福岡市の商社に勤める川野俊郎(筧利夫)は40代の半ば。社内には煮え切らない関係を続ける有美(清水美砂)がいるが、お互いに一歩を踏み出す勇気はない。
ある日、俊郎は雨に降られずぶ濡れで飛び込んだコンビニのレジで、「22才の別れ」を口ずさむ少女・花鈴(鈴木聖奈)に出逢う。ふとしたことから花鈴と親しくなった俊郎は、コンビニを辞めた花鈴からいきなり援交を求められる。戸惑う俊郎だったが、花鈴に不思議な縁を感じて放っておくことができず、自分の家へと招き入れる。
しかし、花鈴の身の上を聞いた俊郎は、信じられない事実に衝撃を受ける。それは、22才の誕生日に別れたかつての恋人・葉子(中村美玲)にまつわることであった……。
22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語
監督:大林宣彦
出演:筧利夫 鈴木聖奈 中村美玲 ほか
2007年8月テアトル新宿ほかにてロードショー
2006年/カラー/アメリカンビスタ/DTSステレオ/119分
日本を代表する映像作家・大林宣彦が、2002年の『なごり雪』に続き、伊勢正三の名曲をモチーフに、あらゆる世代に向けた人生の応援歌を作り上げた。
フォークソングの名曲として今でも歌い継がれる「22才の別れ」をベースにした本作は、母娘二代にわたる、懐かしく切ない日本の恋の物語。30年あまりの激動の時代の中で日本人が失ってきた、人の心の思いへの哀切な叙事詩でもある。
今作で舞台となるのは、九州の大都市・福岡と、『なごり雪』の舞台でもあった大分の津久見、臼杵という情緒ある街々。クライマックスでは、臼杵でおこなわれている行事“うすき竹宵”が、幻想的な光景をかもし出す。
主人公を演じるのは、映画・テレビ・舞台など、幅広いフィールドで圧倒的な存在感を見せる筧利夫。共演に『うなぎ』『赤い橋の下のぬるい水』で各賞を受賞した演技派の清水美砂。そして時代を隔てた母と子を、期待の新人・鈴木聖奈と中村美玲が瑞々しく演じ、スクリーンデビューを果たす。さらに窪塚俊介、寺尾由布樹、細山田隆人ら若手が伸び伸びした演技で映画に活力を与え、長門裕之、南田洋子、三浦友和、峰岸徹、村田雄浩など、大林映画ゆかりのベテラン陣がガッシリと脇を固める。
大林宣彦は監督・脚本・編集の三役をつとめ、幻想的な映画美で現在と過去、ふたつの時代を流麗に描き分け、主人公たちの生きる勇気を見事なまでに表現。円熟の境地を見せている。
- 筧利夫
- 鈴木聖奈(新人)
- 中村美玲(新人)
- 窪塚俊介
- 寺尾由布樹
- 細山田隆人
- 南田洋子
- 峰岸徹
- 村田雄浩
- 三浦友和
- 長門裕之
- 清水美砂
- 監督:大林宣彦
- 製作者:鈴木正徳
- エグゼクティブ・プロデューサー:大林恭子/頼住宏
- コ・プロデューサー:山崎輝道/安井ひろみ
- 原案:伊勢正三「22才の別れ」より
- 脚本:南柱根/大林宣彦
- 音楽:山下康介/學草太郎/伊勢正三
- 撮影:加藤雄大
- 美術:竹内公一
- 照明:西表灯光
- 録音:内田誠
- 記録:増田実子
- 助監督:山内健嗣
- 編集:大林宣彦
- 音楽プロデューサー:加藤明代
- VFXプロデューサー:大屋哲男
- 監督補佐:南柱根
- 制作担当:小野山哲史
- 製作:ダイアックス
- 製作協力:ピーエスシー
- 配給:角川映画