医者から余命数年と宣告され、自暴自棄になっている宮田真奈美(芦名星)は、インターネットの自殺サイトにアクセスする。そこで知り合った仲間と集まり、サイト管理者の妙田(大森南朋)の運転する車に乗り込むが、いざというところでほかの参加者が「テレビドラマの最終回が見たい」「ラーメンが食べたい」「ボウリングでストライクを出したい」などと好き勝手なことを言い出し、一向に自殺する気配がない。そして夜が明けるころにはみんな自分の生活へと戻ってしまった。
真奈美はひとりで会社の屋上から飛び降りようとするが、そこに妙田が現われる。そして「あなたに助けてもらいたい人がいる。その人を助けてくれたら苦しまずに死ねる薬をあげる」と言い残して去っていく。無視するつもりの真奈美だったが、自宅の鍵が妙田の元にあると知らされ、やむなく妙田が管理人をつとめるアパート“妙田荘”を訪れる。
真奈美はそこで、アパートの住人で売れないカメラマンの長田寛治(安田顕)を紹介される。そして妙田はこっそりと真奈美に告げる。なんと、長田と結婚するのが薬を渡すための交換条件だというのだ――。
たとえ世界が終わっても
監督:野口照夫
出演:芦名星 安田顕 大森南朋 ほか
2007年8月25日(土)よりユーロスペースにてレイトショー/p>
人生に絶望感を抱き、自殺を考えた女性。「ある人を助けてくれたら苦しまずに死ねる薬をあげる」という奇妙な交換条件をだされ、戸惑いながらもある男性とともに田舎町を訪ねる。そこは、彼が15年間帰ることのできなかった故郷だった……。瑞々しい感動と柔らかな余韻を残す、スピリチュアル・ファンタジーが誕生した。
主人公の真奈美役には、来年公開の日本・イタリア・カナダ合作映画『SILK』のヒロインに抜擢された芦名星。世界的な活躍が期待される大型新人の初主演作となる。彼女とともに15年ぶりの帰郷を果たす青年・寛治を演じるのは、北海道を拠点にいまや全国区の人気を持つ演劇ユニット・TEAM NACSの安田顕。すでにテレビドラマで活躍中、鈴井貴之監督『man-hole』では主演をつとめ、国内外の映画祭で高い評価を得ている。ふたりの出会いのきっかけとなる奇妙な男・妙田役には日本映画界に欠かせない個性派俳優・大森南朋。NHKテレビドラマ「ハゲタカ」や周防正行監督『それでもボクはやってない』などで幅のある演技を披露しますます活躍中の彼が、本作のキーマンとなる男を独特の間で演じている。
監督は野口照夫。2001年に短編映画館トリウッドで上映された監督作『演じ屋』は、入場制限が出るほどの大ヒットとなり、大きな話題となった。同作はゆうばりファンタスティック映画祭ゆうばり市民賞受賞、DVDもヒットを記録。続いて監督した深夜ドラマ「駄目ナリ!」も好評を持って迎えられた。2006年にはブロードバンド配信でも話題となったドラマ「春、君に届く」を演出。本作は、すでにカルト的な人気を誇っている野口監督の初劇場長編作となる。
- 芦名星
- 安田顕
- 大森南朋
- 平泉成
- 白川和子
- 小市慢太郎
- 稲葉信隆
- 夏生ゆうな
- 脚本・監督:野口照夫
- 製作:江口誠/瀬端文雄
- 企画:野田毅/平田樹彦/成田尚哉
- 企画協力:渋谷恒一
- プロデューサー:山野裕史/東快彦/森角威之
- 撮影・照明:安田光
- 録音:深田晃
- 美術:井上心平
- 助監督:中田信一郎
- 制作担当:中村和樹
- 音楽:花澤孝一/玉城ちはる
- 製作:株式会社ネオ・インデックス
- 製作協力:アドネス株式会社
- 制作プロダクション:有限会社アルチンボルド
- 配給・宣伝:アルゴ・ピクチャーズ