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『ニュータイプ 〜ただ、愛のために〜』大政絢さんインタビュー

大政絢さん写真 都会から離れた静かな港町で暮らす少女・津木野ユリ。特殊な力の持ち主であるユリの前に、謎めいた青年・クォンが現われる。ユリと同じように特殊な力を持っているクォンとの出会いは、幼馴染みの和博も巻き込んで、ユリの日常を大きく変化させていく……。
 若手女優の登竜門と呼ばれるBS-iの人気ドラマ「ケータイ刑事」シリーズで6代目ヒロイン“銭形海”を演じて注目を集めた大政絢さん。同作品以降も女優として活躍の場を広げる大政さんが、待望の映画初主演を飾ります。映画初主演作となる『ニュータイプ 〜ただ、愛のために〜』は、『恋する日曜日』『恋する日曜日 私。恋した』を送り出してきた丹羽多聞アンドリウプロデューサーと廣木隆一監督のコンビによる、特殊な力を持った少女の哀しいラブストーリー。
 力を持つゆえのユリの孤独、そして“愛のために”彼女がくだすことになるある決断。17歳の大政さんはそれをどう感じ、どうユリを演じたのか? お話をうかがいました。

大政絢(おおまさ・あや)さんプロフィール

1991年生まれ。北海道出身。2006年よりテレビドラマを中心に活躍し、2007年「ケータイ刑事 銭形海」の主人公・銭形海役に起用され注目を集める。女優としての活動に加え、ファッション雑誌「SEVENTEEN」の専属モデルとしても活躍中。
最近の出演作にドラマ「太陽と海の教室」「ハチワンダイバー」(2008年/フジテレビ系)、「怪談新耳袋スペシャル『ぶぅん』『ぎぃ』」「東京少女 大政絢」(主演:2008年/BS-i)、劇場用映画『TOPLESS』(2008年/内田栄治監督)など。

「なにかに一直線に没頭できるところは私とユリの共通点です」

―― 最初に『ニュータイプ 〜ただ、愛のために〜』の主演が決まったときの感想を教えてください。

大政:ビックリでしたね。「ケータイ刑事 銭形海」が終わってすぐだったので、すぐに主演のお仕事をいただいたということ自体がビックリでしたし、“銭形海”という役を1年間ずっとやってきていたので、そのすぐあとに違う役で演技するということに少し不安もありました。

―― 映画の内容についてはどう思いましたか?

大政:すごく独特の雰囲気を醸し出ているなあって思いました。こういう内容で“津木野ユリ”という役をやらせていただくのはすごい嬉しかったですし、役としてはすごく難しいなと思ったんですけど、ただ一途に誰かを想うというストーリーなので「こういう恋愛もいいな」って思いました。

―― 特殊な力という、普通の映画やドラマとは違ったような設定も出てきますね。

大政絢写真

大政:以前にBS-iで「恋する日曜日 ニュータイプ」(2006年)というドラマがあって、私はゲスト主演というかたちで2話に出させていただいているんです(第10話と第12話に出演)。それも特別な力を持った人たちのお話で、今回の映画とは違う力なんですけど、そういう力を持った役柄を演じたことがあったし、ほかの方々が演じているのを見ていたので「今回はこういう役なんだ」って思って、特に戸惑うようなことはなかったです。でも、ドラマの「ニュータイプ」と違うのは、ユリがなにかを失ってしまうというところで、そういう部分では難しいところはたくさんあるんだろうなと思いました。

―― この作品のプロデューサーの丹羽多聞アンドリウさんは「この作品では主演の女優さんにこういう挑戦をしてもらおうと思った」というようなお話をされることがあるんですが、撮影に入る前に大政さんに直接そういうお話はあったんでしょうか?

大政:なかったですね。やっぱり、誰かの解釈ではなくて自分で考えるのが一番だからということだと思うんですけど、多聞さんからは「(主演に)決まったよ」ということしか聞きませんでした。

―― 今回の津木野ユリというキャラクターについてはどう思いましたか?

大政:すごくまっすぐでいいなと思いました。誰かひとりを想ったらずっと愛し続けるというところは、すごく憧れます。

―― 大政さんご自身とユリとで、こういうところが似ているとか、逆にここは違うなという部分はありますか?

