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『いつかの、玄関たちと、』藤江れいなさん・勝又悠監督インタビュー

インタビュー写真 高校を卒業すればみんなこの町を出て行ってしまう。だからこの町では友達も恋人も作らない……。小さな町で両親と暮らす大塚あやめ、18歳。高校卒業まで数ヶ月のある日、18年前に家を出た姉があやめと同い年の娘を連れて帰ってきた……。
 人気グループ・NMB48のメンバーとして活躍する藤江れいなさんが主演をつとめ、ティーンネイジャーの心の揺らめきを描き続ける勝又悠監督がメガホンをとった『いつかの、玄関たちと、』は、神奈川の山あいの町・下村が舞台。突然の“姉”の出現に戸惑う高校3年生・あやめを主人公に、家族と故郷というテーマが描かれていきます。
 ひとりの少女の“転機”を描いた『いつかの、玄関たちと、』と、そのスピンオフ短編『ワールドオブザ体育館』の2作は、今年の春にAKB48からNMB48への移籍を経験した藤江さんの現実と、奇しくもどこか重なる作品となりました。
 オムニバス映画『放課後たち』の一編『Do you think about me?』、そして『いつかの、玄関たちと、』『ワールドオブザ体育館』と、3作品でコンビを組んだ藤江さんと勝又監督。すでに名コンビといえるおふたりの、お互いへの信頼を感じさせるインタビューをお楽しみください。

藤江れいな(ふじえ・れいな)さんプロフィール

1994年生まれ、千葉県出身。2007年にアイドルグループ・AKB48の第一回研究生オーディションに合格し同グループ研究生として活動を開始、2008年に正規メンバーに昇格。グループで活動しつつ演技にも活躍の場を広げ、2010年に短編「眼鏡の転校生」(伊藤やよい監督)の主演をつとめ映像作品初出演。以降、多くの映画やドラマに出演する。2014年4月、AKB48から姉妹グループのNMB48に移籍。
主演作に『死ガ二人ヲワカツマデ…第二章 南瓜花 -nanaka-』(2012年/松村清秀監督)『Do you think about me?』(2014年/勝又悠監督|オムニバス『放課後たち』の一編)『眠り姫 Dream On Dream』(2014年/上野コオイチ監督)『妖恋歌は一陣の風に』(2014年/岡本英郎監督)など。

公式ブログ:Reina's flavor

勝又悠(かつまた・ゆう)監督プロフィール

1981年生まれ、神奈川県出身。専門学校卒業後、映像制作会社勤務を経てSTROBO RUSHを設立。ティーンネイジャーの男女を主人公にした青春映画を制作し、国内外の映画祭で高い評価を得る。2011年に劇場デビュー作となる『はい!もしもし、大塚薬局ですが』が公開され、その後も劇場公開作品のほか短編やミュージックビデオなど、幅広いかたちで作品を発表している。
ほかの劇場公開作に『オードリー』(2011年)『See You』(2012年)『Do you think about me?』(2014年|オムニバス『放課後たち』の一編)など。『月が綺麗ですね』(2013年)が公開待機中。

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「“気が強そうだな”って思ってたんです。もう、そのまんまだった(笑)」(勝又)

―― 勝又監督と藤江さんは『いつかの、玄関たちと、』の前に『Do you think about me?』でお仕事をなさっていますが、まずそのときの第一印象からお聞かせいただければと(笑)。

藤江:ええっ?(笑) 第一印象、うーん……。

勝又:ぼくはもう「あっ、藤江れいなだ! 本物だ!」って。

藤江:(苦笑)

―― 監督は、ほかの映像作品などで藤江さんのことはご覧になっていたんですね。

勝又:そうですね、「上からマリコ」って曲(※1)のMV(ミュージックビデオ)で。

藤江:アハハハ(笑)。いっぱい映ってますからね(笑)。

―― その時点での藤江さんにはどんなイメージを持っていらっしゃいました?

インタビュー写真

勝又:いや、もう「気が強そうだな」って思ってたんです。

藤江:フフフ(笑)。正解! とか言って(笑)。

勝又:もう、そのまんまだった(笑)。

藤江:嬉しくないっ!(笑)

―― 藤江さんは勝又監督の印象はいかがでしょう?

藤江:あんまり、外見からは監督っぽくないなって思いました(笑)。でもいざ撮影となったら、もうほんと、なにも言い返せないくらいの監督です。

勝又:そうなんですよ(笑)。

―― 藤江さんは『Do you think about me?』を撮り終えた段階では、また監督とお仕事する予感みたいなものは感じられていました?

