初長編『ディスコーズハイ』で注目を集めた岡本崇監督の新作で、伊集院香織さん、後藤まりこさん、津田寛治さんらが出演する『ボールド アズ、君。』が、2025年3月29日より東京の新宿K's cinemaほか全国順次公開となることが発表され、ポスターヴィジュアルと監督コメントなどが解禁されました。
数々のインディーズバンドのミュージックビデオを監督し、音楽業界を舞台にした青春映画『ディスコーズハイ』(2021年)で長編監督デビューを果たした岡本崇監督。その長編第2弾となる『ボールド アズ、君。』は、岡本監督自身が「作者の意図とは無関係に」音楽や映画に救われたという経験に基づき「勝手に救われよう」をテーマに生み出された物語。人付き合いが苦手で、カリスマボーカリストとミニシアター支配人を「神様」と慕う主人公の熱い想いが描かれていきます。
カリスマボーカリストとミニシアター支配人を神様と慕い、やがて自らもギターを手にする主人公・南條珠(なんじょう・たま)役には「ギターをカッコよく弾ける女性を」という岡本監督の意向により、バンドプロジェクト「みるきーうぇい」で音楽活動をおこなう伊集院香織さんを抜擢。自身がイジメに遭った経験を歌った楽曲で注目された伊集院さんが、岡本監督が自身を投影した「人付き合いが苦手で学校で嫌がらせに遭う」という役柄ともシンクロし、南條珠というキャラクターを劇中に息づかせています。
珠にとっての神様のひとりであり、ロックバンド「翳ラズ」(かげらず)のボーカリスト・瓶子結衣子(へいし・ゆいこ)を演じるのは、バンド活動を経てソロミュージシャンとして活躍、そのカリスマ性と激しいパフォーマンスで熱烈な支持を集め、同時に舞台やテレビドラマなどで俳優としても活躍する後藤まりこさん。まさにこれ以上ないキャスティングが実現しています。
もうひとりの珠にとっての神様で、珠の行きつけのミニシアターの支配人・井澤雄一郎役には、日本映画界に欠かせない俳優・津田寛治さん。
井澤が支配人をつとめるミニシアターは「ナナゲイ」の愛称で映画ファンに親しまれている大阪のミニシアター・第七藝術劇場でロケがおこなわれました。
そして、劇中に登場するバンドにも注目です。
瓶子結衣子がボーカルをつとめる「翳ラズ」は、岡本監督自身がギタリスト役で出演し、ベースをdaisukeさんがつとめるのに加え、ドラマー役でロックバンド・東京事変のドラマー・刄田綴色(はた・としき)さんが出演。
劇中のライブシーンでは、スムルース、アシガルユースという実在のバンドが参加するほか、岡本監督の前作『ディスコーズハイ』に登場し架空のバンドながらネットで大きな話題となったP-90も参加。
ギターバトルに挑む珠の対戦相手として、バンド「ぐしゃ人間」のギタリスト・亀さんが出演しています。
さらに「歌って踊って演技もする」シアターアイドルグループ・ muko²(ムコムコ)のメンバーであるおかきさん、シンガーソングライターのぽてさらちゃんさん、『ディスコーズハイ』にも出演していた鈴木智久さん、映画プロデューサーとしても活躍する下京慶子(しもきょう・けいこ)さんら多彩なキャストが参加。
e-sports実況者のアールさんが出演し、人気ホラーゲーム「Shadow Corridor 2 雨ノ四葩」のキャラクター・テルテル坊主が登場するなど、ジャンルを越えたコラボレーションにも注目です。
大須インディペンデント・フィルム・フェスティバル2024長編部門最優秀賞、山形国際ムービーフェスティバル2024審査委員特別賞など、各地の映画祭で上映・受賞が続いている『ボールド アズ、君。』が、東京・新宿のK's cinemaや、同館近くに位置し映画ファンが集う店・Bar DUDEでの追加撮影を加えた最新バージョンとして、2025年3月29日K's cinemaほかでの公開が決定。
公開決定に合わせて解禁されたポスターヴィジュアルは、南條珠、瓶子結衣子、井澤雄一郎の3人の写真が配され「ぼくらは勝手に救われる」というコピーと、タイトルロゴが印象的です。
公開決定にあたり、岡本崇監督と、ロケ地である第七藝術劇場の支配人である小坂誠さんが、次のようにコメントを発表しています。
監督・脚本・音楽・編集:岡本崇監督コメント
僕が今までダメになりそうになった時、幾度となく音楽や映画に救われてきました。作品の中のセリフだったり美しいメロディだったりインタビューの中の何気ない言葉に勝手に救われてきたんです。当然日常の中やリアルな人間関係にだってそれはあるんですが、どこまでいっても他人行儀でしかないテレビから流れる映画とか、パッケージされた商品や作品にだからこそ救われることってあると思うんです。少なくとも僕にとっては誰の言葉より響き、人生を変えてくれたのはジミー・ペイジのギターリフだったし、そういう体験をこの映画で少しでも表現できればと考えました。
