『ナナとカオル 第2章』青野未来さんインタビュー
勉強に生徒会活動にと忙しい高校生のナナが偶然に見つけた“息抜き”は、なんと幼なじみの男子・カオルとのSMプレイ! ナナとカオルは、ふたりだけの秘密のレッスンを重ねていく――。
“高校生同士のSMプレイ”という過激な設定の人気コミック「ナナとカオル」が衝撃の実写映画化を果たしてから1年。熱いファンの要望に応えて待望の続編が劇場のスクリーンに登場します。実写映画化第2弾となる『ナナとカオル 第2章』は、ナナとカオルのふたりが学校を飛び出し、天女伝説の伝わる長野県へ。そこでふたりが経験するのは?
今回、ヒロインのナナを演じるのは、これが映画初主演となる青野未来さん。ナナとカオルの過激だけどピュアな関係をしっかりと表現するとともに、もちろん前作以上にハードなSMシーンにも体当たりで挑戦しています。
インタビュー直前の8月21日に22歳の誕生日を迎えたばかり、今後の活躍が期待される青野さんに、初体験がたっぷりと詰まった『ナナとカオル 第2章』についてお話をうかがいました。
青野未来(あおの・みく)さんプロフィール
1990年生まれ、埼玉県出身。2012年に青春Hシリーズ『鳥を見て!』(佐々木友紀監督)で映画初出演し、同シリーズの『先生、おなか痛いです』(深井朝子監督)にも出演。映画のほか、舞台「ライン♪」(2011年)「ハイスクールミレニアム」(2012年)など舞台出演経験も持つ。そのほか、ネット配信番組「さとりみっくす♪」レギュラー出演やテレビ出演、ミスヤングチャンピオン2012ファイナリスト、TSUTAYAプリンセス2013セミファイナリスト、フォトジェニックジャパンコンテスト2012ファイナリストに選出されるなど、多方面で活躍中。
「私もナナに染まりたいと思いました」
―― まず、初めての主演が決まったときのお気持ちを教えていただけますか?
青野:最初のオーディションのときは、主演じゃなくてほかの役ということで行っていたんです。なので、主演が決まったときはほんとにビックリして、すごく嬉しかったです。まだお仕事を初めて1年経たないくらいだったので、まさか自分が主演できるなんて思っていなかったので。
―― では、オーディションはナナの同級生の役とかで受けていらっしゃったんでしょうか?
青野:そうですね。でも、オーディションに行ったら話が主演っぽい感じの流れではあったんです(笑)。「あれ?」って思ってて、そしたら「次の日にもう1回マネージャーさんと来てください」と言われて、メイクも落としてスッピンを見せたり、原作の本を全部いただいたりしたので「これはどういうことでしょう?」ってマネージャーさんと話して(笑)。そしたら、実はそのときには決まっていたらしくて、2日目のときに「決まりです」と伝えていただいていたということだったんですけど、私はわかっていなくって、だから何日かずっと不安な日々を過ごしていました(笑)。
―― ナナ役を演じると決まってからはいかがでしたか?
青野:原作がすごく人気がある作品なので、そこでナナを私がやるということでプレッシャーがありました。それで、1作目もあるものですので、そこでもプレッシャーを感じましたね。でも、楽しみのほうが大きかったです。
―― いまもお話にありましたけど、『ナナとカオル』は1作目があって、清水厚監督やカオル役の栩原楽人さんは前作から引き続きですよね。そこに新しく加わることに難しさはありませんでしたか?
青野:なんていうか、監督とカオルくんがいい感じでチームワークができていたんですね。なので、私もそのチームワークの中に入りたいなという気持ちがありました。そのためには、私をナナとして見てもらおうと思ったんです。もちろん、撮影のときはナナとして見てくれているんですけど、栩原さんがカオルくんになっているのと同じくらい、私もナナに染まりたいと思いました。
―― 具体的にナナに染まるために気をつけられたのはどういうところでしょうか?
青野:ナナは、普段はすごい真面目な女の子で、そういうところはけっこう自分と違った部分だったんです。私はナナのように生徒会活動をしたことはなかったですし(笑)。なので、話し方とかは気をつけましたね。話し方はホン読みのときから監督にも言われていたので、けっこう気をつけました。
―― この作品ではナナとカオルの関係性が重要だったと思うのですが、そこを表現する上で意識されていたことはありますか?