藤江:ほんとに、またお仕事させていただけるならぜひやりたいなって思ってました。『Do you think about me?』の撮影では、クライマックスのシーンをお昼に1回撮影したんですけど、監督が納得いくものが撮れなくて、夜にもう1回撮りなおしだったシーンがあったんです。「大変だったな」って思ったんですけど、でもその分いろんなものを得られたと思うので、また監督からいろいろ指導してもらって撮影したいとは思っていました。

―― 監督は、1度お仕事をされて女優としての藤江さんをどう思われました?

勝又:もう、根性がすごいあるんです。『Do you think about me?』のときは撮影期間が短かったんですよ。なので、もう1度ガッツリやりたいなと思っていて、実はそのときにすでに『いつかの、玄関たちと、』の企画は走っていて、もう「主演をどうしようか」みたいな話があったんですよ。それで、プロデューサーに「次やるんだったら藤江でやりたいんだけど」って言いましたね。

―― 「もう1度ガッツリやってみたい」と思う一番のポイントはどんなところだったのでしょうか?

藤江:気になる(笑)。

勝又:一番のポイントはやっぱり、負けん気、根性、プロ意識。

藤江:フフフ(笑)。

勝又:すべてにおいてですね。たぶん、なかなかいない気がするんですよね。

―― 藤江さんはいかがですか、監督のそういう評価を聞いて。

藤江:私はほんとすごい負けず嫌いというか、なんだろう……親が「やるなら成功するまでやれ」ってずっと言ってきている親で、私も毎回、監督を納得させられるくらいの演技をしたいなと思ってがんばっているので、その気持ちが監督に届いているなら嬉しいと思います。

―― そして『いつかの、玄関たちと、』でまたお仕事をされることが決まったときはどんなお気持ちでした?

藤江:私自身もほんとにすごく嬉しかったですし、撮影したあとに映画の公開が決まって発表したときには、ファンのみなさんも「また勝又監督の作品に出られるんだ!」ってほんとに喜んでくれたので、それもやっぱり嬉しかったですね。

  • ※1:藤江れいなさんが選抜メンバーとして参加している2012年リリースのAKB48のシングル曲。ミュージックビデオは学園を舞台にしたドラマ仕立てとなっており、藤江さんは準主役的な役柄を演じている。

「あやめちゃんの家族を大切にしている気持ちっていうのは、私と似ているかなって思います」(藤江)

―― 『いつかの、玄関たちと、』は小さな町で暮らす高校生とその家族のお話ですが、こういう内容の作品を作ろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

勝又:難しいですね……。普遍的なものを描きたかったんですね。というのも、もうそろそろ自分の映画人生において次のステップに行かないとって思っていたんです。ずっと女子高生ばっかり撮ってきたんで、「女子高生から派生したなにか」を描かなきゃ、と。それで、“家族”という一番の王道を成功させたら、自分の中でひとつの自信になると思ったのがひとつですね。

―― 拝見していても、古き良き日本映画的というか、より幅広い層の方々に楽しめる作品になっているように感じました。

勝又:そう見えていたら嬉しいですね。ほんとに演出でも余計なことをしないように心がけていて、オーソドックス、スタンダードというのをつねに技術スタッフ全員に言っていましたね。「奇をてらわずにいきましょう」と。

―― 藤江さんは、そういう作品の世界に入ってみていかがでした?

藤江:ほんとに、撮影場所が監督が住んでいた場所だったということもあって、撮影中にたまたま監督のお母さんが車で通ったときがあって(笑)。そういう、監督の思い出も詰まっている場所で撮影できたというのもすごく嬉しかったですし、今回は向こうに泊まりがけで撮影したので、大塚あやめちゃんとして、大塚家のみんなでほんとに住んでいる感覚になって撮影できたというのも楽しかったですね。

―― 舞台となる下村という町は、神奈川でちょっと田舎のほうだというのが重要かなと思いました。たとえば東北とか九州とか、東京から離れた地方とはまた違った東京への距離感ってありますよね。

勝又:そうなんですよ。東北とか北海道に比べたら、言ってしまえばいつでも東京に行けるじゃないですか。だからこそ足が伸びない部分ってありますよね、決意を決めないと行けないっていうか。よく「全然東京に近いじゃん」とか言われるんですけど、近ければ近いなりの事情がありますよね。

―― 藤江さんは、そういう地方じゃない田舎の東京への距離感みたいなものは感じたことありますか?

