うん、何?
監督:錦織良成
出演:橋爪遼 柳沢なな 宮崎美子 ほか
2008年11月29日(土)よりシアターイメージフォーラムにてロードショー
35mm/ビスタサイズ/ドルビーデジタル5.1ch/123分

小さな小学校と沖合いを行くフェリーとの交流を描いた『白い船』、ハイチで奮闘する大使館員の女性を主人公にした『ミラクルバナナ』など、人々の日常の中から生まれてくるドラマを映画にしてきた錦織良成監督が、『白い船』に続き、自らの故郷である島根を舞台にした映画『うん、何?』(うん、なん?)を完成させた。
地元の人々に映画作りを体験してもらおうとスタートした“しまね映画塾”がきっかけとなって生まれたこの作品は、島根をはじめ、広島、岐阜で公開され、これまでに2万人以上を動員。好評にこたえ、待望の東京公開が実現した。
島根・雲南で生まれ育った高校生たちを演じるのは、オーディションで3000人を越える中から選ばれたフレッシュな俳優たち。主人公の鉄郎には『クローズ ZERO』、ドラマ「シバトラ」などの橋爪遼、幼馴染みの多賀子には「仮面ライダーキバ」で人気急上昇中の柳沢なな。映画初主演のふたりが瑞々しい演技を見せる。同級生役の松澤傑や平田薫、地元・島根から選ばれた岡太一と加藤侑紀の溌剌とした演技も見逃せない。
そして、鉄郎の母親を演じる宮崎美子、父親役の菅田俊、担任教師役の甲本雅裕、多賀子の兄・誠役の虎牙光揮、錦織作品ではお馴染みの長谷川初範、中村麻美、黄川田将也らが、若いキャストをしっかりと支えている。
音楽は、島根県松江で生まれ、現在も松江で暮らしつつ音楽活動を続ける浜田真理子。テーマソング「アンダンテ」の優しい歌詞とメロディが物語を飾る。
島根の美しい風景を映し出すため、近年劇場映画でも多く使われるHDではなく、35mmフィルムでの撮影を敢行。音響も5.1chのデジタルサラウンドにより、木々のざわめきや川のせせらぎまでをとらえた。
神話の息づく地を舞台にした『うん、何?』は、少年、少女たちが経験する、かけがえのない時間をスクリーンに映し出す。

島根県、雲南市。川沿いの桜並木の下を、自転車に乗った鉄郎(橋爪遼)が走り抜けていく。病気で入院している母(宮崎美子)に、父(菅田俊)の工場で作られる新鮮な牛乳を届けるのが、鉄郎の毎朝の日課になっていた。
新学期が始まり、高校3年生になった鉄郎だが、まだ卒業後の進路を決めあぐねている。そして、はっきりと決められない問題がもうひとつ。幼馴染みで同級生の多賀子(柳沢なな)との関係だ。友人の裕二(松澤傑)や国彦(岡太一)、多賀子と仲のいい久美子(平田薫)と圭子(加藤侑紀)たちからしょっちゅうからかわれ、お互いに意識しているのもたしかなのだが、どうしても好きだと伝えることができない。
担任の尾崎先生(甲本雅裕)は、夏休み前のある日、クラスのみんなを出雲神話の伝承が残る場所を巡る特別授業に連れて行く。卒業すればこの土地を離れていく生徒もいる。身近だからこそ、改めて学ぶ機会の少ない“ふるさと”。そんなふるさとを知らないまま離れて欲しくない。尾崎先生はそう熱く語るのだった。
やがて迎えた夏休み。鉄郎と多賀子は、ちょっとしたきっかけから疎遠になりかけていた。そんな中、多賀子の水泳部の先輩で、オリンピック強化選手にも選ばれている信吾(黄川田将也)が帰ってきて、多賀子となにやらいい雰囲気に。どうする? 鉄郎!
多賀子の義姉・時江(中村麻美)の出産、眼をつむったまま渡り切れば願いが叶うという願い橋。鉄郎と多賀子たちは、夏休みの間に、さまざまな経験を重ねていく。そして……。