
異なった環境で育った双子の姉妹。二十歳になったふたりは、八丈島で初めてふたり一緒のときを過ごす――。
八丈島を舞台に「自分で一歩を踏み出せば、そこから世界は変わりはじめる」というまっすぐなメッセージを伝える青春映画。それが『今日という日が最後なら、』だ。
監督は、撮影時にはまだ22歳の新鋭・柳明菜。2001年にテレビ番組「ASAYAN」女流カメラマンオーディションでグランプリを受賞し、写真家として活動を開始。その後、女優、脚本家、監督と活躍の場を広げてきた彼女が、八丈島の文化と出会ったことがきっかけとなって、この映画は生まれた。
ありのままの八丈島と、さまざまな文化の出会いがもたらす感動。それをフィルムに収めようと、監督を中心とする若いスタッフたちが企画を立ち上げ、ベテランスタッフが彼らサポート。異なる世代が融合した映画作りがスタート。さらに、実際の島民も一丸となり、劇中でおこなわれる“八条祭”は、実際に島民たちと一丸となって作り上げたライブパフォーマンスの興奮をそのまま作品に収めた。
キャストは、主人公の双子の姉妹に『ブラブラバンバン』『歌謡曲だよ!人生は 乙女のワルツ』などの期待の若手女優・森口彩乃と、監督の実妹であり、本作が映画初出演となる柳裕美。ふたりが、育った環境も性格も異なる姉妹を、瑞々しく演じあげた。そして共演には『69〜sixty nine』『colors』などの本多章一、『式日』などの藤谷文子ら、個性派俳優陣が顔を揃えた。
2007年海洋映画祭で上映され話題となった本作は、アメリカをはじめ海外の映画祭にも出品。幻想的なヴィジュアルセンスは、新たな優れた才能の登場を予感させている。

八丈島で生まれた双子の姉妹、舞子と聖子。ふたりが生まれた直後、母親の裕子は身体の弱い舞子を残し、聖子を連れて島を出て行った。
それから20年、天真爛漫な明るい女性に育った舞子(柳裕美)は、ある日「今日という日が最後なら、何をしたいか考えました」という置き手紙を残して、島を出て行く。舞子が向かったのは 20年間会ったことのない聖子の暮らす東京だった。
東京で暮らす聖子(森口彩乃)は、一見恵まれた生活を送っているように見えたが、再婚した母親(岡田真由子)や義父に自分の進路まで決められてしまい、息苦しさを感じていた。大好きな絵を描くという夢もあきらめ、鬱屈した想いを抱える聖子の前に、舞子が現われる。再会を喜ぶ聖子と舞子は、ふたりの誕生日を祝い、ふたりだけのパーティーを開く。そして聖子は、舞子にうながされ、家を出て一緒に八丈島へと向かう。
初めて島を訪れた聖子は、舞子を育てたおばば(清水増子)や、舞子と仲のいいヒロ(本多章一)、織物工場のかおる(藤谷文子)ら、島の人々にあたたかく迎えられる。
しかし、島では思わぬ出来事が待っていた。舞子が寂れつつある島を盛り上げようと企画した“八丈祭”が、実行に携わる人々の意見の食い違いから頓挫しそうになったのだ。舞子は、自分ひとりの力でも祭を開催しようとするのだが……。