『いつかの、玄関たちと、』スチール

『いつかの、玄関たちと、』より。藤江れいなさん演じるあやめは、毎日バスの同じ席に座る……

藤江:うーん、まあ私の家の周りはナシ園ばっかで、電車も終電早くって、田舎って言えば田舎な場所で(笑)。でも、そこまで都内に出づらいってことはないから、終電が早いってところだけはちょっと不便ですけど、あんまり距離って感じたことはないかなあ。

―― では、あやめの持っている東京への距離みたいなのは、どのようにとらえられていました?

藤江:やっぱり、あやめちゃんはずうっと下村で暮らしてきたから、東京には憧れがあると思うんですよ。私自身も初めて東京っていうか渋谷とか原宿とかに遊びに行ったときはものすごくテンション上がって「こんな楽しい場所あるんだ!」って思ったんで、あやめちゃんもきっとそういう気持ちなんだろうなって思いながら撮影していましたね。

―― あやめの人物像についてもお聞きしたいのですが、あやめって、すごくときめいてるわけでもないし、かといってすごく鬱屈しているわけでもないし、監督がこれまであまり描いてこなかったタイプの主人公ですね。

勝又:なんか、無色透明というか、一番難しい、自分がやってこなかったものにチャレンジした感が今回はすごくあるんです。すごくバカなことかもしれないんですけど、キャラ設定にしろなんにしろ、まず自分がやらないだろうなってことから決めていったんで、難しかったですね。あんまり「難しかった」とは言いたくないんですけど(笑)。でも、藤江があそこまでやってくれたので、ほんと藤江様様ですよ(笑)。藤江じゃなかったら成立しなかったと思います。

―― 藤江さんは、あやめに共感するところってありますか? それとも藤江さん自身とは全然違う子という感じでしょうか?

藤江:私は性格的に家族とすごく仲よくって、なにかあったらなんでもすぐ親に報告しちゃうくらいな感じなので、あやめちゃんはそれに比べたら、思っていることはもちろんあるけど、そこまで自分のこと話さない性格だったりもするので、そこの点ではちょっと違うかなと思うんです。だけど、誰よりも家族を大切にしている気持ちっていうのは、私と似ているかなって思いますね。

―― 撮影中は、どういうふうにあやめを演じようと考えていましたか?

藤江:うーん、難しいな(笑)。……でも、なんかお父さんを適当にあしらっているあやめだったりとか、お姉ちゃんが急に現われて嫌だっていうのを表に出しちゃっているあやめだったりとか、言葉には言わないけどどう表情で表すかというか。私ってNMBのコンサートのときもけっこう無意識に口角が上がっちゃうみたいで、コンサートの映像を見ると笑っちゃいけない曲でも「あれ、なんか笑ってない?」みたいなときがたまにあるので、やっぱりそういうシーンはつねに意識をして「表情勝負だから絶対に笑わないように」とか、そういう細かいところで意識はするようにしていました。

―― あやめって、藤江さんがいままで演じてこられた役の中でも一番普通の女の子かなと思ったんですけど、ご自身では演じてみていかがでした?

藤江:そうですね。いままで人間以外の役もいろいろやってきましたけど、心があたたまる作品っていうのにあんまり出たことがないんですね。人間の役でもホラーとかサスペンスとかで誰かが殺されちゃうような映画が多かったので、これを観てもらって「感動した」って言ってもらえたら嬉しいなと思いますね。

「制服が違和感なく見られるようになったら、こっちの勝ちかなと思っているんです」(勝又)

―― 映画の中では、あやめは制服姿が多いですね。

藤江:そうですね、家の中でも制服で、出かけるときもジャージっていうかスウェットを着ている状態に学校で履いている通学用のソックスを合わせてという感じだったので、つねにどこかしらに制服のものは取り入れられていましたね。

―― 家での食事のシーンでも制服ですけど、監督はそれだけ制服を着るということにこだわりがあったのでしょうか?

勝又:こだわったというか、まずそんな映画はないじゃないですか。「なんで飯食っているときも制服なんだよ!」ってなりますよね。でも、そこで成立させたらこっちのもんなんです。制服が違和感なく見られるようになったら、こっちの演出というか駆け引きの勝ちかなと思っているんです。

―― 藤江さんは、実際にも最近まで制服を着ていらっしゃったわけですけど、この作品で制服を着てみていかがでした?

