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『アキラNo.2』小澤亮太さんインタビュー

インタビュー写真 ケンカ自慢の不良が集まる陸山高校で“No.2”の地位に立つ2年生の矢沢アキラ。しかし、実はアキラはケンカの強さは「そこそこ」。ケンカ無敵の“No.1”隣野ツトムへの細かな気遣いと口のうまさでNo.2のポジションを守っているのだが、ジェシーやブッチといった強敵がNo.2の座を狙って次々とアキラの前に現われる。どうする、アキラ!?
 人気の若手男優・小澤亮太さんが主演をつとめる『アキラNo.2』は、雑誌「ヤングキング」連載の奥嶋ひろまささんの同名コミックの映画化。ケンカの強さではなく気配りとハッタリを武器に頂点を目指すアキラを主人公にした、異色のヤンキー映画となっています。
 コミック原作映画を多く手がける吉村典久監督のテンポよい演出のもと、小澤さんはアキラをコミカルに、表情豊かに演じ、格闘家の城戸康裕さんをはじめとする共演者たちと抜群のコンビネーションを見せています。
 主演作の公開が続き、作品ごとに新たな魅力を見せる小澤さんに『アキラNo.2』についてお話をうかがいました。

小澤亮太(おざわ・りょうた)さんプロフィール

1988年生まれ、千葉県出身。2011年にテレビシリーズ「海賊戦隊ゴーカイジャー」(テレビ朝日系)でリーダーのゴーカイレッド=キャプテン・マーベラス役に起用され人気となる。その後も映画、ドラマ、舞台で活躍。出演作にドラマ「なるようになるさ。」(2013年・セカンドシーズン2014年/TBS)、映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』(2011年/竹本昇監督)『恋する歯車』(主演:2013年/中西健二監督)『共に歩く』(主演:2014年/宮本正樹監督)『さまよう小指』(主演:2014年/竹葉リサ監督)など。

公式ブログ:りょーたブログ

「なるべく抑揚のある人間を目指してやっていました」

―― まず、今回『アキラNo.2』に主演することが決まったときのお気持ちから聞かせてください。

小澤:最初に原作のマンガを読ませていただき、表紙を見て「ヤンキーマンガか! アクションも多いんだろうな」と思っていたんです。ところが、読んでみるとコメディの部分も多くてすごく面白くて、しかも俺の役は「全然ヤンキーじゃないやん!」みたいな(笑)。板挟みになって気を遣っているのがサラリーマンみたいで、あんまり普通のヤンキーキャラじゃないんですよね。そのイメージのギャップが面白いポイントというか、きっと作者の方の意図されていたところだと思うんですけど「面白いなあ、やられたなあ」という感じでしたね。

―― アキラというキャラクターについてはどんな印象を持たれました?

小澤:新しい成りあがり方だなあと思いました(笑)。人生だったり、高校でのポジションだったり、なにかを登っていくときに「こういう登り方があったか!」みたいな(笑)。すごくスキルが必要な成りあがり方なんですけど、斬新だなと思いましたね。

―― アキラ的な部分とか、アキラに共感する部分というのは小澤さんご自身の中にはあるのでしょうか?

小澤:今回はアフレコで言う、心の中の声がとても多いんです。それは「俺も心の中で考えていることってこれくらいあるんじゃないかな」って共感できるところでした。でも、ぼくは映画みたいに細かく気を遣ってNo.2に徹するみたいなことはやったことはないですし、そんなことができたらたぶんサラリーマンになっていたかもしれないですし(笑)。そこは、ぼくはできませんけど「すごいなあ」という共感はありましたね。

―― マンガが原作ですとキャラクターのイメージがしっかりとできあがっていますよね。そういうキャラクターを演じる上で意識されたところはありますか?

