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金子雅和監督と葵揚さん有山実俊さんが互いにサプライズの花束贈呈 『光る川』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった葵揚(あおい・よう)さん、有山実俊(ありやま・さねとし)さん、金子雅和監督(左より)
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 海外の映画祭での受賞が続いている金子雅和監督の最新作『光る川』が3月22日に東京の渋谷ユーロスペースで初日を迎え、出演者の葵揚さんと有山実俊さん、金子監督が舞台あいさつをおこないました。

 『光る川』は、高度経済成長の始まった1958年、村に伝わる伝承を知った少年・ユウチャの目を通して、伝承として伝わる里の娘・お葉の悲恋と、ユウチャの時代の出来事とが、交錯して描かれ時間を越えた結末に向かう、大きな川を巡る物語。

 オール岐阜県ロケで撮影された川や森など神秘的な自然のロケーションが作品の大きな魅力となっており、金子雅和監督は「岐阜県内の長良川の支流のあらゆるところを、約30日くらい、ひたすら朝から晩まで」監督自ら探し回ってロケ場所を決めたと話し、ロケーションへのこだわりを感じさせました。
 そんな自然の中での撮影について、お葉の恋の相手である山の民・朔を演じた葵揚さんは「昔もいまも変わらないかたちで残っている大自然というのがありがたく広がっていたので、そこで撮影するにあたって、真剣に向き合わないといけないなというので、もちろん入る前には礼をして撮影に挑んだという感じですね」と振り返りました。

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山の民の木地屋・朔を演じた葵揚さん

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少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎の二役を演じた有山実俊さん

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メガホンをとった金子雅和監督

 お葉の弟・枝郎(しろう)とユウチャの二役を演じた有山実俊さんは、演じる上で意識した点を尋ねられると「セリフが少ない役なので、目や目線に気をつけて、感情がみんなに伝わるように演じました」と回答。
 そして撮影から1年半が経っているため、葵さんは「実(さね)くん成長したなって(笑)」。金子監督も、撮影時には有山さんが男の子にも女の子にも見えるところがあったと話し「ユウチャはある意味、ふたつの世界の中間に存在しているというふうにしたかったので、そういった点でも男の子とも女の子とも言えるというのがいいなとキャスティングのときに思って」と振り返り「いまはすっかり男の子らしさが出てきて」と有山さんの成長に笑顔を見せました。

 また、YouTubeで公開されている予告編には、葵さんの筋肉についてのコメントも多く、それについて質問された葵さんは「素敵な映画の中でぼくの筋肉が注目されてしまうのは恐縮なんですけど(笑)」と笑いつつ、朔たち山の民がどんな生活だったかを考えたと話し「きっと彼らは、自然に対して謙虚で、必要以上にそこにある植物や果物、動物をいただいたりしないという考え方があるだろうと思っていたので、撮影前には動物性のものだったりを無闇に摂らないようにして、山に住んでいるということが説得できるような身体づくりを意識しました」と明かしました。

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『光る川』場面写真。葵揚さん演じる朔

 すでに、スペイで開催された第62回ヒホン国際映画祭でユース審査員最優秀長編映画賞、ポルトガルで開催された第45回ポルト国際映画祭でオリエントエクスプレス部門最優秀作品賞と、ヨーロッパの映画祭での受賞が続いている『光る川』。
 それを祝して、葵さん有山さんからサプライズで金子監督に花束が贈られました。
 金子監督は、海外の映画祭での反応を「物語が『ハムレット』のようにヨーロッパの古典的な物語を想像させて日本の話だけどヨーロッパ人にも伝わる話だという反応が多かったのと同時に、ひじょうに日本的、日本でしか撮れない映画であり、また過去を描いてるんだけど現在の社会のこともしっかり描いているという反応をたくさんいただきました」と話しました。

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有山実俊さんから花束を受け取る金子雅和監督

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葵揚さんから花束を受け取る金子雅和監督

 舞台あいさつ終盤にコメントを求められると、葵さんは映画の登場人物はそれぞれの立場で自然に対してどう向き合うかを真剣に考えていると述べた上で「真剣だからこそ議論が生まれているというのは、いろいろな問題にも通じることだと思うので、この映画が映像の力を借りて、いろいろな人に届いて、なにかを考えるきっかけになれば本当に嬉しいです」とコメント。

 有山さんは、緊張のためかちょっと言葉を詰まらせながら「キャストのみなさんもいっぱいがんばったので……みなさんもがんばってください」とあいさつし、客席からは大きな拍手が起こりました。

 金子監督は「この映画は、子どもの世代からご高齢の方まで、幅広い世代の方に観ていただける作品になっていると思いますので、多くの方に、末永く観ていただきたいと思っております」とコメントするとともに「自分も、がんばってくれたおふたりにサプライズがありまして」と、葵さんと有山さんに花束を贈呈。監督のサプライズ返しで舞台あいさつは締めくくられました。

 岐阜県出身の作家・松田悠八さんの小説「長良川 スタンドバイミー一九五〇」を映画化したいと地元の方々が2008年から続けていた活動がもととなり、原作者・藤田さんの快諾のもと、原作にインスピレーションを受けつつオリジナル要素の強い作品として完成した『光る川』は、ヒロイン・お葉役の華村あすかさんをはじめ、舞台あいさつに登壇した葵揚さんと有山実俊さん、さらに足立智充さん、山田キヌヲさん、堀部圭亮さん、根岸季衣さん、渡辺哲さん、安田顕さんらが出演。3月22日土曜日より東京・渋谷のユーロスペースで公開されているほか、全国順次公開されます。

【『光る川』予告編】
ポスター

光る川

  • 脚本・監督:金子雅和
  • 共同脚本:吉村元希
  • 原作:松田悠八(「長良川 スタンドバイミー一九五〇」より)
  • 出演:華村あすか 葵揚 / 有山実俊 / 足立智充 山田キヌヲ / 堀部圭亮 根岸季衣 渡辺哲 / 安田顕 ほか
  • 配給:

2025年3月22日(土) ユーロスペースほか全国公開

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