僕にとって音楽だけが人生のすべてでした。でも映画を作り始めてから色々なミニシアターを巡るようになり、たくさんの人と出会う中で世界は広がっていったんです。ミニシアターは僕の主戦場だったライブハウスに似ていて、ちょっとマイナーなものを観るために色んな人が約束もなく集まります。そしてそこへいけば会える人たちがいる。ぼっちで楽しんでいる人もいる。楽しみ方は様々でも確かにその瞬間を共有している。そういう場所が好きだし必要なんです。発信する側としても受け取る側としても。だからそんな大切な場所を守ることができるような、そんな存在になりたいと今は思ってます。
伊集院香織さんに主演をお願いしたのはエレキギターを実際にかっこよく弾ける人が誰かを考えた時、1番に思い浮かべたのが彼女だったからです。演技経験の有無については全く知らなかったんですが、最後にライブシーンを持ってくることを想定していたし、主人公のキャラ像と実際の彼女のイメージも一致する部分が多かったのできっと大丈夫だろうと考えました。
後藤まりこさんは、この映画のプロットも何もない時から、次回作には彼女のライブシーンを絶対に入れたいとだけ考えていました。あとやっぱり僕の曲を後藤さんが歌っている!みたいな感動がありました。
津田寛治さんは福井駅前短編映画祭でお会いしたことが縁でオファーさせていただきました。受けていただけるかわからない段階から映画館の支配人役は津田さんをイメージしていたので念願叶いました。あとミュージシャンが多く出演する中、演技の面でピリッと締めてもらえたらという狙いもあったのですが、期待以上の効果があった様に思います。
刄田綴色さんは元々大好きなドラマーなのですが、まさか受けていただけるとは思いませんでした。翳ラズの楽曲ができた時、叩いて欲しいのは誰かと考えた時一番最初に思い浮かべたのが刄田さんだったのですが、とにかく情熱を込めて出演依頼の連絡をさせていただいたところ快諾いただき本当に驚きました。憧れの人とレコーディングやライブを共にできるなんて夢の様です。
スムルースは僕が大好きなバンドなんです。特にボーカルの德田さんの書く曲は本当に素晴らしいのですが、劇中でも演奏される「美しい世界」の歌詞が本作のとあるシーンとすごくシンクロしていて是非使いたいと思いました。
アシガルユースは関西で活動するバンドなんですが、いいバンドなのでどんなキッカケであれもっともっといろんな人に知って欲しいという思いから、この映画に出演をお願いしました。
今回はライブシーンを含めより映画館で観る、ということに強いこだわりを込めて制作しました。なので是非それを劇場で体感していただければ嬉しいです。
第七藝術劇場支配人:小坂誠コメント
前作『ディスコーズハイ』を当館で上映した際に、岡本崇監督の情熱と人を巻き込む力に圧倒され、今度はその面白そうな渦の中に巻き込まれてみようと撮影地としての協力を決めました。本作の映画館シーンは、第七藝術劇場にて深夜から早朝にかけて撮影されました。
津田寛治さん演じる映画館支配人「神様」は秘めたる情熱を心に抱えつつも、映画館の歩みとともに年を重ね、諦めてきたことも多いであろう、そんなたたずまいが印象的です。メジャー作品のみならずインディーズ作品にも数多く出演されている津田さんだからこそ特別な存在感があります。
本作は、何かを表現することだけでなく、その表現に心動かされ、救われ、人生を狂わせてしまうことを肯定してくれる作品です。「神様」の言葉を通して語られる一つ一つに、ミニシアターという場所への想いが詰まっています。そして、ロックミュージックが持つ熱気が映画館の空間を満たしていくとき、そこに新しい何かが確かに生まれていくのです!ぜひ映画館のスクリーンで目撃してください。
タイトルの『ボールド アズ、君。』は、岡本監督が敬愛するロック界のレジェンド、ジミ・ヘンドリックスのセカンドアルバムの収録曲でアルバムタイトルにもなっている「ボールド・アズ・ラブ」(愛のように大胆)へのオマージュで「君」への憧れを込めて命名されたもの。
音楽とミニシアターへの愛から生まれた、音楽ファンとミニシアターファンに贈る作品『ボールド アズ、君。』は、2025年3月29日土曜日より、新宿K's cinemaほか全国順次公開されます。
『ボールド アズ、君。』あらすじ
人付き合いが苦手な南條珠(なんじょう・たま/伊集院香織)は、小学生の頃からシネコンとは一線を画すこだわりのラインアップのミニシアターを自分の居場所としていて、支配人の井澤雄一郎(いさわ・ゆういちろう/津田寛治)を神様と呼んで慕っている。
そんな珠にとって、ロックバンド“翳(かげ)ラズ”のボーカル・瓶子結衣子(へいし・ゆいこ/後藤まりこ)はもう一人の自分を救ってくれた神様。中古ギターを入手して、スーパーギターバトルで優勝するほどの実力になるも、さらに上を目指して練習する日々。翳ラズの記事を読み、次の翳ラズのライブチケットは必ず入手すると決意を新たにする。
そんなある日、珠がバイトをする居酒屋に、たまたま瓶子結衣子がやってきて、珠がアップした“弾いてみた動画”を見ていたことが発覚。珠は「翳ラズと同じステージに立って直接お礼を言うこと」を目標に、さらに動画制作に精を出すが、行きつけのミニシアターが翳ラズのライブのタイミングで閉館するということを知り…