『アキラNo.2』スチール

『アキラNo.2』より。小澤亮太さん演じるアキラ(左)は、城戸康裕さん演じる“No.1”ツトムへの気遣いでNo.2の地位を保つ

小澤:そうですね、どうしても周りのキャラクターがみんなクールなんですよね。特にツトムはクールというかドシッとしているし、ブッチもジェシーもクールじゃないですか。だから、そこでひとつのスパイスとしてコミカルな動きをしたらどうなるのかなと思いつつやっていったんです。なるべく抑揚のある人間を目指してやっていましたね。

―― マンガが原作のキャラクターということで、外見的な部分で特に気をつけられた部分はありますか?

小澤:まあ、外見は元々持っているものなんであんまり変えられないんですけど(笑)。でも、顔でお芝居をするとか、そういう部分での外見は考えましたね。アフレコで言っている心の声をどう表現するかというところでちょっと悩んで、あんまり動かずにただアフレコの声が流れているところもあれば、アフレコの声にあわせていろんな顔をしたりいろんな動きをしたりコミカルにわざとらしくやるところもあったし、そういうところですかね。あとは、衣裳合わせのときに「この衣裳のほうがいい」というふうに一緒に考えたり、服装とかは原作に近いような感じで、上下を学ランでは揃えないとかは監督とかの意図なんですけど、そういう部分ですね。

―― いまもお話がありましたけど、今回はアフレコでセリフを入れているところが多いですね。

小澤:そうですね、アフレコでやるセリフも、状況を説明するナレーションと、アキラの心の声と、その中間みたいなのもあったりするので、その分け方は困難でしたね。説明するナレーションも気づかないうちに自分の感情が入っちゃったりとか。感情が入ってもいいんですけど、そこは差があったほうがいいかなと思っていたので。

―― アフレコではテンポのいいお芝居に合わせていくところも多いと思ったのですが、そこを合わせる難しさというのはありませんでしたか?

小澤:けっこう難しかったですね。現場ではセリフが入ったらどうなるのか想像しながらやっていたんですけど、撮影しているうちにいろいろやり方も変えていって、結局、スタッフさんがセリフを読んでくれるというのが一番やりやすかったですね。やっぱり頭で考えるのと口で話すのとは違うので、現場では誰かが読んでくれているのに合わせて、アフレコでは映像を見つつ現場を思い出しながらという順序でやっていました。

「まとまりがあって、楽しく現場が動いていたなあって感じがしましたね」

―― 『アキラNo.2』では、城戸康裕さんが演じたツトムと小澤さんが演じるアキラの関係が面白かったのですが、現場では小澤さんと城戸さんの関係はどんな感じだったのでしょう?(笑)

小澤:城戸くんはすごく気さくな方で、ほんとにぼくのほうが年下なのに、ぼくが気を遣わずに喋っていたくらいでしたね(笑)。ぼくもキックボクシングをやっているのでキックボクシングの話を聞いたりとか(※城戸康裕さんは現役のプロキックボクサー)、ホテルに泊まったときも城戸くんの部屋に遊びに行ってお芝居の話をしたりとかもしていました。実際は映画みたいにNo.1とNo.2という感じではなかったです(笑)。

―― 映画の中では、ツトムはちょっと近寄りがたい感じですが、実際の城戸さんはああいう方ではないんですか?(笑)

小澤:普段は全然全然(笑)。初対面はちょっと見た目が怖かったですけどね(笑)。でも、ほんとにギャップが激しくて、見た目とは違った面白い方ですね。

―― ギャップというと、映画の中でもツトムが全然違う面を見せるシーンがありましたね。

小澤:アハハハ(笑)。どっちかっていうと普段の城戸くんはあの感じなんですよ、ほんとに面白いことをする方なので。あのシーンの撮影はメチャクチャ面白かったですよ。俺、ずうっと笑うのこらえてましたもん(笑)。ほんとに、いい意味ですごく気持ち悪かったですね(笑)。

『アキラNo.2』スチール

『アキラNo.2』より。アキラの前に現れる強敵・ジェシー(演:五十嵐麻朝/右)やブッチ(演:福山翔大/左)もやがて……

―― 今回は城戸さんをはじめ男性の共演者が多くて、女性キャストが少ないですよね。ほんとに男の世界という感じですが、ほとんど男性キャストばかりの現場というのはいかがでしたか?

