中学校の美術室で、スケッチをする中学1年のユイ(寉岡萌希)。モデルとなっているのは、姉で3年生のアイ(寉岡瑞希)だ。
16歳のときにユイを産んだ母親(菜葉菜)は、夜の仕事をしており、家にいることはほとんどなかった。独りで過ごしてたユイの毎日に変化が訪れたのは、6歳のとき。母親が再婚し、新しい父親(榊英雄)と、8歳のアイがやって来た。父親はろくに仕事もせず、娘たちに暴力をふるう。母親は、子供たちにほとんど関心を向けようとしない。そんな両親の元で育ったユイとアイは、血の繋がりがないにもかかわらず、誰よりも強い絆で結ばれていた。
ある夜、夫婦の口論の末、母親が離婚を切り出す。その様子を見ていたアイは、ユイを連れてそっと家を抜け出した。両親が離婚すればユイとアイは別れなくてはならない。ふたりは、育った町を出て、東京へと向かった。電話ボックスで寒さをしのぎ、残飯を拾い、公園の水道で髪を洗う。辛いはずの路上生活だったが、それはふたりにとって生まれて初めての自由な生活だった。
ある日、アイは買春目的で声をかけてきた中年男(飯島大介)の持っていた鞄を盗む。その鞄には、暴力団の重要な帳簿が入っていた。暴力団の若き組長・北村(忍成修吾)は、鞄を持ち去ったふたりを探すよう命令し、ヤクザたちがふたりを探しはじめた。
追われるふたりを助けたのは、中年チンピラの谷田(菅田俊)だった。谷田はふたりを見つけたことを仲間には知らせず、ふたりを自分の部屋へとかくまう。やがて姉妹と谷田の間には、まるで家族のような絆が生まれていくのだが……。
地球でたったふたり
監督:内田英治
出演:寉岡萌希 寉岡瑞希 忍成修吾 菅田俊 ほか
2008年9月20日(土)新宿K's cinema、横浜シネマ・ジャック&ベティにてロードショー
2007年/35mm/カラー/ヴィスタ/ステレオ/118分
親からの愛情を与えられずに育った姉妹。家を出て東京の路上で暮らすふたりは、あるきっかけからヤクザに追われることになる。東京の街を逃げ回るふたりは、元ヤクザの中年男と出会う……。
貧しさに苦しむ子供たち。育児放棄や虐待に晒される子供たち。恵まれない子供たちが大勢いる現在の日本。『地球でたったふたり』は、ハードなストーリーの中に、現代社会に対する社会的な視点を持った異色作だ。
世間から虐げられつつも、お互いを信じ、ささやかな幸せを求めて懸命に生きる主人公の姉妹・ユイとアイ役には、2000人を越える中からオーディションで選ばれた寉岡萌希と寉岡瑞希の姉妹が抜擢された。それぞれ映画やドラマなどに出演し、高い評価を得ているふたりが、まだ10代とは思えないような存在感を発揮し、観る者を圧倒する。
そして。姉妹を追いつめるヤクザの組長・北村には、若手実力派として定評のある忍成修吾。端正なマスクには似合わないようなヤクザの組長という役で、これまでのイメージを覆す新境地を見せる。
さらに、姉妹をかくまう中年男・谷田には、日本を代表するバイプレイヤーであり、近年はハリウッド作出演が相次ぎ国際的に活躍の場を広げる菅田俊。さすがの存在感で、作品に重厚さを与えている。
そのほか、菜葉菜、榊英雄、弓削智久、河合龍之介、飯島大介、関根信一など、若手からベテランまでバラエティ豊かなキャストが集結。また、日本映画界が誇る名優・菅原文太が出演しているのも注目だ。
監督は『ガチャポン』『TOPLESS』の内田英治。ハードさと繊細さをあわせ持った演出で、ふたりの少女のひたむきな生命力をスクリーンに描き出した。
- 寉岡萌希
- 寉岡瑞希
- 忍成修吾
- 菜葉菜
- 榊英雄
- 弓削智久
- 落合弘治
- 関根信一
- 河合龍之介
- 飯島大介
- 菅田俊
- 菅原文太
- 監督・脚本:内田英治
- プロデューサー:浅野博貴
- 撮影監督:安田光
- 録音:小林徹哉
- スタイリスト:広瀬水音/村上利香
- ヘアメイク:伊東宏泰/秋山直美
- 編集:土井裕生
- 助監督:高明
- ガンエフェクト:浅生マサヒロ/木村タケシ
- 特殊効果:島内敦史
- 音楽:三橋隆幸/伊勢佳史
- 主題歌:ahhco「I'll Be There」
- 制作:ティー・アーティスト/スケアクロウ
- 製作:マクロファージ コミュニケーション株式会社