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性被害を正しく伝える映画を――若き監督が挑む長編『それでも、』制作支援CF実施中

 現役大学生である監督が「性被害を正しく伝える映画を作りたい」という想いで制作し劇場公開を目指す長編映画『それでも、』の制作を支援するクラウドファンディングが11月25日まで実施されています。

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主人公・真木芳子の顔に“私はいつまで「被害者」なの?”というコピーが添えられた『それでも、』キーヴィジュアル

 『それでも、』は、高校時代に交際相手から性暴力を受けた女性が主人公。被害に遭って以降、自らの行動に悩み、結婚生活もうまくいかなくなる主人公の姿を通して、性被害が残してしまうものを描いていきます。

 監督・脚本をつとめるのは、高校時代に自主映画コンクール「高校生のためのeiga worldcup 2019」に入選した経験を持ち、現在は同志社大学4年に在学中の佐藤諒介監督。
 高校時代から映画制作を始めた佐藤監督は、初の長編として性被害を題材とした『生きる』(2018年)を制作しており、同作では年齢的な問題もあり性被害という題材をうまく扱えなかったという想いがあったこと、また近年の映画界を含む有名人による性加害報道に触れた際に性加害問題に対する自身の矛盾した感情や世間での性被害への理解不足を実感したことから、もう一度性被害を題材とし「性被害への正しい理解を届けたい」と『それでも、』制作をスタートさせました。
 主人公の真木芳子を、同志社大学3年で舞台や映像作品で女優として活動する谷本紗優奈(たにもと・さゆな)さんが演じるなど、キャスト・スタッフともに佐藤監督と同じ同志社大学の学生が中心となって制作されます。

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監督・脚本をつとめる佐藤諒介監督

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主人公・真木芳子を演じる谷本紗優奈さん

 『それでも、』では、性加害の多くが被害者と面識のある人物によるものであるという現実を反映させ「交際相手による性加害」が描かれ、また性加害の背景に支配欲・征服欲があり被害者もまた加害者になりうる負の連鎖が描かれていきます。
 さらに、被害者の抱える自己矛盾を通して類型的でない個人の心の問題を描き、そして第三者がひとりの「個」である被害者にどう向き合うかを問いかけます。

 クラウドファンディングにあたって制作されたキーヴィジュアルは、主人公・真木芳子の写真に“私はいつまで「被害者」なの?”というコピーが添えられています。
 このコピーは、被害者はいつまで性被害のトラウマに苦しまなければいけないのかという意味とともに、被害者は世間が描く「被害者像」を演じなければいけないのか? という意味が込められています。
 2点のサブヴィジュアルにも、それぞれ“私はそんなに哀れな女ですか?”、“みんなみたいになりたかった…”という、映画が伝えようとするテーマを象徴するコピーが添えられています。

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『それでも、』サブヴィジュアル。“私はそんなに哀れな女ですか?”

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『それでも、』サブヴィジュアル。“みんなみたいになりたかった…”

 劇場での公開を目指して制作される『それでも、』を支援するクラウドファンディングは、映画関連のクラウドファンgヒングに豊富な実績を持つプラットフォーム・MotionGalleryで実施されています。
 クラウドファンディングは、制作に要する費用を工面するという目的だけでなく、多くの人と関わりを持ちながら映画を完成させたい、多くの人に作品を届け性被害について深く考えてもらいたいという佐藤監督の意向から実施されています。
 クラウドファンディグは50万円を目標に2024年11月25日まで実施。リターンには、完成した『それでも、』のオンライン視聴権やBlu-rayディスク、脚本のPDFデータなどのほか、監督・キャストが支援者1名の質問に答えるオンラインイベントなども用意されています。

『それでも、』制作支援プロジェクト

  • 実施期間:2024年9月1日(日)〜11月25日(月)
  • プロジェクトページ:https://motion-gallery.net/projects/soredemo_208(MotionGallery内)
  • 支援コース:「応援」コース(500円)、「映画が観たい」コース(3000円)、「Blu-ray(オーディオコメンタリー付)」コース(10000円)など多数

 映画『それでも、』は、2024年9月と2024年12月から翌年1月にかけて撮影をおこない、2025年春ごろに完成、2025年夏ごろの劇場公開を目指しています。
 若き監督とスタッフ・キャストが性被害というテーマに真摯に取り組む『それでも、』の今後の情報に注目です。

『それでも、』あらすじ

 真木芳子は、高校1年のときに当時付き合っていた男から性暴力を受ける。
 それ以来、芳子は色んな男と性交渉を繰り返すようになる。トラウマの再演、性被害の再演をしているかもしれない自分と、性被害以前の性に対して一際関心が強かった自分。私が性交渉を好むのは、どちらによるものなのだろうか。男たちは芳子の過去を知ると、「助けてやる」と言ってくれる。でも、その度に私は助けてもらわないほど、哀れな存在なんだと感じてしまう。私はまだ過去のトラウマに苦しむ「被害者」なんだ。そんな辛い現実から抜け出すために、みんなが手にしている日常を欲しいと思い始める。みんなみたいに笑えて、幸せを感じるそんな日々を。
 芳子は結婚して、夫と妻、子供一人の温かい家庭を夢見る。しかし、なかなか子宝に恵まれず、不妊治療をしてもうまくいかない。夫の態度も初めて出会ったころから変わって、威圧的になっていく。芳子は夫への愛が冷め、家を出る。
 5年の結婚生活が終わり、車で一人休んでいると、「一緒に乗せていってほしい」と見知らぬ女性・吉澤幸が現れる。幸とのドライブを楽しむ道中、セクハラをしてくる男と出会う。芳子はフラッシュバックして苦しくなる。うまく笑って過ごせる幸を見て、羨ましく妬ましく思う。とうとう、芳子は幸をバットで殴ってしまう。 みんなみたいになりたかった。みんなみたいな日常を送りたかった。ただそれだけなのにーー。

それでも、

  • 谷本紗優奈 今北ほのか 平田全 藤井暉大 ほか

  • 監督・脚本:佐藤諒介

2024年11月25日(月)まで制作支援クラウドファンディング実施中

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