小澤:ほんとに男だけなんでまとまりがあるというか、ひとつの座組になっていたので、各々しっかり自分のことをやって、楽しく現場が動いていたなあって感じがしましたね。女性がいるとホッコリするのでそれはそれでいいんですけど、男性だけだとホッコリはしないですけどいいまとまりがあって、とても楽しく撮影できた気がします。

―― じゃあ、ちょっと男子校みたいな。

小澤:そうですね、また女性が増えたりすると違う方向になることもあるんですけど、ほんとに男だけなんで、男子校みたいな感じでしたね。男同士だから許されることもいっぱいあるんですよね。女性がいたら気を遣うようなことも気を遣うことなくできるので(笑)。男同士だから話せることとかもありますし、そういうことも素直に話せたり、リラックスしてできた感じはありますね。まあ、ちょっとむさ苦しいって話にもなりましたけどね(笑)。

―― その男同士のメンバーはシリアスな空気のときもあれば面白いところもあって、同じメンバーでもシーンによって雰囲気が変わっていくのが印象的でしたが、そういう雰囲気作りで意識されたことはありましたか?

小澤:けっこう、マンガの中ではいくつもあるストーリーを抜粋しているんですよね。だから展開も早くて、そこに対応するためには空気をまるっきり変えるというのが必要だなと思っていたんです。一緒に仲良くしているシーンは、最初はライバル視してたけど次には仲良くなっているというシーンなので、そこは自然にできた部分もすごく多かったですね。原作自体がすごくしっかり描かれていて流れがすごいできあがっているので、そこに乗っかってできたと思います。

―― 撮影中の出来事で、なにか面白い事件があれば教えてください。

小澤:そうですね、ぼくは連日撮影だったんですけど、あるときセリフ覚えながら寝落ちしちゃったんですよ。それでセリフを覚えきれていないまま撮影になってしまい、長セリフなんですけどテイクを10何回やったという、そういう申し訳ない事件が起きました。それから、朝まで撮影したときもすごく面白かったんですよ。その日はもう朝から翌日の朝まで撮影をしていて、朝の5時くらいになったときにはいたるところでプチ・ハプニングが起きるというか(笑)。城戸くんが椅子に座っていたのに寝落ちしちゃって「ガイーン」ってすごい音を立てて椅子から落ちたりとか、ぼくも自分でも気づかない間に寝ちゃってて「あれ、寝てた!」って、起きてすぐ撮影に行って撮ったんですけど、自分で見るとその前のシーンと顔が全然違っていて、起きたばっかりだっていうのがわかるんですよ(笑)。そういう事件もありましたね。

「いろいろなタイプの人間をやってみたいんです。失敗することもいっぱいあるんですけど」

―― 今年は4月に公開された主演作の『共に歩く』がシリアスな内容の作品で、今回は『アキラNo.2』でコミカルな役を演じられて、主演で幅の広い役柄を演じていらっしゃいますね。

小澤:そうですね。『共に歩く』はすごく重く深い内容で、そこにぶつかっていった部分も多かったんです。今回の『アキラNo.2』では、アフレコが多くて頭の中で想像して話しているところも多かったり、撮影のやり方的にも役的にも、やっぱり挑戦した感じはありますね。高校生の役というのも挑戦ですよね(笑)。みんな年上が多くてバランスとれていてよかったなあって(笑)。やっぱり、役者としていろいろな役をやりたいというのがあるんです。たとえば、大きく言えば同じ「クールな役」でも、各々の役で内容は全然変わってくるじゃないですか。だから、ぼくのやりたいことというのは、もっと幅を広く、クールな役、明るい役、いろいろなタイプの人間をやってみたいんです。そこで挑戦して失敗することもいっぱいあるんですけど、でもめげずにがんばりたいというのはありますね。

