辻野正樹監督の新作『北浦兄弟』が、世界15大映画祭のひとつタリン・ブラックナイト映画祭のクリティック・ピックス・コンペ部門で上映されることが発表されました。日本では2025年に劇場公開が予定されています。
『北浦兄弟』は、疎遠だった兄弟が、ある事件をきっかけに事態を収拾しようと反発しつつもともに奮闘するものの、物事が悪い方向へと進んでいく様子をユーモアを交えて描くロードムービー。
人生が思うように進まない人間の悲哀をブラックなテイストでありつつペーソスあふれるコメディとなっています。
監督をつとめた辻野正樹監督は、ミュージシャンを経て舞台の作・演出家、映像作品の脚本家と活動の場を広げ、40歳を過ぎてからENBUゼミナールで映像制作を学んだ異色の経歴の持ち主。短編作品やオリジナルビデオ作品の監督をつとめたのち、2020年に初の劇場用長編『河童の女』が公開され「51歳の新人監督」(※年齢は当時)として話題となりました。
『北浦兄弟』は、『河童の女』に出演していた俳優の中野マサアキさんと辻野監督が企画し、ふたりで製作費を持ち寄って制作したインディペンデント作品で、中野マサアキさんが兄弟のひとり・ソウタを演じ、中野さんと同様に数多くの作品に出演する俳優・大塚ヒロタさんが兄弟のもうひとり・アキラを演じています。
このほど『北浦兄弟』の上映が発表されたタリン・ブラックナイト映画祭(Tallinn Black Nights Film Festival)は、1997年に初開催され今回で28回目となる、北欧・エストニアの首都・タリンで開催される映画祭。国際映画製作者連盟(FIAPF)が公認する映画祭のひとつで「世界15大映画祭」のひとつに数えられています。
『北浦兄弟』が上映されるクリティック・ピックス・コンペ部門(Critics' Picks Competition)は、カンヌ映画祭やベルリン映画祭などにおける「批評家週間」と同様の部門で、多くが国際映画批評家連盟の会員で構成される審査員により、最優秀作品と最優秀監督が選出されます。
今年の第28回タリン・ブラックナイト映画祭は11月8日から24日まで開催。『北浦兄弟』は、11月21日と22日に上映が予定されています。
タリン・ブラックナイト映画祭での上映にあたり、辻野監督は次のようにコメントを発表しています。
辻野正樹監督コメント
この作品では、社会からはみ出してしまった兄弟が、取り返しのつかない失敗を重ねていく様を描きました。コーエン兄弟や、ポン・ジュノ監督の作品のような、ブラックなテイストで人間を描いていながら、ユーモラスな作品になったと思います。エストニアで、たくさんの方に観ていただいて、苦笑いしていただけたら嬉しいです。
海外映画祭での上映で注目が予想される『北浦兄弟』は、日本国内ではGACHINKO Filmの配給により、2025年の上映を予定しています。