大政:私は、ひとりでいることはすごくつらくって、ずっとひとりでいるのには耐えられないんですけど、ユリはひとりでいられるんですね。そこは違うなって思うところです。でも、ユリが恋愛に一直線にまっすぐ生きるみたいに、私もなにかひとつのことに一直線になる部分があるんです。いまはお仕事に関して一直線に没頭していますし、そういうところは共通点ですね。

「映画の雰囲気ができあがっていたので、役に入りやすかったです」

―― 今回メガホンをとられた廣木隆一監督とは「ケータイ刑事 銭形海」でも一緒にお仕事をされていますけど、最初に会ったときの印象はいかがでしたか?

大政:どんなんだっただろう……(笑)。「ケータイ刑事」の前にも、別の番組の打ち上げとかで何回かお会いしたことがあったので、特別な印象は覚えてないです(笑)。でも、面白い方だとは思いました。冗談とかもすごく言ったり、お話しするとすごく楽しい方です。

―― 廣木監督は、この作品の撮影のときにはどんな感じで演出なさっていたんでしょうか?

大政:廣木監督は私になにか指示をするのではなくて「自分の感じたことを活かせ」とおっしゃる方で、それに足りないことを付け加えてくれるということが多いので「ここでこうして」というような具体的な指示はなかったですね。だからこそ、私もすごくやりやすかったのかもしれないです。廣木監督はすごく長回しが多い方なので、私もカメラを意識するというよりは、ほんとに集中してやっていたと思います。

―― 撮影は全部ロケですよね?

大政:そうです。新潟でオールロケで撮影しました。すごく集中しやすかったですね。街もすごくいい雰囲気だったんです。夜になると歩いている人も少なくて、ほんとに脚本どおりの静かな街なんだって思いました。ユリの住んでいる家として使った家の雰囲気もよかったですし、撮影の1日目から映画の雰囲気ができあがっていたんです。それは新潟に行ったからこそ出てきた雰囲気だと思うんです。撮影はわりと短期間だったんですけど、すごくいい環境で、私も役に入りやすかったです。

―― 共演者の方についてお聞きしたいのですが、和博を演じた佐野和真さんとは初共演ですか?

作品スチール

佐野和真さん演じる和博、大政絢さんが演じるユリ、竹財輝之助さん演じるクォン(左から)

大政:初めてでした。でも、すごい喋りやすい方で、佐野さんは遅れてインされたんですけど現場のムードメーカーでしたね。竹財(輝之助=クォン役)さんと佐野さんは別の作品で共演されていたので、ふたりでワイワイしていました(笑)。

―― ユリと和博の関係を演じる上で意識したことはありますか?

大政:やっぱり、表情を表に出さないってところはいちばん難しかったかなと思いますね。感じたことをすぐ出すんじゃなくて押さえ込むという演技はあんまりしたことがなかったので、それは難しいなというのは感じました。

―― クォン役の竹財輝之助さんと共演した感想はいかがでしょう?

大政:竹財さんは私より年齢も上なので、すごい落ち着いていらっしゃいましたね。控え室とかでは普通にみんなで話しているんですけど、撮影に入るとすごく役に入られてるんです。私もそういうところは勉強しなきゃいけないなあって感じました。

―― クォンって最初は得体の知れないところがありますよね。そういう人に普通に接することができるのがユリの特徴かなって思うんですけど、大政さんはどう感じましたか?

大政:やっぱり、ユリは力を持っている身として、自分とクォンに共通点を感じて親近感が沸いたんじゃないかと思うんです。やっぱり、ユリはひとりでいる気持ちがわかるんですよね。だから、ひとりでいる人を構ってあげたくなっちゃうんじゃないかと思いました。

―― 和博とクォンはそれぞれタイプの異なった男性ですよね。それぞれのキャラクターについてどう思いますか?