藤江:撮影のときはまだ10代で19歳のときに撮影したんですけど、その1年前までは普通に制服を着ていたからそこまで違和感ないかなと思っていたんですけど、でも一緒に出ている子で現役高校生の子が制服を着ているのを見て、やっぱ現役にはかなわないなと思いましたね(笑)。

―― いやいやいや(笑)。

勝又:いやいやいや(笑)。

藤江:(笑)。AKBでもけっこう歳が上のメンバーが増えていて、そこまでリアル制服って着るのは少なくなっていたので、どちらかと言ったら久しぶりに着たような感覚で、それで監督は制服の着方にもいろいろとこだわりがあって「ここはこうしてこうして」とかあって、まあ、今回はそこまで着崩してはいないかなって感じはするんですけど。

『いつかの、玄関たちと、』スチール

『いつかの、玄関たちと、』より。あやめのバッグの持ち方は勝又監督のこだわり

―― あやめのバッグの持ち方は、監督の指示ですか?

藤江:はい、こことここ(肘のところ)でかけて(笑)。

勝又:あれは断固として(笑)。

―― ほかに、あやめの制服の着方で監督がこだわったところはあるのでしょうか?

勝又:あやめに関してはそんなないですね。スタンダードでやったので。

藤江:勝尾(麻結奈=あやめの姉の娘・茉祐子役)ちゃんのほうがけっこう着崩していて、スカートの下にジャージ履いたりとか。制服の着方は『Do you think about me?』のときのほうがいろいろありましたね。

―― 制服に関するところでひとつぜひお聞きしたいところがあって、映画の割と終盤のほうで、あやめが立ち上がってセリフを言うときに……

勝又:ああ、ギュッと掴んでいるやつですね。

―― そうですそうです、制服の裾を。あそこは意図してああいう動きを付けられたのでしょうか?

勝又:まったく意図してないです。

藤江:あれ無意識です。無意識というか、私ってなにか想いを伝えたいときって手が動く癖があって、それを抑えるために掴んだんだと思うんですけど、できあがったのを観て「あ、メッチャ掴んでんじゃん!」って思って(笑)。

勝又:すごくいいと思う、あれ。

藤江:嬉しい(笑)。

―― では、監督が現場で見て藤江さんの動きをそのまま取り入れたと。

勝又:いや、正直気がついてなかったです。

藤江:アハハハハハ(笑)。

勝又:芝居だけ見てたんで(笑)。で、編集のときにあのシーンって何テイクもやったんで全部見るわけですよ。そしたらOKテイクで掴んでたんで、編集さんに「これだよ!」って。

―― あのシーンはあやめの心境としてもけっこう大きな決意をしているところですし、自然な動きがあやめの気持ちにもすごく合っていますよね。

藤江:そうですね、そうなっていたら嬉しいです。

「親に見せたらどんな反応が返ってくるのかなっていうのも楽しみです」(藤江)

―― スピンオフの『ワールドオブザ体育館』についてもお話をうかがいたいのですが、スピンオフであっても『いつかの、玄関たちと、』とはずいぶん違った雰囲気の作品になっていますね。この作品はどんな発想で作られたのでしょうか?

勝又:……『いつかの、玄関たちと、』がクランクアップしてすぐ準備に入ったので、もう疲れ果てていたというか。

藤江:えっ、ええっ?

勝又:自分の中のなにか爆発した感じですね、ぼくの中では。だから、なんて言うんですかね……難しいんですよね、難しいんですけど、映画を純粋に好きな気持ちを思い出したかったというか、初めてハンディカムを持って、あの赤いボタンをピッと押すとものがすべて記録される。それってすごい斬新じゃないですか。そこに戻りたかったんですね。それが一番でかいですね。

―― そういう意味では、監督がインディーズで作られている作品に近いというか、あまり計算をしないで作られた作品という感じでしょうか?

勝又:そうですね、これは計算してないです。本能ですね。自分の持っているものと、藤江の持っているものだけで、どこまで突き進めるのかなっていうスタンスです。

―― 同じ役だけど映画のタイプは全然違うというのは、藤江さんは演じてみていかがでしたか?

