北海道の小さな港町・江差の駅に泊哲郎(石黒賢)は降り立った。祖父・義春(大滝秀治)の四十九日の法要に出席するため、父の繁三(津川雅彦)と母の悦子(加賀まりこ)が暮らす故郷の町に戻ってきたのだった。読経を聞く哲郎の胸に、国後で過ごした日々を語る祖父の記憶が蘇る。
法要のあと、実家の近くで偶然に高校時代の同級生・杉山由紀(清水美沙)と再会した哲郎は、20年前の思い出話に花を咲かせる。いつしか、たくさんの夢を持っていた高校時代と平凡な日々を送る現在とのギャップの寂しさを語りだした由紀に、哲郎は自分がまだチャレンジ精神を失っていないことを示すため、突然、ヨットでの無寄港北海道1周を宣言する。
高校時代ヨット部だった哲郎は、部の仲間でいまは地元商店街の副理事長の勇次(富永伸一郎)の協力を得て、古いヨット“カモメ二世”の修理を始める。東京でIT企業を経営する哲郎は、パートナーの前島(山口馬木也)との対立から、これまでの生き方に疑問を抱きはじめていた。そんな想いを抱えて帰郷してきた哲郎は、ひたすら冒険の準備に打ち込んでいくのだった。
由紀や勇次、協力してくれた人々に見送られながら、いよいよ哲郎の乗ったカモメ二世は出航する。船が出てからしばらくしたころ、東京から哲郎の部下の川原麻衣子(上原多香子)が哲郎を訪ねてやってきた。漁協で出会った由紀と麻衣子は、お互いの哲郎との関係を訝りつつも、哲郎のヨットを追いかけるように奇妙な二人旅を始めることになった。
一方、ヨットの哲郎は時化や濃霧に悩まされつつ旅を続けていた。実はこの旅には、もうひとつの目的があったのだ……。
ジャイブ 海風に吹かれて
監督:サトウトシキ
出演:石黒賢 清水美沙 上原多香子 ほか
2009年6月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2008年/カラー/35mm/アメリカンヴィスタ/109分
故郷の江差に戻ってきた男は、ヨットでの無寄港北海道一周に挑戦し海へ出る。女は、広大な大地から男を見守る……。夏の北海道を舞台にした『ジャイブ 海風に吹かれて』は、ヨットの冒険を描く海洋アドベンチャーであり、それぞれの人生を見つめなおすひと組の男女を主人公にした、大人のための青春映画だ。
主人公の哲郎を演じるのは数多くの映画やドラマで活躍する石黒賢。久々の主演となる本作では、いつまでも冒険心を失わない男を魅力的に演じきった。そして哲郎の高校の同級生・由紀には、堅実な演技力と透明感が人気の清水美沙。年齢を重ねたゆえの悩みや戸惑いを抱えた女性をリアリティを持って演じている。
そのほか、哲郎の両親にベテランの津川雅彦と加賀まりこ、哲郎の部下・麻衣子にSPEED再結成も話題を集めた上原多香子と豪華キャストが共演。さらに大滝秀治、六平直政、北見敏之、山口馬木也、豊永伸一郎ら実力派が脇を固める。
監督は“ピンク四天王”のひとりとして数々の話題作を世に送り出し、『夢なら醒めて…』『ちゃんこ』など、一般映画でも優れた手腕を発揮するサトウトシキ。撮影監督にベテラン・加藤雄大を迎え、北海道オールロケで大規模な空撮も敢行し、雄大な景色とその中で生きる人間の魅力を焼き付けていった。
また、エンディングテーマには北海道が生んだトップシンガーである松山千春が「ため息をつかせてよ」を提供している。
海と、恋と、夢と、北海道の抱える現実と。『ジャイブ 海風に吹かれて』は、これまでにない感動を観客に届けてくれる。
- 石黒賢
- 清水美沙
- 上原多香子
- 豊永伸一郎
- 六平直政
- 北見敏之
- 石田太郎
- 十勝花子
- 諏訪太朗
- 川瀬陽太
- 大滝秀治
- 加賀まりこ
- 津川雅彦
- 監督:サトウトシキ
- プロデューサー:佐藤ヒデアキ
- 原作:秀丸
- 脚本:渡辺千明/松山賢二郎
- Co-プロデューサー:浅見一史
- 企画協力:荒木真一/佐々木昭雄/市野逸朗
- 撮影:加藤雄大(J.S.C.)
- 照明:山川英明
- 録音:郡弘道
- 編集:川島章正
- 助監督:落合俊一
- 装飾:肥沼和男
- VE:高井祐二
- スクリプター:天池芳美
- 音楽協力:小川弘
- 音楽制作:井口拓磨/伊藤ひさ子
- 挿入歌:kazumi「江差追分」
- エンディング曲:松山千春「ため息をつかせてよ」(作詞・作曲:松山千春)
- 製作:ドリームワンフィルム/パワーズ
- 配給:ダゲレオ出版