
もし21歳で乳がんになったら――。札幌で暮らす竹中まゆが、ある日突然、直面した現実。『Mayu ―ココロの星―』は、困難に立ち向かうひとりの女性の1年間のココロの成長を描き出す。どんなときでも、しっかり前を向いて、逃げることなく真正面から現実と向き合うまゆのまわりには、いつも大切な家族、友達、恋人がいる。まゆの成長は彼女ひとりの成長ではなく、まわりをも巻き込んで希望の光の道しるべとなる。
『Mayu ―ココロの星―』は、原作者・大原まゆさんの実際の体験に基づいた物語である。「主人公の“死”を描かなくても、伝えられることはいっぱいあるということと、いま、私が生きている意味のある映画にしてほしい」――。そんな大原さんの想いを受け取り、脚本と監督をつとめたのは、『ダンボールハウスガール』『プラトニック・セックス』の松浦雅子。乳がんというテーマに、女性ならではのリアルかつ繊細な視点を持って向きあった。
ヒロインの竹中まゆを演じるのは、タレント、女優として幅広い活躍を見せる平山あや。北の都市・札幌を舞台に、生きる希望を決して捨てることなく前向きに生きるヒロインを熱演している。また、自身も卵巣がんという病を抱えながら娘を温かく見守り、まゆの理想の女性像である母親を浅田美代子、父親を三浦友和が演じるほか、まゆの恋人役には池内博之、元カレ役には塩谷瞬ほか、新旧実力派が脇を固める。
病と向き合ったとき、どう“生きる”べきなのか。乳がんという病を主軸にしながら、本作で描かれるのは“生きる”こと。まゆの凛とした生き方はスクリーンを越えて、観る者すべてに勇気と希望と強さを与えるだろう。

札幌市内の広告代理店に勤める竹中まゆ(平山あや)。小学3年生のときに母親(浅田美代子)が卵巣がんを発症。それ以来、入退院を繰り返す母に代わり、父(三浦友和)とともに家事をこなし、4人家族の竹中家を支えてきた。そのころからだろうか、まわりからは“いつも弱音をはかない、しっかりもの”と思われている。
恋人の新堂(池内博之)とデートにでかける朝、ふとまゆは胸の脇にあるしこりのようなものに気づく。20歳前後の乳がん患者は統計上0%。まだ若いまゆが乳がんになるなんてあり得ない。しかし、母親とともに検査に向かった病院で下されたのは、容赦のない乳がん宣告だった。
まゆは医師に告げる。「どんなつらい治療も頑張ります。でも私、いつか好きな人の子どもを産みたいんです。その可能性だけは残してください」
そして、まゆと乳がんとの闘いが始まった――。