8ミリフィルム/モノラル/約18分

  • 【解説】 高校二年だった鶴田法男が生まれて初めて作った物語のある映画。人形アニメ+トレーシングペーパー・アニメ。

8ミリ大会『トネリコ』

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  • 【キャスト】 中村和代 大塚敬行 内藤啓二 ほか

  • 監督・脚本・撮影・照明・編集・特殊メイク:鶴田法男

  • 1985年/8ミリフィルム/モノラル/約26分

  • 【解説】 ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』に大変な感銘を受けた鶴田法男が、大学4年の夏休み中に撮影、完成させるつもりで取り組んだ作品。結果としては、鶴田のこだわりのために撮影が終わったのは翌年春になり、完成したのは社会人になった夏だった。「ぴあフィルムフェスティバル」などの様々な自主映画祭で一次審査は通過するものの、最終的な上映には至らなかった。しかし、コミック「ほんとにあった怖い話」の実写化企画を立てた際に、出版社とプロデューサーが本作を評価してくれたことで鶴田は監督デビューを飾った。

※トークゲストの伊藤潤二先生の写真を追加しました(7月25日更新)

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