青野:ナナとカオルの関係性は、プレイをするごとに変わっていくと思うので、そこの違いを出すように気をつけてました。SMプレイする前とあとではカオルに対しての気持ちも違うと思いますし、自分のスッキリ感とか、息抜きできた感じも前とあとで違うので、そこをすごく気をつけました。
―― ナナとカオルの関係をどう演じるか、栩原さんとお話ししたりはされたのでしょうか?
青野:基本的には個々に考えていた感じですね。栩原さんもけっこうひとりで集中されていることが多い方なんですけど、いつもすごく真面目にカオルについて考えていて、ナナに対しての距離感とかもすごく考えていたんです。なので、私もナナとして「このときはどう思っているのかな?」とか、カオルのことをすごく考えていました。
「プレイをするところの撮影では、ドキドキもありましたね(笑)」
―― 『ナナとカオル』には欠かせないものとしてSMシーンがあるわけですが、そういうシーンを演じるにあたっての不安みたいなものはありませんでしたか?
青野:やっぱり、それがすごい大事なシーンというのはわかっていましたし、そんなに「ものすごく不安だ」ということはなかったですね。でも、まったく未知の世界だったんですね、「スパンキング」という言葉も知らなかったくらいで(笑)。だから「どんなふうになるんだろう?」っていう期待と不安はありました。
―― 実際に縄で縛られたり、体験してみていかがでしたか?
青野:最初は緊縛師の方に縛っていただいたので「あっ、こういう感じなんだ」というか「うわ、すごい!」という気持ちが大きかったですね。嫌ではなかったです。普通に笑顔のままで縛られていました(笑)。
―― 「すごい」というのは、緊縛師の方の手際のよさに驚いたという感じなのでしょうか?
青野:手際もいいですし、女性の方で(緊縛指導の荊子さん)普段もとても優しいんですけど、縛るときは「痛くない?」って聞きながら縛ってくださるんです。それで腕とかをガシっとしっかり掴んでくださる感じとかが「わあ、すごい!」って思いましたね(笑)。
―― 学校の教室の中で緊縛されるというシーンもありましたが?
青野:あれはけっこう恥ずかしかったです(笑)。鏡が目の前に置いてあって、自分で自分が縛られた姿を見るところもあったので。撮影だから目の前にスタッフさんがいたんですけど、これがほんとに学校でやってたら、ドキドキ感は相当すごいだろうなって思って(笑)。自分が想像している以上だと思うから、その緊張感を出すのがけっこう大変でした。
―― やっぱり、撮影だからSMのシーンであってもけっこう冷静なんでしょうか? それとも、ちょっとはドキドキしちゃうところもあるんでしょうか?(笑)
『ナナとカオル 第2章』より。緊縛を体験するナナ――
青野:そうですね、冷静な部分もあったんですけど、長野での観光をしながら、みんながいるところでプレイをするところがあって、その撮影のときは、けっこうギリギリのところを撮られたりもしていたので、ドキドキもありましたね(笑)。
―― ちょうどお話に出ましたが、今回は映画のかなりの部分を長野でロケしていらっしゃるんですよね。何日間かにわたるロケを経験されていかがでしたか?
青野:ロケは1週間くらいだったんですけど、最初は1週間も泊まりで行くというのがすごい楽しみで、旅行気分でワクワクしていたんです。でも、行ってみたら大変なスケジュールで、楽しむどころではなかったですね(笑)。
―― なるほど(笑)。ロケで苦労したところはありましたか?
青野:夜のシーンが多かったので、6月なんですけど夜になるとすっごい寒かったですね。最後のシーンの縛られているところもすごく寒かったし、私はカエルがすごく苦手なんですけど、ほんとに周りにカエルの声しかしないくらいウシガエルかなんかの声がずうっとしていたんです(笑)。それから虫も苦手で、そこら辺に虫もいっぱいいるんですけど、その日だけは虫に強くなれました(笑)。カエルのほうが怖かったし、集中していたこともあって、虫のことなんかどうでもいいやって思えましたね(笑)。
―― SMシーン以外のところでは、ナナが人前であまり弱さを見せないところをうまく演じていらっしゃいましたね。
青野:そこは、すごく気持ちがわかるというか、ちょっと私と似ている部分だったんです(笑)。あんまり人に頼れないとか、自分の中に溜めたままにしちゃうとか、ちょっと頑固なところとかは自分と似ているなと思って、そこはやりやすかったです。
―― 実際に映画のナナみたいに意地を張っちゃった経験ってあります?
