明治初期、佐助(斎藤工)は奉公人として、琴の師匠・春琴(長澤奈央)に仕えていた。
春琴は子供のときに眼病を患い視力を失った。音曲を学んだ春琴は、一流の腕前で師匠と呼ばれる存在となり、またその美貌で知られていたが、厳しい稽古や我侭な気性ゆえ、なかなか弟子はいつかない。
捨て子だった佐助は、幼いころに春琴の姿を目にして以来、春琴を自分の“観音様”としてあがめるようになり、世話係として身の回りの一切を引き受けていた。気性が荒く、ときに気まぐれに怒りをぶつける春琴にも不平ひとつ言わず、ひたすら師匠に尽くす佐助の姿は、周囲からは過剰なまでの献身さと見えるほどであった。
ある日、春琴の屋敷を、名家の子息・利太郎(松田悟志)が訪れる。春琴の美しさのみに惹かれて弟子となった利太郎は、佐助の不在をついて茶会の席で春琴に手を出そうとしたことがあった。酔った上の出来事だったと謝り、もう1度自分を弟子として扱ってくれるよう頼む利太郎を、春琴はすげなく袖にして追い返す。
その数日後、春琴の屋敷に夜中、何者かが忍び込む……。
春琴抄
監督:金田敬
出演:斎藤工 長澤奈央 松田悟志 沢木ルカほか
2008年9月27日(土)よりシアターイメージフォーラムにてモーニング&レイトショー 全国順次公開
2008年/カラー/ビスタサイズ/85分
耽美主義で知られる文豪・谷崎潤一郎の代表作である「春琴抄」。盲目の音曲の師匠・春琴と、彼女に仕える佐助の物語は、これまで繰り返し映像化され、田中絹代と高田浩吉、山口百恵と三浦友和など、各時代を代表する俳優たちが主人公を演じてきた。そして2008年、新世代のキャストを迎え、実に32年ぶりに『春琴抄』が映画化を果たす。
今回、師匠の春琴を「観音様」とあがめ、ひたすらに師匠に尽くす佐助を演じるのは、斎藤工。『スキトモ』『いつかの君へ』など映画主演が相次ぎ、2008年にはNHK「オトコマエ!」で時代劇ドラマ初主演を果たすなど、幅広いフィールドで大活躍。まさにいま、ノリにノッている若手男優だ。原作に惚れこんだ斎藤は、本格的に三味線と浪花弁の特訓を積んで佐助役に臨んだ。一心に師匠に尽くすその姿は男の色気を感じさせ、女性だけでなく、男性の観客をも魅了するに違いない。
師匠の春琴を演じるのは『どこに行くの?』『Girl's BOX ラバーズハイ』など映画出演が続き、女優としての評価の高まる長澤奈央。長澤もやはり原作に心酔し、盲目という難役を体当たりで演じてみせた。
さらに、春琴によこしまな想いを寄せる利太郎に「仮面ライダー龍騎」「ケータイ捜査官7」の松田悟志。軽みのある演技で作品にアクセントをつけている。
また、物語の語り部となる幼い使用人を演じる期待の新鋭・沢木ルカにも注目だ。
監督は『青いうた のど自慢青春編』『愛の言霊』の金田敬。卓越した演出力と人への優しい眼差しが、究極の愛の形を見事に表現している。
- 斎藤工
- 長澤奈央
- 松田悟志
- 沢木ルカ
- 川島朋子
- 真日龍子
- 嶋尾康史
- 監督:金田敬
- 原作:谷崎潤一郎
- 製作:小林洋一/安西崇/多井久晃/佐伯寛之
- 製作・プロデューサー:三木和史
- プロデューサー:片山武志/村田亮
- アシスタントプロデューサー:三上理永
- 脚本:小林弘利
- 撮影:今井裕二
- 美術:嵩村裕司
- 録音:土屋和之
- 衣裳:村島恵子
- ヘアメイク:新井みどり
- 編集:小林由加子
- 音楽:遠藤浩二
- 助監督:小野寺昭洋
- 製作主任:天野佑亮
- 題字:赤岩保元
- 音楽:遠藤浩二
- 主題歌:SONIC MEGAPHON「奏」
- 製作:エースデュースエンタテインメント/日本出版販売/ワコー/ビデオプランニング/アールグレイフィルム
- 制作協力:アールグレイフィルム
- 制作・配給:ビデオプランニング