中山雄斗さん、架乃ゆらさんを主演に、中川究矢監督が「生きづらさ」を抱える若者たちの姿を描く青春群像劇『ナマズのいた夏』が、2025年2月8日より東京の新宿K’s cinemaほか全国公開となることが発表され、メインヴィジュアルと予告編、キャスト・監督のコメントが解禁されました。
『ナマズのいた夏』は、中学時代に友人をなくした過去を持つ青年とその旧友、青年の元同僚で父親を探す女性の3人が、田舎町でひと夏を過ごす中でそれぞれの過去と向き合っていくストーリー。衰えゆく地方都市で生きづらさを感じている若者たちを、アメリカナマズなどの外来生物の生態と重ねるように描く青春群像劇となっています。
解禁された『ナマズのいた夏』場面写真。架乃ゆらさんが演じるヒロイン・佐伯結衣
主人公の達生を演じるのは『朝がくるとむなしくなる』(2022年/石橋夕帆監督)『ココでのはなし』(2023年/こささりょうま監督)など出演作の公開が続く中山雄斗さん。達生のバイト先の元・同僚であるヒロイン・結衣役には『グッドバイ、バッドマガジンズ』(2022年/横山翔一監督)『僕の月はきたない』(2023年/工藤渉監督)の架乃ゆら(かの・ゆら)さん。達生の中学時代の同級生・哲也役には『四月になれば彼女は』((2024年/山田智和監督)の松山歩夢(まつやま・あゆむ)さん。
さらに、達生の父・晋一に『れいこいるか』(2019年/いまおかしんじ監督)の河屋秀俊さん、晋一の経営する工場の従業員・渡辺に『テクノブラザーズ』(2022年)などで映画監督としても活躍する渡辺紘文さん、ほか『渇愛の果て、』(2023年/有田あん監督)の山岡竜弘さん、近年の日本映画界に欠かせない川瀬陽太さん、ミスヤングアニマル2023グランプリの平岡明純(ひらおか・あすみ)さん、『正しいアイコラの作り方』(2024年/神谷正智監督)の古林南さんらが共演しています。
メガホンをとったのは『カマキリの夜』(2018年)『あ・く・あ 〜ふたりだけの部屋〜』(2021年)などの監督作のほか、プロデューサーや音響技師としても多くのサウ品に携わる中川究矢監督。脚本は『うみべの女の子』(2021年/ウエダアツシ監督)などの脚本を手がけ『あ・く・あ 〜ふたりだけの部屋〜』でも中川監督とタッグを組んでいる平谷悦郎さんが担当しています。
そしてシンガーソングライターの寺尾紗穂さんが提供した「川辺にて」が主題歌として使われ、物語の余韻をより深くしています。
解禁されたメインヴィジュアルは、曇天の下、雑草が生い茂る河原に立ちすくみ、しかしまっすぐに視線を向けるヒロイン・結衣の姿が印象的。
「半端に大きな、川の流れる町だった」という結衣のモノローグで膜を明ける予告編は、再会した達生と哲也、誘われた結衣が行動をともにしていく過程や、ベトナム人技能実習生たちと達生たちの交流などを映し出しつつ、それぞれが抱えるものを感じさせる映像で、少し傾いた文字も、どこか彼らの状況を象徴するよう。
場面写真も、劇中のさまざまなシーンが切り取られています。
公開決定にあたり、物語の中心となる3人を演じる中山雄斗さん、架乃ゆらさん、松山歩夢さんと、中山究矢監督がコメントを発表しています。
遠山達生役:中山雄斗さんコメント
友達や身近な人の死をどう受け入れればいいか、この映画の自分の役を通して考え抜きました。まだわかりません。一つ、自分の中でたどり着いた答えは、生きている人間は死んでいった大事な人を思い出すことができる。という当たり前のことでした。そんな当たり前の答えと、わからなかった問いを達生の中に込めました。大切な作品になりました。真冬に夏の暑さを思い出しながら観てもらえると嬉しいです。
佐伯結衣役:架乃ゆらさんコメント
『ナマズのいた夏』いよいよ公開です。人はみんな誰かに理解されたいと思っているし、同時に誰かを理解したいとも思っているんじゃないかと考えています。『ナマズのいた夏』の登場人物たちもみんな誰かに理解されたくて、誰かを理解したくて触れ合ったりすれ違ったりしながら生きていて、そのどこかどうしようもない寂しさにきっと共感してもらえると思います。ぜひ劇場でご覧ください。
高木哲也役:松山歩夢さんコメント
僕が演じた哲也は、単純で抜けているところはあるけど、自分にも他人にも真っ直ぐで、正義感の強い人間です。僕自身と似ている部分も多く、哲也にすっと入り込めた記憶があります。挫折した苦しみや痛みを知っているからこそ、人に寄り添ったり、立ち向かうことが出来るのではないか。「ナマズのいた夏」は、その可能性と向き合った作品だと思っています。沢山の方に見て頂きたい作品です。是非、劇場に足をお運びください。
中川究矢監督コメント
2020年の春にCOVID-19の初めての緊急事態宣言が出て、街から人がいなくなった時、僕は千葉の印旛沼水系の川の側で野宿して、徹夜でカミツキガメとアメリカナマズを狙っていました。日本にとっての外来種であるカミツキガメは印旛沼水系に、アメリカナマズはそこと霞ヶ浦水系に繁殖しています。
ちょうどその頃、日本で働くアジアから来た技能実習生が抱える様々な問題がメディアで取り上げられていました。生物の世界では外来種が在来種を駆逐していますが、技能実習生の問題ではその逆のように感じました。その対比を絡めて、アメリカナマズが生息している衰えゆく地方都市を舞台に映画を撮りたいと思いました。
閉塞感が立ち込め希望ある未来を描くことができない現在の日本をスクリーンへと焼き付けた2020年代のマスターピースとなる作品『ナマズのいた夏』は、2025年2月8日土曜日より、東京の新宿K's cinemaにてレイトショー。ほか、全国順次公開されます。