―― 『アキラNo.2』のアキラは基本的にはコミカルな役ですが、ときどきカッコいい部分を見せるところもあって、1本の作品の中でも小澤さんのいろいろな面が見られますよね。

インタビュー写真

小澤:そうですね、いろいろな感情もあったし、なにより周りのキャラクターが濃かったですね(笑)。だから、その濃い人たちとぶつかるとまた違う自分が出てきてというのが何回かあって、ツトムといるときは気を遣って一生懸命パシリをしている“一生懸命感”が出るような人間になったりとか、敵が現れたらハッタリをいっぱい言ったりする役になったりとか、変わった仕草がいっぱいあったのが難しかったし、そこが魅力でもあって、いい経験になりましたね。「もっともっとやることはいっぱいあるんだなあ」と改めて感じました。

―― 先ほど「いろいろなタイプの人間をやってみたい」というお話がありましたが、具体的に今後こういった役柄を演じてみたいというのがあれば教えてください。

小澤:刑事(デカ)とかいいですよね。刑事ものはカッコいいですよね。だから、アクション多めの刑事役みたいなのがやりたいですね。それで、ベテランの方が多いところでいろいろ吸収できたらなと思うんです。どんなところでも吸収することはあるんですけど、いまのぼくにはベテランの方が多いところで学ぶところがたくさんあると思うので、そういうところでいろいろ吸収したいと思っているんです。

―― 小澤さんご自身が好きなタイプの映画や、影響を受けた映画というとどんな作品でしょうか?

小澤:なんだろうな……。男の友情みたいなのは昔から好きなんです。『凶気の桜』(2002年/薗田賢次監督)とか好きですね。それから『南極物語』(1983年/蔵原惟繕監督、リメイク版2006年・米/フランク・マーシャル監督)みたいなのも好きなんですよ。ホッコリしたような、小さな笑いもあって、すごく大きな抑揚があるわけではないんだけど面白いというのはすごいと思うんです。そういう作品にも出てみたいですし、あとはさっきも言いましたけど刑事ものというか、ちょっとスタイリッシュなアクションものですね。『96時間』(2008年・仏/ピエール・モレル監督)という海外の映画があるんですけど、ああいうスタリッシュな映画はメチャメチャやりたいですね。

―― それでは最後に『アキラNo.2』公開を前にしてのお気持ちと、映画の見どころをお願いします。

小澤:はい、この作品はヤンキー映画だと思っている人がたくさんいると思いますし、たしかにヤンキー映画なんですけど、ほんとにそこにコメディがたくさん入っていて、その中でひとりひとりの個性がすごく強くて「男の友情っていいな」って思ってもらえるような作品になっていると思うんです。なので、みなさんで共感できる部分や、新しい発見を見つけて、楽しんでいただけたらなと思います。

インタビュー

『アキラNo.2』にちなんだポーズを、というリクエストに答えて、小澤亮太さんは指で「2」を示したポーズを決めてくれました。

※クリックすると拡大表示されます。

(2014年7月15日/シネマート本社にて収録)

作品スチール

アキラNo.2

  • 監督:吉村典久
  • 原作:奥嶋ひろまさ「アキラNo.2」(少年画報社「ヤングキング」連載)
  • 出演:小澤亮太 五十嵐麻朝 橋本マナミ 福山翔大 城戸康裕 ほか

2014年9月27日(土)より シネマート六本木ほかにてロードショー

  • ※初日舞台あいさつ、およびクロージング舞台あいさつ開催!
    舞台あいさつチケットはチケットぴあにて販売中

『アキラNo.2』の詳しい作品情報はこちら!

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