2015年に制作されながらこれまで劇場公開されていなかった筒井武文監督の“幻の恋愛映画”『自由なファンシィ』が2月22日より東京の渋谷ユーロスペースで公開されることが発表され、ポスターと予告編などが解禁されました。
『孤独な惑星』(2011年)『ホテルニュームーン』(2019年)などを監督するほか、映画に関する執筆活動や後進の指導でも知られる筒井武文監督。『自由なファンシィ』は『孤独な惑星』を第1作とする筒井監督の「愛の三部作」の2作目として制作されました。
主人公は、同棲中の恋人とのすれ違いが続く大学職員の千尋。ある日、恋人のゆかりが姿を消し、彼女を探す千尋は、友人から演劇「自由なファンシィ」の招待状を受け取る……。ひと組の恋人のすれ違いを軸に、映画と演劇、ドキュメンタリーとフィクションが融合。筒井監督が以前より試みてきた実験が物語に溶け込んでいくロマンティックな恋愛映画であり、古今東西さまざまな映画のモチーフとなってきた「ファム・ファタール=運命の女」についての映画となっています。
主人公の田上千尋を演じるのは『正欲』(2023年/岸善幸監督)『愛に乱暴』(2024年/森ガキ侑大監督)などの岩瀬亮さん。恋人に翻弄される千尋をコミカルかつシリアスに演じてみせます。
そして、千尋の同棲中の恋人であるもうひとりの主人公・大沢ゆかりを演じるのは、これが映画初主演となる松平英子さん。筒井監督、脚本家の久保寺晃一さんとともに共同で脚本も担当しており、いくつもの秘密を抱えたゆかりを巧みにスクリーンへと息づかせています。
『自由なファンシィ』場面写真。岩瀬亮さん演じる田上千尋(左)と、松平英子さん演じる大沢ゆかり
立教大学による「映像生態学プロジェクト」のひとつとして2015年に制作され、学内での上映や一部劇場での特別上映がされたのみで、長い間一般公開が望まれていた『自由なファンシィ』が、制作から10年を経て待望の劇場公開を迎えます。
劇場公開決定に合わせて解禁されたポスターヴィジュアルは、ゆかりの抱えるいくつもの秘密を象徴するかのように、異なる表情を浮かべた複数のゆかりの姿が配され「ぼくの目に映るきみは誰ですか。きみの目に映るひとは誰ですか。」というコピーがストーリーへの想像を掻き立てるポスター。
予告編は、ゆかりが口ずさむ歌に続く「こういう歌、知りません?」というセリフで幕を開け、ゆかりの秘密に翻弄されていく千尋の姿が描かれ、窓ガラスや鏡などの反射を活かしたカットも印象に残り、やはり作品への期待を高める予告編となっています。
〈運命〉であろうとした女と〈運命の女〉だけを求めた男。そんなふたりの物語をロマンティックな映画の魔法で描き出した『自由なファンシィ』は、2月22日土曜日より東京の渋谷ユーロスペースで公開されます。
『自由なファンシィ』ストーリー
美術大学の職員として平穏に過ごしていた田上千尋は、同棲中の恋人・大沢ゆかりとすれ違う日々が続いている。戸惑いが募る千尋は、ゆかりにプロポーズをするが、返事は曖昧に濁されたものだった。ある日、千尋は親族にゆかりを紹介しようとするが、ゆかりの部屋が空っぽになっていたことを発見する。半狂乱にゆかりを探し回る千尋は、友人たちから気分転換にと芝居の招待状を受け取る。公演名は「自由なファンシィ」。物語の中で愛人と駆け落ちをし、夫への別れの手紙を綴るヒロインを、ゆかりが演じていることを、千尋は知る由もない。そして公演前日、翻弄される男と、幾つもの秘密を抱えた女の運命が動き出す……。