藤江:そうですね、『いつかの、玄関たちと、』のほうでは、あやめちゃん自身の学生生活でどういうことを思っていたとかはあんまり描かれていないから、ほんとは学校で好きな人がいたりとか、そういう裏の一面を見られる楽しさっていうのも『ワールドオブザ体育館』にはかなり入っていたりするので、きっと両方観てもらったほうが両方ともより楽しんでもらえるかなと思います。個人的にも好きな作品でもあるし、もう『ワールドオブザ体育館』のほうは公開されていて、ファンの方からも握手会とかですごく褒めてもらえることが多い作品なので、みんな『いつかの、玄関たちと、』も楽しみだということを言ってくれていて、それはやっぱり嬉しいですね。

―― 『ワールドオブザ体育館』のクライマックスはアドリブで撮られたそうですね。

インタビュー写真

勝又:もう、この作品はぜんぶむき出しで行こうと思っていたんで、ぼくの持っているすべての力と藤江の持っているすべての力とで闘いを挑もうと思っていたので、そこでぼくが藤江の力をある程度こちらで当てはめてしまうよりも、彼女ができることを最大限引き出すっていうことのほうがお互い利益になるんじゃないかと思って。まあ、ものすごく大変だったと思うんですけど(笑)。

―― 藤江さんは、あれだけのシーンをアドリブで演じるというのはどんなお気持ちでした?

藤江:はい、あのクライマックスのシーンが撮影スケジュールの一番最後になっている時点で「あ、これはヤバいぞ」って思ったんですけど……フフッ(笑)。案の定、撮影が終わったのは朝の4時を過ぎたくらいで、もうけっこう外も明るくなっているくらいに終わって(笑)。でも、何回か撮影はしたんですけど、私の言いたいことは言えたかなっていうふうに思っているから……ちょうど『ワールドオブザ体育館』の撮影の前にAKBからNMBに移籍するというのが発表された直後だったので(※2)、リンクする部分がたくさんあって、私自身も伝えたいこととかもあったから、それを含めていろんなことを言えたのもよかったなと思ってます。

―― もし、おふたりで4本目の作品をやるとしたら、今度はどんな作品になるでしょう?

勝又:ぼくは、気の強い映画監督の役をやらせたいですね。

藤江:アハハハハハ(笑)。

勝又:自我と闘うわけじゃないですか、映画監督って。その気の強さゆえにどんどん自我が崩壊していくっていう。

藤江:えっ、えっ? 難しい! 怖い! ほんとに崩壊しそう(笑)。

勝又:藤江ならできちゃいそうな気がするんですよね。

藤江:いやいやいや(笑)。私は、なにをしたいかな……。『いつかの、玄関たちと、』の中に先生役で、さらば青春の光の森田(哲矢)さんが出ているんですけど、森田さんは『Do you think about me?』のときに家庭教師の先生役で出ていたりとかしていて、お話はつながっていなくてもなんかチョイチョイリンクする部分もたくさんあるので、そういうふうに、同じキャストさんで違うストーリーでもいいし、また『ワールドオブザ体育館』みたいに別の『いつかの、玄関たちと、』のスピンオフみたいな、そういうかたちでも出てみたいですね。

―― では最後に『いつかの、玄関たちと、』の公開を前にしてのお気持ちと、こういう部分を観てほしいという見どころをお願いします。

藤江:はい、ちょうど撮影が公開の1年前になるんですけど、やっぱ、この作品は家族だったり故郷がテーマになっているというのもあって作品中にも家族ってワードがとにかくたくさん出てきていて、私も早く親に見せたいなと思っているんです。まだ見せていないので、親に見せたらどんな反応が返ってくるのかなっていうのも楽しみです。きっと『いつかの、玄関たちと、』を観てもらえたら「やっぱり家族ってやっぱりすごいな」だったりとか「家族の存在があるから、いまこうしてちゃんと生活できているんだな」とか、改めて実感できることがたくさん詰まっているので、たくさんの方に観てもらって「また観たい」って思ってもらえるような作品になったら嬉しいと思います。

勝又:なんか、言葉にはできない業(ごう)みたいなもんじゃないですか、家族って。その言葉では言えないなりに表現をしたつもりなので、家族に対して疑心暗鬼になっている人に観てもらいたいですね。円満な人ももちろん楽しめると思うんですけど、娘が口聞いてくれないとか、そういう親の世代だったりに届けたいですね。

  • ※2:2014年2月24日に開催された「AKB48グループ 大組閣祭り」で移籍発表。『ワールドオブザ体育館』の撮影はその直後の2月26日より27日にかけておこなわれた。
インタビュー

ファッションでも注目されている藤江れいなさん。取材時はこんな服装でした。

※クリックすると拡大表示されます。

(2014年9月8日/イトーカンパニーにて収録)

作品スチール

いつかの、玄関たちと、

  • 監督・脚本:勝又悠
  • 出演:藤江れいな 橘麦 木下ほうか 山村美智 勝尾麻結奈 松原智恵子 ほか

2014年10月18日(土)よりテアトル新宿にてレイトロードショー


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