
ごとうしのぶの小説「タクミくんシリーズ」は、少年同士の恋愛を描いたボーイズラブものの先駆け的な存在として、現在までに累計400万部を越えるヒット作となっている。多くの女の子たちを魅了し、コミック版も好評の人気作だけに、その映像化は困難と思われてきたが、フレッシュで魅力的な若手男優陣の共演により、見事に映画化を果たした。
物語の中心となる託生とギイを演じたのは、人気俳優集団D-BOYSでドラマや舞台に活躍中の柳下大とドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス」の加藤慶祐。柳下大のさらさらとした黒髪とつぶらな瞳は原作の託生のイメージにピッタリ。加藤慶祐は端正な容姿と気高さを感じさせるオーラで学園のプリンス・ギイそのものの存在感を見せる。
ふたりに加え、大人気ミュージカル「テニスの王子様」から、滝口幸広、牧田哲也、相葉弘樹。戦隊シリーズから齋藤ヤスカ。声優界から羽多野渉。各ジャンルの人気者が勢揃いし、シリーズのキャラクターをみずみずしく演じる。
脚本は『きみにしか聞こえない』の金杉弘子が、原作シリーズのさまざまなエピソードを元に、託生とギイの恋愛を核に多くのキャラクターの想いが交錯する1本の物語を紡ぎ出した。そして『天まであがれ!』で高い評価を受ける気鋭の監督・横山一洋が美しい映像と繊細な演出で、原作ファンの期待に応える温かな作品に仕上げている。。
主題歌には、GOING UNDER GROUNDのニューシングル「さかさまワールド」が使われ、物語のエンディングをさわやかに飾る。

人里離れた全寮制の男子高校・祠堂学院。学院の生徒・葉山託生(柳下大)は、ささいなきっかけから学院のカフェで高林泉(齋藤ヤスカ)たちのグループの反感を買ってしまう。グループに囲まれた託生を助けてくれたのは、ルックス、成績ともに抜群で、学院の誰もが一目置くギイこと崎義一(加藤慶祐)だった。
2年生になり、ギイとルームメイトになった託生。人に触れられることを怖れ、ギイを自分とは遠い世界の存在のように思っていた託生だったが、ギイは託生に優しく接していく。しかし、高林はふたりの仲の良さにイライラをつのらせ、高林の取り巻きたちがふたりに嫌がらせを仕掛けようとしていた。そんな高林を複雑な想いで見つめる吉沢道雄(羽多野渉)。一方、託生たちの上級生でバスケット部の野崎大介(牧田哲也)は託生のことが気に入り、強引な手段で迫ろうとするのだった。
ギイの良き理解者である赤池章三(滝口幸広)、託生の親友・片倉利久(坂口りょう)、演奏会で学院を訪れた世界的バイオリニストの井上佐智(相葉弘樹)たちに見守られながら、託生とギイはお互いの絆を深めていく。そんな学院生活の中で、託生が胸に秘めていた心の傷が明らかになっていく――。