青野:うーん……具合が悪いときにあんまり言わないとか(笑)。以前、友達とみんなで遊びにいったことがあって、その日に熱を出しちゃったんですけど、前から約束していたので、それを言わずに我慢して行きました。あとから測ったら40度くらいあって、それはけっこうしんどかったです(笑)。
―― やっぱりそれは、相手に迷惑をかけたくないという気持ちなんでしょうか?
青野:そうですね、みんなも楽しみにしてこの日を空けててくれたんだからと思って……。それから、心配かけちゃうと申し訳ないなって思うんですね。だから、あとで「実はあのとき熱があって」とは言えるんですけど、その場では言えないんですね。
―― 映画では、いつも意地を張っているナナが涙を見せちゃうところもありますけど、青野さんはそういう経験は?
青野:あったような気がしますね(笑)。でも、やっぱりナナと同じで、あんまり泣いてるところを見せたくないから、泣いてなかったふりをします(笑)。映画でナナは泣いたあとで「泣いてなんかないわよ!」ってセリフを言うんですけど、そう言っちゃう気持ちはすごくわかりました(笑)。
「自分自身もすごく成長できたんじゃないかと思っています」
―― 青野さんが女優さんというお仕事に興味を持たれるきっかけは?
青野:最初は舞台をやらせていただいて、そこで演技を初めてやって、やりながらすごく楽しくなったというか、楽しさがわかったような感じですね。
―― これまでは舞台の経験が多かったと思いますが、映画と舞台との違いを感じられるところはありますか?
青野:そうですね……やっぱり、映画のほうが、よりリアルに作らなきゃいけないんですね。舞台はけっこう遠くからでもわかるようにお芝居を大きくやるんですけど、映画ではよりリアルなお芝居をしなきゃいけないし、相手に向かって言うセリフをカメラに向かって言うとか、そういうところで感情の入れ方が難しかったです。
―― いま、青野さんは演技のお仕事以外でもいろいろ活動していらっしゃいますが、やはりメインとなるのは女優さんとしてのお仕事になっていくのでしょうか?
青野:そうですね、女優さんとしてやっていきたいですね。
―― 今後、演じてみたい役とか、目標とする女優さん像があればお願いします。
青野:役としては、これまでずっと学生の役が多かったので、ちょっと大人な役もやってみたいなというのがありますね。女優さんでは、真木よう子さんが最近すごく好きなんです。アクションもできたりとか、幅広い役ができる女優さんになりたいです。
―― 青野さんご自身が好きなタイプの映画はどんな作品でしょうか?
青野:けっこう最近観た中で印象に残っているのは『阪急電車 片道15分の奇跡』(2011年/三宅喜重監督)ですね。ホッコリするような感じがすごくいいなあって。自分でもああいう映画に出てみたいなと思います。
―― ほかに、これから挑戦してみたいジャンルはありますか?
青野:うーん……恋愛ものがいいかな。アクションも興味ありますね。
―― 今回は初めての主演をつとめられて、どんな経験になりました?
青野:ほんとに大きくて、自分自身もすごく成長できたんじゃないかと思います。
―― さらに今回は主演だけではなくて、山田稔明さんが歌う主題歌の「あさってくらいの未来」に「未来」(みらい)と青野さんの名前が織り込まれているんですよね。
青野:はい、すごい嬉しかったですね。最初は私の名前が入るというのは知らなかったんです。すごくいい曲ですし、まさか自分の名前が入っているなんて、ありがたくて、嬉しいです。
―― では最後に『ナナとカオル 第2章』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
青野:『ナナとカオル 第2章』は“青春純愛SM映画”という新しいジャンルなんですけど、その名のとおりの映画になっていると思います。ナナとカオルのふたりが長野を旅行していって、素直になれなかったり、不安を抱えて距離が遠かったりするんですけど、それがSMをしていくごとにちょっと近づいていくんです。最後のスパンキングのシーンは、ほんとに体を張ってやっているシーンでもありますし、ふたりが大きく変わるところだと思うので、そこをぜひ観てほしいです。
(2012年8月24日/VAPにて収録)