全編マダガスカル撮影、マダガスカル人キャストによる亀井岳監督のロードムービー『ヴァタ~箱あるいは体~』が8月3日に公開されるのを前に、予告編が解禁。また、映画監督の山下敦弘さん、ギターディオ・ゴンチチのチチ松村さん、歌手の友川カズキさんら著名人が作品に寄せたコメントが公開されました。
全編マダガスカル撮影の亀井岳監督新作『ヴァタ~箱あるいは体~』予告編と推薦コメント解禁
『ヴァタ~箱あるいは体~』は、『チャンドマニ ~モンゴル ホーミーの源流へ~』(2010年)、『ギターマダガスカル』(2016年)と、旅と音楽をテーマにドキュメンタリーとドラマを融合させるスタイルの作品を送り出してきた亀井岳(かめい・たけし)監督の新作長編。
高校時代からマダガスカルの音楽に魅せられていた亀井監督は、マダガスカルで撮影された前作『ギターマダガスカル』撮影時に、遺骨を運ぶために長距離を徒歩で旅する人々と偶然に遭遇し、その姿が深く記憶に残ったことから、再びマダガスカルを舞台にした映画の製作を決意。
音楽によって祖先と交わるマダガスカルの死生観をベースに、演技未経験の少年やミュージシャンら、マダガスカルのキャストのみを起用し、離れた村で亡くなった姉の遺骨を持ち帰る旅に出た少年たちの物語『ヴァタ~箱あるいは体~』が誕生しました。
このほど解禁された予告編は、主人公の少年・タンテリたちが遺骨を持ち帰るための旅の様子が綴られ、後半では映画の大きな魅力である音楽の演奏シーンの一端を見ることもできます。
予告編解禁と合わせて『告白 コンフェッション』『水深ゼロメートルから』と監督作の公開が続く映画監督の山下敦弘さん、前作『ギターマダガスカル』にもコメントを寄せた日本を代表するギターディオ・ゴンチチのチチ松村さん、長いキャリアを持つ歌手の友川カズキさん、ファンクバンド・在日ファンクのベーシスト・村上啓太さんら、映画・音楽・写真など様々なジャンルで表現活動に携わる著名人からのコメントも公開されました。
映画監督:山下敦弘さんコメント
カラフルな素材と様々な調味料で味付けした商業映画とは違い、この作品には素材を塩のみで調理したかのような潔さがある。なのに不思議と豊かに感じるのは何故なんだろう?
“旅”と“風景”と“音楽”がゆっくりと混ざりあって、普遍的なのに今まで見たこともない映画を作り続ける亀井岳監督は本当に凄いと思います。またいつか唯一無二の映画を観せてください。
ミュージシャン(ギターデュオ「ゴンチチ」メンバー):チチ松村さんコメント
『ギターマダガスカル』で気になっていた、ヴァイオリンを弾きながら鳥や動物のような声で歌うおじさんにまた会えた。
でも一番感動したのは骨になった少女の言葉「楽器は箱 その中には記憶があります」
だからギターを弾く度、過去の音楽家たちの魂が震えるのか!と腑に落ちた。
歌手:友川カズキさんコメント
目は、まだ見ぬものを見るためにあるのではないだろうかと、
この映画を見終わって思ってしまった。
姉の骨を運ぶ少年の目には、鈍色の小さな光が宿っていた。
まるで命のつぶてでもあるかのように。
写真家:西野壮平さんコメント
歩くことそのものは祈りのようでもあり、
そしてその行為は亡くなった魂と繋がったり呼び起こしたりする力がある。
マダガスカルの儀礼に基づく、村から村へ向かうこの小さな村の小さな物語の中には、
遠くの目的地を想像するよりも掌に表示される幻想を先んじてしまいがちな現代人にとっての、
本当の豊さとはなんであるかといった壮大なメッセージが多く詰まっている。
亀井監督の前作『ギターマダガスカル』で手掛けたキャストを再び起用するところや、
彼らの劇中での些細な会話に焦点をあてる表現などは、
亀井監督のマダガスカル音楽や文化、歴史への深い愛情を感じさせる。
ミュージシャン(バンド「在日ファンク」メンバー):村上啓太さんコメント
どこかで知っているような普遍的な筋立てながら、
箱に入れた遺骨を3日間歩いて運ぶ道程は不思議で、
そこに帯同しているのは箱でできた楽器であるギターだ。
音楽と亡骸が同じような容れ物に入っている、というイマジネーションに驚いた。
遠いマダガスカルの大地に想いを馳せる。
トロンボーン奏者・作編曲家:湯浅佳代子さんコメント
タンテリの澄んだ目と、マダガスカルの自然が奏でる環境音、生をそのまま表現した音楽に引き込まれる。
人が生まれて、その命が尽きるまで過ごす時間を『美しく、純粋』に生ききる人達の映画です。
また、映画本編の雰囲気を伝える新たな場面写真5点も解禁されました。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022で長編部門観客賞を受賞し、待望の劇場公開となる『ヴァタ~箱あるいは体~』は、8月3日土曜日より東京の渋谷ユーロスペース、8月24日土曜日より大阪の第七藝術劇場にて公開。ほか、名古屋のナゴヤキネマ・ノイ、金沢のシネモンドなど全国順次公開されます。
『ヴァタ~箱あるいは体~』ストーリー
舞台は、亡くなった故人の故郷の村人がその遺骨を生まれ育った場所に持ち帰らなくてはいけないマダガスカル南東部。タンテリとザカ、スル、そして離れ小屋の親父の4人は、出稼ぎ先で亡くなったタンテリの姉・ニリナの遺骨を取りに行き、ルールを守って持ち帰るよう命を受け、それぞれ楽器を手に片道2、3日かかる村へ旅に出る。
4人は途中、出稼ぎに行ったまま行方知れずの家族の消息を求めて旅するルカンガの名手・レマニンジに遭遇。
果たして4人は、無事ニリナの遺骨を故郷に持ち帰り、ニリナは“祖先”となれるのか。レマニンジは、家族を見つけ、長い旅を終えられるのか。