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『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』長谷部優さんインタビュー

長谷部優さん写真 歌手を夢見て上京してきた優亜。インチキオーディションに引っかかり行き場をなくした優亜は、ある店へとたどり着く。そこは、少女たちが輝きを目指す場所。そしてそこには、仲間がいた。その店の名は“Girl's BOX”――。
 『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』は、若手女性アーティストによる総合エンターテイメントプロジェクト「Girl's BOX」から生まれた劇場用映画。「Girl's BOX」に参加する女性アイドルをメインキャストに、青春の輝きと音楽のキラめきを詰め込んだ、珠玉のガールズ・ムービーに仕上がっています。
 主人公・優亜を演じたのは、人気グループDRMのメンバーであり、ソロとしてもドラマ、映画などで幅広く活躍する長谷部優さん。多彩なフィールドで活躍する長谷部さんにとって、『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』はどんな作品となったのでしょうか?

長谷部優(はせべ・ゆう)さんプロフィール

1986年岐阜県生まれ。1999年におこなわれたオーディション「avex dream 2000」で12万人の中から選ばれ、ボーカルグループ“dream”(2007年“DRM”に改名)のメンバーとしてデビュー。現在は“DRM”の一員として活躍するほか、ソロとしてもドラマ、映画、舞台などで活動。2007年には長澤奈央さん、嘉陽愛子さんとユニット“金魚”を結成。同ユニットで『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』の主題歌を担当している。
女優としての出演作にTVドラマ「恋する!?キャバ嬢」(2006年)、映画『痴漢男』(2005年/寺内幸太郎監督)『真夜中の少女たち』(2006年/堀江慶・佐伯竜一監督)『バックダンサーズ!』(2006年/永山耕三監督)など。

「1本の映画だけどいろいろなものを感じ取れる」

―― 『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』という映画のお話があったときは、どう思われました?

長谷部:ほんとに嬉しかったですね。いままで「Girl's BOX」としてライブをやったり、ドラマや、テレビ番組とか、いろいろな活動をしてきたので、映画はその集大成みたいな感じでもあるし、これをきっかけとして「Girl's BOX」がもっと大きくなっていけたらいいなと思っているんですね。その主演をさせていただけるというのは嬉しく思いましたし、一緒に「Girl's BOX」をやってきたみんな(長澤奈央さん、嘉陽愛子さん、斉藤未知さん、星井七瀬さん)と共演できるということで、もちろんプレッシャーもあったんですけど、楽しみっていうほうが大きかったです。

―― 脚本を読んだときにはどんな印象を受けましたか?

長谷部:私がやった優亜ちゃんは、私をイメージして書いていただいてみたいで、自分が育ってきた環境にもすごく似ているんですね。ほかのみんなもそうなので、それはほんとにあっているなって思ったし、お話も、“Girl's BOX”という場所を大切にしたいという想いとか、夢もあって、友情あり、笑いもあったりで、いろいろなものがいいバランスでマッチしていて、1本の映画なんだけど、いろいろなものを感じ取れる映画だなって思いました。

長谷部優さん写真

―― 優亜というキャタクターについてはどう思われました?

長谷部:普通は主人公って、前に出てきて目立つ役が多いんじゃないかと思うんですけど、優亜ちゃんはどこか冷静で、みんなのことを客観的に見ているし、ちょっと控え目なところがあるんですよね。そこは私になんとなく似ているかなと思いました。でも、優亜ちゃんは歌になるとすごく熱くなるというか、お母さんの反対を押しきってひとりで上京してきていたり、お店で騒ぎになったときに歌で鎮めようとしたり、私よりすごく勇気がある子なんだなあって思いました。

―― 長谷部さん自身もデビューのために上京されていて、そのときは映画の優亜の年齢より下ですよね。その年齢でオーディションに挑戦したのは、むしろ優亜以上に勇気があるんじゃないんでしょうか?

長谷部:岐阜から上京してきたのは13歳のときだったので、そうかもしれませんね。私の場合は親が応援してくれていたので、そこは優亜ちゃんと違ってて、家族とか友達と離れる寂しさよりも「これで歌手になれる!」という感じで上京してきたし、仲間もいたので心強かったのかなと思うんですけど、いまから考えたら、そのときの自分の中ではすごい度胸があったのかなって思いますね。

―― 演じるにあたっては、どうやって優亜という人物像を作っていったんでしょうか?

