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21世紀になっても人類にとってただひとつの未知の領域、それが時間です。もし、この時間を自由に操ることができたら? 愛する人が亡くなる前に助けてあげたい、あるいはもう一度言葉をかけてあげたいという願い。時間を過去へ遡ることができたら、その願いは叶うはず…。SF小説の祖、H.G.ウェルズが1895年に発表したた「タイム・マシン」以来、このテーマの小説や映画は数多く、とりわけ映画では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ある日どこかで』『時をかける少女』など、数々の名作が作られてきました。『アインシュタインガール』は、この時間旅行というアイディアをテーマにした青春ファンタジーです。20世紀を代表する天才科学者・アインシュタインの提唱した相対性理論をベースにした知的エンタテイメント精神あふれるストーリーに、十代の少女の家族に対する思いや友達との友情が情感豊かに描かれます。アインシュタインの没後50年を迎える今年、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のスリルと『時をかける少女』のリリシズムに加えて、家族の絆の強さと今を生きる大切さをうたった感動作がここに誕生しました。
主演は映画、テレビ、グラビア、CMなどで活躍する岩佐真悠子。多感な十代のヒロインを等身大で演じて表現力に磨きをかけた好演を披露、女優として成長著しいところを見せています。彼女を囲む共演者には小松愛、福士誠治の期待の新星に加え、キムラ緑子、田口トモロヲの両ベテランが両親役に扮し、味わい深い演技で映画の要所を締めています。
監督・脚本はJホラーの先駆けとなった『富江』、吉田秋生原作の青春ラブストーリー『ラヴァーズ・キス』など、多彩なジャンルを手掛ける及川中。全編、千葉県佐倉市のユーカリが丘でロケーション撮影がおこなわれ、印旛沼に代表される緑と高層ビル街が自然に調和しているこの街の魅力的な風景が、映画のもうひとりの主役となっています。街を走り抜ける環状鉄道「こあら号」が時空を越えるタイムマシンとなっているのも見どころ。
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ユーカリが丘に住む女子高生・今西薫(岩佐真悠子)は、一年前に母親の頼子(キムラ緑子)を交通事故で亡くし、父親の研(田口トモロヲ)とふたりで暮らしている。ようやく悲しみも癒え、親友のヤマ(小松愛)と元気に学校に通っている薫は、この日の朝、母親が事故死した坂道で、薫たちと同じ学校の制服を着た、髪の長い見知らぬ少女の姿を見かけた。実は薫は、事故の日にも同じ場所でその少女を見かけていたのだった…。
薫とヤマはいつものようにユーカリが丘の環状鉄道「こあら号」に乗って学校に向かう。だが、その車内にもあの少女が乗っていた。胸騒ぎを覚えた薫は少女の姿を追う。その瞬間、凄まじい光と衝撃波が車内を貫き、なんと薫とヤマはタイムスリップしてしまう! 公園で偶然出会った奇妙な少年・康二郎(福士誠治)は、ふたりが街の人々と違う次元にいることを教えてくれる。康二郎は60年前の太平洋戦争中の駆逐艦からタイムスリップした水兵だという。康二郎はふたりにアインシュタイン理論を説明し、薫とヤマが時空の歪みに入り込んだのはこあら号に乗っていたときで、元の世界に戻るのもこあら号を使う以外にないと告げる。そして薫は思いがけない事実を知る。薫がタイムスリップしてきたこの日は、母親の頼子が事故で死ぬ二日前だったのだ! 康二郎はタイムトラベラーは決して歴史に手を触れてはいけないと忠告するが、薫は自分が元の世界に戻ることを諦めて頼子を救おうと決心する。
そして二日後、事故現場に向かった薫の前に現れたのは、あの髪の長い少女だった。この少女の正体は? 薫は母親を救えるのか? そして、薫とヤマはもう一度元の世界に戻れるのだろうか?
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