舞台あいさつをおこなった中川究矢(なかがわ・きゅうや)監督、架乃ゆら(かの・ゆら)さん、中山雄斗さん、松山歩夢(まつやま・あゆむ)さん(左より)
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衰えゆく地方都市を舞台に生きづらさを抱えた若者たちのひと夏を描く青春群像劇『ナマズのいた夏』が2月8日に東京の新宿K's cinemaで初日を迎え、主演の中山雄斗さんとヒロイン役の架乃ゆらさん、共演の松山歩夢さん、中川究矢監督が舞台あいさつをおこないました。
『ナマズがいた夏』は、関東の田舎町を舞台に、中学時代に友人を亡くした過去を持つ青年・達生と、達生のバイト先の元・同僚の結衣、達生の旧友・哲也の3人が、夏の数日間を送る中でそれぞれの過去と向き合っていくストーリー。
舞台あいさつは満席となった初回の上映前におこなわれ、ヒロインの結衣を演じた架乃ゆらさんは「すごくたくさんの方に観ていただけるんだなと、すごくワクワクしています」と、中川究矢監督は「脚本の最初の構想から考えたら3年以上かかっている作品が、ようやく初日を迎えることができて、本当に感慨深いです」と、それぞれ初日を迎えた心境を語りました。
作品ができるきっかけを質問された中川監督は「関東の片田舎でちょっと衰退していっている都市を舞台にした映画を撮りたいなとずっと思って」いたことに加えて「YouTubeを始めて(※東京周辺で生き物の採取をおこなうチャンネル「東京でとって食べる生活」)、狩りとか釣りとかをやっていて、アメリカナマズとカミツキガメを徹夜で何日もかけて“一体、俺はなにをやっているんだ?”と思いながら追いかけたことがありまして、そのときになんとなくこの作品のイメージが湧きまして」と説明
キャストには、演じた役についての質問がされ、主人公の達生を演じた中山雄斗さんは、達生が父親と折り合いが悪い設定のため、父親役の河屋秀俊さんには撮影前からあまり話しかけずそっけない態度を取るようにしていたと話し「そういうの(役作り)をやってみたかったんですよ(笑)」と笑いつつ、河屋さんとの共演シーンを撮り終えたときに事情を明かして謝ったところ「河屋さんが“わかっていたよ。大丈夫だよ、ありがとう”みたいなことでハグをしてくれて」と、出演者同士の関係のよさを感じさせるエピソードを紹介しました。
結衣役の架乃ゆらさんは「台本を読ませていただいたときに、結衣さんはお仕事で性風俗をされているという情報があったので、私はもう引退したんですけどもともとセクシー女優だったので、そこは近しい部分だなと思って、似ているところがあったので結衣さんとは向き合いやすいってなったかなと思うのがあります」と、達生の旧友・哲也を演じた松山歩夢さんは「ぼく自身と(哲也が)似てるなっていうところがあったので、スッと哲也が入り込んでくれたというか、あまり役作りに苦労することはなくて」と、それぞれ役について話しました。
撮影中の現場の雰囲気について架乃さんは、最初の顔合わせのときにはクールな印象があった中山さんが、移動の車の中でずっとナゾナゾを出しているなど「知れば知るほどクールじゃなくて、小学生男子(笑)」で、松山さんは「中山さんが小学生男子な分、すごく大人に見えて」と、それぞれの印象を話し「3人のバランスがすごくいいなと。それは撮影にも反映できたと思うし、仲良くなれたのはすごくよかったです」と、コメント。
また、劇中の達生たち3人の釣りのシーンで中川監督がこだわりを見せていたという話題も出ましたが、中川監督によると、中山さん、架乃さん、松山さんの3人とも釣り経験がないため「こだわりというか、普通に(釣りのやり方を)教えますよ。見たらおかしいですから」とのこと。中山さんの「お芝居(の指導)とかよりすごかったですよ」、架乃さんの「お芝居の演出より釣りの演出が長かった(笑)」という声に、中川監督は「お芝居はみなさん大体できているから。(釣りは)ちゃんとやらないと成立しないので」と、笑いを交えて振り返りました。
トーク中の中川究矢監督、架乃ゆらさん、中山雄斗さん、松山歩夢さん(左より)
舞台あいさつは、架乃さんと中川監督それぞれのあいさつで締めくくられました。
架乃ゆらさん「主題歌はもう発表されていて(※寺尾紗穂さん「川辺にて」)、もしかしたらもう聴いた方いるかもしれないんですけど、映画が上映されてエンドロールが流れながら主題歌「川辺にて」を聴いて、みなさんがどんなことを思うのか、すごくいまから楽しみです。この映画を観て、これからいろいろな大変なことだったりがあると思うんですけど、そういうときにこの映画が思い出せるような作品になっていたらいいなと思います。ぜひ楽しみにしてください」
中川究矢監督「《すごくわかりやすい映画》ではないです。けれども、きっとなにか感じることはあると思いますし、ぼくから言えることとしては、全部がわからなくても大丈夫です。このシーンがよかったとか、あそこのこういう音がよかったなとか、セリフがよかったとか、なにかひとつでも持ち帰ってもらえれば嬉しいなと思います。ぜひ楽しんでいただければと思います」
この日の舞台あいさつ登壇者のほか、渡辺紘文さん、河屋秀俊さん、山岡竜弘さん、川瀬陽太さんらが出演する『ナマズのいた夏』は、2月8日土曜日より東京の新宿K's cinemaほか全国順次公開。
K's cinemaでは、公開期間中にゲストを招いてのトークがおこなわれるほか、2回鑑賞すると架乃ゆらさんの特製ミニポスターがプレゼントされるリピーターキャンペーンもおこなわれます。