長谷部:台本を読ませていただいて、ひとつひとつの行動を読み取って「このときはこういう気持ちだったんじゃないか」とか「ほんとはこういうふうに考えていたんじゃないか」と考えたり、台本には書いていないことまで自分で想像していったんです。たとえば、私はひとりっ子なんですけど、優亜ちゃんは弟がいるんですね。だから、きっと私よりもお姉さんらしい部分を持っているんだろうなとか、台本に書いてあることをヒントにして、いろいろ想像を膨らまして、優亜ちゃんを作り上げていったっていう感じです。監督さんも、役作りに関しては「自由に考えてみて」みたいな感じだったんです。演技の部分ではいろいろ指導していただいたんですけど、とても優しい監督さんでしたし、楽しく撮影ができました。

「もっとこのメンバーで撮影がしたかった」

――撮影がおこなわれたのはいつごろだったんですか?

長谷部:去年の7月の中旬から8月のはじめくらいまで、3週間くらいですね。

―― 撮影の間は、やっぱりスケジュールは大変でしたか?

長谷部:毎日撮影だったし、撮影が休みの日には「Girl's BOX」のイベントが入っていたので、忙しかったのは忙しかったです。24時間働いた日もあって、映画の最後で流れる金魚(長谷部さん、長澤奈央さん、嘉陽愛子さんによるユニット)のPV(プロモーションビデオ)は、撮影が終わったのが朝方の6時とかだったんですよ。だから終わったとたん3人ともすごく変なテンションになったりして(笑)。でも、みんな仲良しだから撮影の間にワイワイできたりとか、ファンの方に枕をいただいたので、ちょっと休憩ができると3人で川の字になって寝たりとか、終わってみると「これが2007年の夏の思い出だな」っていう感じでしたね。

―― 撮影を通して一番印象に残っているのは?

長谷部:“Girl's BOX”のお店のシーンが長かったので、やっぱりそこですね。あのお店は茨城のほうの倉庫を借りてセットを作って撮影していて、お店のお客さんは私たちのファンの方にエキストラで参加していただいたんです。だから、お客さん同士がケンカを始めて乱闘になるシーンでは、私のファンの方と(長澤)奈央ちゃんのファンの方がケンカしたりしてるんです(笑)。普段だったら絶対にケンカとかしなそうな方たちがやってくださっているので、ありがたかったですね。お店で歌を歌うシーンも、距離が近い分ファンの方の熱気が伝わってきて、ほんとに手が届くくらいの距離なので、手を振ったらすぐ振り返してくれたり、反応がすぐかえってきて、それが楽しかったです。

―― お店の中でお客さんと一緒になってビールをかけあう場面が印象的だったんですが、あの撮影はどんな感じでした?

長谷部優さん写真

長谷部:最初に台本で読んだときはあんまりイメージがわかなくって、缶ビールとかをかけあったりするのかなと思っていたんですけど、セットが組まれたら、ホースとかバケツまで出てきて「こんなすごいんだ」って驚きましたね。奈央ちゃんとみっちゃん(斉藤未知さん)はホースでみんなにかけたりとか、すごく楽しかったみたいで、私と(嘉陽)愛子ちゃんは傘を差しながら「キャー」ってやってるくらいだったんで、ちょっと残念でした(笑)。お客さんがバケツで奈央ちゃんの頭にビールをかけるシーンもあるんですけど、そのお客さんをやったのは奈央ちゃんのファンの方で、ほんとに奈央ちゃんが好きなんで「ぼくにはかけられない」ってすごく戸惑ったりしたらしいんです。でも、奈央ちゃんはすごく楽しんでやってましたね(笑)。

―― それだけいろいろ楽しい撮影があると、終わりの日とかは名残惜しかったんじゃないでしょうか?

長谷部:寂しかったですね。しかも、みんな一緒に撮影が終わるんじゃなくて、ひとりひとり終わって、だんだん減っていくんですよ。最後が私と奈央ちゃんのふたりだけのシーンだったのかな。終わってみるとアッという間だったなって思って、毎日「朝が早くて大変だな」と思っていたら、もう終わりみたいな感じだったんで、もっとこのメンバーでやりたかったな、もっと撮影したかったなって思いました。

―― “Girl's BOX”の仲間を演じたみなさんとは、お仕事以外でも親しいようですね。

長谷部:仲いいですね。「Girl's BOX」がスタートしたときはそこまで仲良くなってはいなかったんですけど、「Girl's BOX」で会う機会が増えて、いろいろな話をするようになって、おたがいのライブを観るようになって仲良くなっていったので、ほんとに「Girl's BOX」をとおして仲良くなったというのが大きいですね。撮影も女子校みたいな感じで楽しかったし、「終わったらみんなでご飯を食べにいこう」って、モツ鍋を食べに行ったりとかしてました(笑)。

―― 長谷部さん以外のみなさんも本人をイメージして役が書かれていたということですが、普段からよく知っている長谷部さんから見て、ここは違うなというところってありますか?(笑)

長谷部:みんなけっこうあってますよ(笑)。だけど、愛子ちゃんだったら、映画と同じように可愛い性格で女の子らしいんですけど、ほんとは頑固な一面があったりとか、一緒にいる時間が長い分「実はこういう一面もあるよ」って思うことはありますね。奈央ちゃんのやったナオミはすごくカッコ良くて、口調からして男っぽい感じですけど、奈央ちゃんはあそこまで男っぽくはないですね(笑)。私よりふたつ年上で、姉御なところもあるんですけど、基本的にはすごく可愛くて、明るくて、私より女の子らしいんじゃないかなと思います。

「自分のやりたいことが全部入っていたので楽しかった」

―― 長谷部さんは歌とお芝居とを両方やられていますが、それぞれをやるときの意識の違いってありますか?

