造形作家の茂木圭子(田中好子)は、最愛の夫・晋(豊原功補)に先立たれ、ひとり息子の零(杉浦太陽)とふたりで暮らしている。お互いを「零くん」「圭子さん」と呼び合い、まるで恋人同士のようなふたりに、突然の悲劇が起こる。大学に入学したばかりの零が飲酒運転の車にはねられたのだ。
愛する息子のあまりに突然すぎる死…。圭子は零の死を受け入れられない日々を過ごす。零を奪った加害者の野崎(袴田吉彦)は飲酒運転の上、無免許、再犯にもかかわらず、彼に課せられたのはたった数年の懲役という判決だった。あまりにも軽い交通犯罪の刑罰。
「未来ある若者の命を奪っておいて、数年で社会復帰できるなんて…なぜ?」
圭子は刑法の厳罰化に向けて立ち上がる。自分と同じ悲しみを背負う人をひとりでも増やさないために、零の命を繋げていくために――。報道記者の上杉(田口トモロヲ)はそんな圭子の姿を追い続ける。そして、零の分まで生きると誓った圭子は、世の中にひとつひとつ奇跡を起こしていく。
0(ゼロ)からの風
監督:塩屋俊
出演:田中好子 杉浦太陽 豊原功補 袴田吉彦 田口トモロヲ ほか
5月12日(土)より早稲田松竹にて独占公開 今夏、なんばパークスシネマにて上映
2007年/日本/35mm/ドルビー/111分
7年前、ひとりの女性が交通事故によって大学へ入学したばかりの息子を失いました。その女性・鈴木共子さんは、最愛のひとり息子を失った喪失感や絶望、怒りが交錯する中、刑の軽さに疑問を感じ、同じ想いを抱える仲間たちと悪質な危険運転の厳罰化を訴える署名活動を開始しました。そしてついには一般市民によるはじめての法改正となる「危険運転致死傷罪」の新設を成し遂げました。さらに鈴木さんは「息子の人生を代わりに生きるのだ」と運動とともに受験勉強を続け、早稲田大学への入学を果たしたのです。
鈴木さんの大学入学をニュース映像で知った監督の塩屋俊は、衝動に突き動かされるように、鈴木さんの数年間にわたる闘いを映画化しようと決意しました。
鈴木さんが仲間の被害者家族と成し得た署名活動、法改正の実現、早稲田大学への入学、鈴木さんの企画により開催された「生命(いのち)のメッセージ展」などのエピソードを盛り込みながらも当映画はフィクションとして描かれています。
鈴木さんをモデルとした主人公・茂木圭子を演じるのは田中好子。事故で命を奪われる息子・零には杉浦太陽。圭子の心の支えとなる亡き夫には豊原功補。事故の加害者には袴田吉彦。報道する立場として圭子を見守り続ける記者には田口トモロヲ。実力派俳優陣がこの映画のために集まりました。音楽は寺田志保。主題曲「0(ゼロ)からの風」は劇中でも重要な役割を果たし、映画を観る者の心に一層強く焼き付けます。
この作品は、企画・趣旨に賛同した200を越える法人・個人の寄付・協賛により制作されています。鈴木さんたちの「想い」が法律をも変えたように、多くの人々の「想い」によって実現した映画。それが『0(ゼロ)からの風』なのです。
- 田中好子
- 杉浦太陽
- 豊原功補
- 袴田吉彦
- 田口トモロヲ
- 佐藤仁美
- 菅原大吉
- 中島ひろ子
- 金ヶ江悦子
- 多崎オリエ
- 佐渡山順久
- 企画・監督:塩屋俊
- 脚本:江良至
- 音楽:寺田志保 主題曲「ゼロからの風」
- 撮影監督:岡田賢三(J.S.C)
- 照明:鈴木賢一
- 録音・整音:林基継
- 編集:坂東直哉
- プロデューサー:土屋哲男
- Coプロデューサー:矢幡とし江/曽我満寿美
- ラインプロデューサー:赤井勝久
- 製作・配給:ウィル・ドゥ
- 宣伝:ネイキッド