田中好子さんが交通事故で息子を失った母を演じる映画『０（ゼロ）からの風』の完成披露試写会が３月22日に早稲田大学井深大記念ホールで開催されました。
『０（ゼロ）からの風』は、ひとり息子の零さんを交通事故で失ったことをきっかけに刑法改正の運動をおこない、さらに零さんの遺志を継いで早稲田大学への入学を果たした鈴木共子さんをモデルにした映画。
鈴木さんをモデルにした主人公・茂木圭子を演じた田中好子さんは、役に入り込むあまり、撮影中には事故加害者役の袴田吉彦さんと会話ができないほどだったと撮影を振り返り、「鈴木共子さんの心の中にあるものを、私がこの体と声でみなさんに訴えなければいけないという気持ちだけで必死に演じてきました。ひとりでも多くの方にこの作品を観ていただきたいという気持ちでいっぱいです」と力を込めてあいさつしました。
『０（ゼロ）からの風』完成披露試写会
左から、塩屋俊監督、鈴木共子さん、田中好子さん、杉浦太陽さん、田口トモロヲさん
「自分なりの未来図というか“こうあって欲しい”というぼくの主張を映画の中に入れています。それがみなさんに伝わって欲しいなと思います」と語った塩屋俊監督
主人公のモデルとなった鈴木共子さんは「いろいろなテーマがあるので、観た方それぞれが触れられて、それぞれの人生を豊かにして欲しいと思っています」とあいさつ
「この作品に出会えて良かった」という田中好子さんは「ワンシーン、ワンカット見逃さずにしっかり観ていただきたいと思います」と力強くメッセージを語りました
「このお話をいただいて、光栄に思いつつすごくプレッシャーで、母の力に助けられた部分があります」と、事故に遭う息子・零を演じた杉浦太陽さん
圭子を見守る報道記者を演じた田口トモロヲさんは「社会的に意義と意味のある作品に参加できるというのは俳優として幸福なこと」とコメント
本作は、鈴木さんの大学入学を伝えるニュースを見た塩屋俊監督が映画化を決意し、４年の歳月をかけ、企画に賛同した個人・法人からの協賛金により製作された映画。塩屋監督は「ほんとにみなさんと一緒になって作ってきた映画だと思っています」と感謝を述べるともに「みなさんに観ていただくことでぼくの一番言いたいことを伝えられると思っていますので、同時に今日がぼくにとって再スタートだと思っています」と熱く意気込みを語りました。
『０（ゼロ）からの風』は、東京では５月12日(土)より早稲田松竹にて、大阪では今夏になんばパークスシネマにて公開されます（製作・配給：(株)ウィル・ドゥ）。そのほか、全国各地のホールでの自主上映企画も募集されています。