大政:カズくん(和博)はすごい優しい一面を持っていて、いつも明るいし人に優しくみたいな感じなんですね。クォンは人とは距離を置いていて、でも接していくとやっぱりすごく優しいところが見えてきて、ふたりとも内面はすごく優しいんですよね。だから、それを見せるか見せないかでこんなにも違うんだなと思いました。

―― 大政さん自身は、そういう優しさをはっきり見せる男性と見せない男性ではどちらがいいと思いますか?(笑)

大政:えー(笑)。……なんか、どちらもすごいいいなあって思いますし、ユリが惹かれる気持ちもわかりますし、どっちがいいとかは言えないですね、やっぱり(笑)。

「人のためになにかをするのは大事なことだって、ユリから教えてもらいました」

―― これはちょっと難しい質問になるかもしれないんですけど、映画の終盤でユリがある決断をしますよね。ユリがその決断をする気持ちって理解できましたか?

大政:私自身は、ユリのように誰かを好きになって、自分がなにかを捨ててもいいとまで思ったことはないので、わからないところもあったんです。でも、やっぱりユリはほんとに誰かを好きになることができたから、ああいう決断ができたんだなって思ったんです。そんなに難しいことではなくて、ただ、すごく好きになったからそういう決断をしたんだ、その人にいなくなってほしくないから決断をしたんだという感じで解釈していました。

―― ユリはいろいろなものを失ってしまうわけですよね。それでも相手が自分のことを想ってくれてれば救いになるんだけど、ユリの場合はその救いすらなくて、すごくつらい選択じゃないのかなあって。

大政:男の方はそういうふうに思うらしくて、取材でも男性のインタビュアーさんからそういう質問をされることが多いんです(※今回のインタビュアーも男性です)。竹財さんも撮影のときに「これはない」って言っていました(笑)。でも、人を好きになったら、相手に幸せになってほしいって考えるんじゃないかなと思うんです。自分も幸せにならなくちゃいけないんですけど、ユリは、まず相手のことを考えちゃうんじゃないかなと思います。

―― そのあとに「これでいいの」というユリのセリフがありますよね。そこまでの気持ちってなかなか持てないんじゃないかなと思うんですよ。

大政絢さん写真

大政:私は、そういう気持ちはあるんじゃないかなと思いますね。なにかを失っても大事するものはあっていいと思うんです。やっぱり普通は自分を中心に考えちゃうじゃないですか。だけど、人のためになにかをするっていうのは大切だと思うんです。実際にいまの私にできるのはちっちゃなことかもしれないですけど、そう思うのが大事なことなんじゃないかって。それは、この映画をとおしてユリから教えてもらいました。

―― 「そのときユリはどんな気持ちなのか」とか、廣木監督や丹羽プロデューサーと相談などはなさったんでしょうか?

大政:なかったですね。だから全部自分なりの解釈なんですけど、台本を読んで考えているとすごく感じ取ることができたんです。台本をいただいてから撮影までそんなに時間はなかったんですけど、私はずうっと考えるよりは短時間でバーって集中するほうが好きなので。

―― では、撮影のときには、大政さんの中にユリとしての気持ちが自然とできあがっていたという感じですか?

大政:そうですね。特にユリを演じるときには、眼帯をしていたり(メイク用の)コンタクトを付けたりすることが多かったので、普段の自分と違っていたんです。だから逆に入りやすかったんじゃないかと思います。

―― 今回はユリという特殊な設定の女の子を演じられましたが、今後やってみたい役とか、こういう女優さんになりたいという目標があれば教えてください。

大政:いまは、とにかくいただいた役を丁寧にこなしていきたいというのが目標です。それから、私はいまモデルとしても活動しているので、女優とモデルの両立もきちんとこなしていきたいと思っています。

―― 最後に『ニュータイプ 〜ただ、愛のために〜』をご覧になる方へのメッセージをお願いできますか。

大政:すごく、家族だったり大事な人だったりを思い出させてくれて「こんなに誰かを大事に思ったことがあるのかな」ということを考えさせられる映画だと思うんです。だから、映画を観終わったあとには、自分の中で、一番大事な人のことを考えていただけたらいいなって思います。

(2008年10月16日/スターダストプロモーションにて収録)

作品スチール

ニュータイプ 〜ただ、愛のために〜

  • 監督:廣木隆一
  • 出演:大政絢 佐野和真 山田キヌヲ 竹財輝之助 ほか

2008年11月22日(土)からシネマート六本木、渋谷TSUTAYAシアターほかにてロードショー

『ニュータイプ 〜ただ、愛のために〜』の詳しい作品情報はこちら!

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