
2012年。世界に終わりが近づいていた。空で妖しい光を放つ彗星が地球に激突するまで、あと5時間。静まり返る街の中、1軒だけ営業を続けるレコード店の店長(大森南朋)は「地球の滅亡する日も好きなレコードを聴いていたい」と、1970年代のパンクバンドがレコーディングした「FISH STORY」に耳を傾ける――。
1982年。気の弱い大学生・雅史(濱田岳)は、「FISH STORY」という曲の間奏部分に女性の悲鳴が聞こえるという噂を耳にする。そして合コンで出会った晴子(高橋真唯)は「今日、私と出会う男は、いつか世界を救う男」と口にする――。
1999年。世界の終わりを予言した谷口(石丸謙二郎)と、彼を信じて集まった人々。ところが世界は終わるどころか燦燦と太陽が降り注ぐ。怒る人々に谷口は言う。「2012年には、世界の終わりはきっと来ます、必ず来ます!」――。
2009年。女子高生の麻美(多部未華子)は、修学旅行の途中で眠り込み、ひとりフェリーに残されてしまった。泣いていた麻美を「正義の味方になりたかった」というコックの青年(森山未來)が慰める。その直後、銃を持った男たちがフェリーに現われ、ふたりはシージャック事件に巻き込まれる――。
1975年。パンクバンド“逆鱗”の4人、繁樹(伊藤淳史)、五郎(高良健吾)、亮二(大川内利充)、鉄矢(渋川清彦)はレコーディングの最中。このレコードを最後にクビになることが決まっている4人は、最後に自分たちのやりたい演奏をレコーディングする。曲名は「FISH STORY」――。
ふたたび、2012年。彗星の衝突はすぐそこに迫っていた――。