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「白夜」をモチーフに太田慶監督が“恋愛の彼岸”を目指す『永遠の待ち人』6月シネマ・ロサで公開

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解禁された『永遠の待ち人』ポスターヴィジュアル ©太田慶(※クリックで拡大します)

 文豪・ドストエフスキーの短編小説「白夜」をモチーフに、太田慶監督が秋の東京を舞台に現代劇として描く『永遠の待ち人』が、6月6日より東京の池袋シネマ・ロサで公開されることが発表され、ポスターヴィジュアルと太田監督のコメントが解禁されました。

 孤独な青年の成就しない恋を描いたドストエフスキーの小説「白夜」は1848年に発表されて以降、多くの人々を惹きつけ、イタリアを舞台にしたルキノ・ヴィスコンティ監督版『白夜』(1957年・伊)、パリを舞台にしたロベール・ブレッソン監督版『白夜』(1971年・伊,仏)、ニューヨークを舞台としたジェームズ・グレイ監督『トゥー・ラバーズ』(2008年・米)など、設定や舞台を変えて映像化されています。

 映画会社・日活の社員として働きつつインディーズでの映画制作をおこない『狂える世界のためのレクイエム』(2015年)『桃源郷的娘』(2018年)と監督作を送り出してきた太田慶監督も『白夜」に惹かれるひとりで、自身がなぜ「白夜」に惹かれるかを探求したいという想いから、同作をモチーフとした映画の制作を決意。紅葉の東京を舞台に「白夜」をベースとしつつも異なったエンディングを提示する『永遠の待ち人』を生み出しました。

 主人公は、家庭を顧みず仕事に没頭し妻に去られた会社員・泰明。ある日、恋人を3年間待ち続けている女性・美沙子と出会った泰明は、次第に美沙子に心惹かれていき……。

 泰明を演じるのは、太田慶監督の過去作すべてに出演してきた永里健太朗さん。舞台の作・演出や映像制作もおこない、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023国内コンペティション部門ノミネート作『野ざらされる人生へ』(2023年)などで監督としても活躍する実力派が、繊細な青年を巧みに演じます。
 恋人を待ち続けるヒロイン・美沙子役には、10代からテレビドラマなどで活躍し『ビリーバーズ』(2022年/城定秀夫監督)での演技が高く評価された北村優衣さん。
 もうひとりのヒロインである泰明の妻・麻美役には、グラビアで活躍するほか映画『うみべの女の子』(2021年/ウエダアツシ監督)や舞台「応天の門」(2024年)などで女優としても着実に評価を高める高崎かなみさん。
 それぞれに注目を集めるふたりの女優が、それぞれの魅力でタイプの異なるふたりのヒロインを演じます。
 そのほか、美沙子の元・恋人の慎一役に『距ててて』(2021年/加藤紗希監督)などの釜口恵太さん、泰明と関わることになる女性・相沢役に俳優ユニット・47ENGINEのメンバーである藤岡範子さん、泰明の同僚・岡﨑役に映画やテレビドラマのほかCMナレーションなどでも活躍するジョニー高山さんが出演しています。

 解禁されたポスターヴィジュアルは、上段に高崎かなみさん演じる麻美、下段に北村優衣さん演じる美沙子と、永里健太朗さん演じる主人公・泰明をふたりのヒロインが挟むように配され、それぞれの表情や眼差しと、添えられた「あなたは誰を待っているんですか?」というコピーが、3人が紡ぐ物語を予感させます。

 公開決定にあたり、太田監督がコメントを発表。「「白夜」をモチーフにした映画を作ることで自分が何故この物語に惹かれるのかを探求してみたい、新たなエンディングを提示することで恋愛の彼岸まで行ってみたい」と、制作の動機を語っています。

太田慶監督コメント

ドストエフスキーの短編「白夜」は、決して成就することのない恋を描いた珠玉の「反=恋愛小説」です。そこには凡百の恋愛小説を超えた真実があるように思います。「白夜」をモチーフにした映画を作ることで自分が何故この物語に惹かれるのかを探求してみたい、新たなエンディングを提示することで恋愛の彼岸まで行ってみたい、というのがこの映画の創作動機です。

主演はこれまで私の映画にずっと出演してもらっている永里健太朗さん。どんな役でも出来る人ですが「繊細な青年」を素直に演じられる貴重な存在です。本作ではそんな彼の素の良さが存分に発揮されていると思います。ヒロイン役は城定秀夫監督の『ビリーバーズ』で信仰の彼岸まで行ってしまった“副議長”役を演じた北村優衣さん。期待通り、現世を突き抜けた存在を見事に演じ切ってくれました。もう一人のヒロイン役はウエダアツシ監督の『うみべの女の子』で「発見」した高崎かなみさん。彼女をもっと見たいと思い、自分の映画に出演してもらいました。ぜひ彼女の透き通るような存在感をスクリーンで体感してもらいたいです。

秋は恋の季節と言われますが、「反=恋愛映画」も秋が似合います。紅葉の美しい風景から立ち昇る切なさを感じ取ってもらえたらと思います。

ロベール・ブレッソン監督の『白夜』4Kレストア版が公開される年にこの映画を公開できることを嬉しく思います。『白夜』のささやかな変奏曲を、ぜひ劇場でご覧になってください。

 太田監督のコメントにもあるように、ロベール・ブレッソン版『白夜』が4Kレストア版として3月7日から公開されており、不思議な符合を見せるタイミングでの公開発表となりました。

 不朽の名作に着想を得た「反=恋愛映画」『永遠の待ち人』は、6月6日金曜日より、東京の池袋シネマ・ロサで公開、ほか全国順次公開されます。

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『永遠の待ち人』タイトルロゴ

『永遠の待ち人』ストーリー

仕事中心で家庭を顧みることのなかった泰明(永里健太朗)は、妻の麻美(高崎かなみ)が去ったショックで鬱になり会社を休職しており、唯一の話し相手は、たまに手土産を持って様子を見にやってくる同僚の岡崎(ジョニー高山)と鉢植えである。

ある日、ぼんやり道を歩いていた泰明は美沙子(北村優衣)とぶつかり、美沙子がバッグから落としたナイフを拾う。泰明は美沙子の後を追い、ベンチで本を読んでいる美沙子に話し掛けると、美沙子は恋人・慎一(釜口恵太)を3年間毎日そのベンチで待ち続けているという。「彼はもうあなたのことを忘れてるんじゃないですか」と泰明は言うが、美沙子は「愛は信じることです」と強い意志で恋人を待ち続ける。美沙子に心惹かれた泰明は、美沙子のもとに通い始める。泰明は、美沙子が迷いなく話す愛の定義を聞く度、自分と元妻の関係を反省。もし美沙子が想っている人が自分だったら、と考え、「何か変えてみることでこの悪循環から抜け出せるような気がする」と提案してみるが…。
ポスター

永遠の待ち人

  • 永里健太朗 北村優衣 高崎かなみ
    釜口恵太 藤岡範子 ジョニー高山

  • 監督・脚本・編集:太田慶
  • 撮影:河村永徳
  • 照明:近藤啓二
  • 録音:松川航大
  • 衣裳:赤井優理香
  • ヘアメイク:清水彩美

  • 配給:OTAK映画社

  • 2023年/カラー/16:9/83分

2025年6月6日(金) 池袋シネマ・ロサにて公開 ほか全国順次公開

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