長谷部:歌は、自分自身で伝えるもので、お芝居は誰かになって伝えるもの、そこは違うかなと思いますけど、「伝える」というのは共通なんだなって思います。ドラマやお芝居を観て「この人はこういう気持ちなんだ」って思うことはあるし、歌を聴くことで、夢だったり、力が沸いてくるものだと思うので、人になにか伝えたり、なにかを与えたりするのは似ているって思います。

―― では、歌とお芝居それぞれで魅力を感じるところはどんなところですか?

長谷部:お芝居は自分と違う人になれるということで、いろいろな人生を経験しているみたいですごく楽しいですね。普通だったら長谷部優という私ひとりの人生しか歩めないけど、今度の映画だったら(カメラが)回っているときは優亜ちゃんになりきれるんですよね。長谷部優ではできないようなこととか「私ならこんなことはしない」ってことも、お芝居だとできてしまうから、それがすごく魅力だと思います。歌は、ほんとに自分の想いを届けられるというところが魅力ですね。歌を歌うのもそうですし、アーティストさんだったら歌詞を書いたりとか、曲を書いたりとか、自分の伝えたいことをそのままみんなに届けられるというのが魅力ですね。

作品スチール

『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』より。相馬役の小木茂光さん、未来役の斉藤未知さん、愛役の嘉陽愛子さん、優亜役の長谷部優さん、ナオミ役の長澤奈央さん(左から)

―― 今回の映画は、ひとつの作品の中で歌とお芝居両方があって、今までにないものだったのではないでしょうか?

長谷部:自分のやりたいことが全部入っていたので、やっていて楽しかったです。歌うところは、100%自分で歌いたいところを、優亜ちゃんになって演じながら歌うという難しさはあったんですけど、基本的にはほんとに楽しかったし、この『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』をとおして勉強になったことがたくさんあったんです。いつも一緒にやっているあいぴー(嘉陽愛子さん)とか奈央ちゃんなんかが、こういう演技をするんだ、こういう表情をするんだっていう意外な一面も見られて、そういう面で勉強になったし、秋本奈緒美さんや小木茂光さんといった先輩の役者さんの方々ともご一緒させてもらって、表情の見せ方とか、動きとか、立ち振る舞いとか、かなり刺激を受けたので、いい経験になったと思います。

―― この映画の経験を踏まえて、今後挑戦したいことや、やってみたいことはありますか?

長谷部:もっともっと「Girl's BOX」というものをみんなに浸透させていきたいなって想いがすごく大きいんです。この映画でひとつの集大成ができたので、これからは、いろいろなところでライヴをやったりとか、地方も回ったりとか、またドラマをやったりとか、誰かとコラボをしてみたりとか、普通では考えられないようなことを、いろいろやっていけたらいいなと思うんです。やっぱり、これだけ女の子が集まっているイベントってなかなかないと思うんですよ。だから、もっとみんなに知ってもらえたら嬉しいなって思いますね。自分でも「Girl's BOX」をとおして学べるものも大きいんです。それを今後もお仕事に活かしていけたらいいなと思います。

―― 最後に、映画をご覧になる方に「ここを観て欲しい」という見どころをお願いします。

長谷部:「ここを」って言えないくらい全部を観て欲しいんですけど、一番は5人の女の子の個性あるキャラクターを観てもらいたいですね。ほんとにそれぞれにもあっているし、これだけのキャラクターを持っている女の子たちの映画ってあんまりないと思うので、ぜひそこを観てもらいたいですし、その中で女の友情を感じてもらえたらいいなと思っています。女の子だったら「この子みたいになりたい」とか共感を持ってもらいたいし、いま、夢を持っている子にも、そういうふうに思ってもらえたらなと思います。

(2008年3月6日/エイベックス本社にて収録)

作品スチール

Girl's BOX ラバーズ☆ハイ

  • 監督:佐藤太
  • 出演:長谷部優(DRM) 長澤奈央 嘉陽愛子 斉藤未知 星井七瀬 ほか

2008年3月29日(土)より渋谷Q-AXシネマにてレイトショー ほか全国順次公開

『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』の詳しい作品情報はこちら!