
初夏。薮崎千華(新妻聖子)は、人間関係の悩みなどから会社にいくのが怖くなり、会社に向かう途中、あてもなく電車に飛び乗った。眠り込んだ千華が目を覚ますと、そこは千葉県横芝光町。窓の外には水田の美しい景色が広がっていた。
横芝光町で農業を営む広瀬晋平(筧利夫)は、水田の中で手紙の入ったペットボトルを見つけた。それは、水田を訪れた千華が、誰かに救いを求めて書いた手紙だった。手紙を読んだ晋平は、千華への返事を書く。
千華は母親(宇津宮雅代)の希望で子供のころからピアノを習い、音楽の道を目指していたが、父親(村野武範)との意見の違いから進路に悩み、大学に馴染めず中退してしまった。その後アルバイトを始めても長続きせず、人と会うのを怖れて部屋に引きこもるようになっていた。千華が晋平の水田と出会い、SOSの手紙を書いたのはそんなときだった。
晋平からの返事を受け取った千華は晋平と文通を重ね、やがて横芝光町を訪れるようになる。かつての職場の先輩の逸子(秋本奈緒美)とともに農作業を体験し、晋平と一緒に農業に携わる青年・新(三上真史)、晋平の農業の師匠・山原(松方弘樹)、晋平の姪・奈緒(紗綾)たちとの交流を深める中で、千華は久しく忘れていた生きることの喜びを感じていた。
千華が水田と出会ってから1年経った初夏、千華は泊りがけで横芝光町を訪れて農作業に従事する。そして、東京の母と手紙を交わす中で、母親との関係にまっすぐ向きあいはじめるのだった。
そんな横芝光町での日々を送る中で、千華は晋平が逸子に寄せる想いに気づいてしまう。翌朝、千華は晋平になにも告げずに町を出た……。