ひとりの女性の再生を農業と食の問題に絡めて描いていく『アンダンテ 〜稲の旋律〜』(2010年1月23日公開)の完成披露試写会が12月11日に有楽町朝日ホールで開催されました。
旭爪(ひのつめ)あかねさんの小説「稲の旋律」を原作にした『アンダンテ 〜稲の旋律〜』は、ピアニストを目指しながら挫折し、引きこもりになった女性・千華が、自然農業に取り組む晋平との交流を重ねる中で、自分を見つめなおしていく物語。
上映前には舞台あいさつがおこなわれ、千華役の新妻聖子さん、晋平役の筧利夫さん、共演の秋本奈緒美さん、松方弘樹さん、金田敬(さとし)監督、旭爪さんらが登壇しました。
これまでミュージカルを中心に活躍し『アンダンテ 〜稲の旋律〜』が映画初出演にして初主演となる新妻さんは「舞台の現場と撮影現場の違いに最初は戸惑いましたけど、金田監督はじめみなさまがご指導くださったので、なんとかしがみついていこうという思いでおりました。カルチャーショックを感じつつも新鮮な気持ちで充実した毎日でした」と初の映画出演の感想を述べ、引きこもりという役柄について「自分の中の千華ちゃんに似た部分を引き出して、なるべく自然な感じにやりたいなという思いで演じました」と役作りを振り返りました。
そして原作者の旭爪さんは、完成した作品について「最初から涙が出てきてしまって、始めから終わりまで泣いていました。いとおしい作品だと感じています」と絶賛。その言葉に照れたのか、金田監督は「すごくハードルが上がっていると思っていますけど、それほどでもありませんからね」と一言。筧さんも「みなさん心をフラットにしてくださいね!」と続け、客席の笑いを誘いました。
『アンダンテ 〜稲の旋律〜』完成披露試写会
舞台あいさつをおこなった秋本奈緒美さん、三上真史さん、筧利夫さん、上田耕一さん、新妻聖子さん、金田敬監督(すいませんほとんど隠れてしまっています)、松方弘樹さん、佐藤晴彦横芝光町町長、原作者の旭爪あかねさん、桂荘三郎プロデューサー(左より)
「映画初挑戦ということで、共演のみなさま、スタッフのみなさまにたくさんご迷惑をお掛けしながら支えていただいて、なんとか撮影を完走することができました」と、主人公・薮崎千華役の新妻聖子さん
「衣装合わせ関係でひじょうに時間をかけまして、広瀬晋平というキャラクターに徹頭徹尾なれるようにですね、何回も衣装合わせを重ねてやらせていただきました」力強く語った広瀬晋平役の筧利夫さん
千華の先輩で農業に取り組むことになる逸子を演じた秋本奈緒美さんは「都会に住む働く女性が農業と触れあってどんなふうに成長していくのか、ぜひご覧になっていただきたいと思います」とあいさつ
「いつもマグロ漁師をやっているんですけど、今回は農業をやっております」と話し会場を沸かせた晋平の農業の師匠・山原役の松方弘樹さん。「とても温かい撮影現場で心温まる作品になっていると思います」
「ぼく自身、出身が新潟で米が大好きだったので、こういう映画に出演させていただいて、改めて農業や食について考えることができて、ほんとにいい機会だったと思っています」と小林新役の三上真史さん
「元気で明るい筧さんの息子を持ってほんとに幸せな現場でした」という晋平の父親役の上田耕一さん。「今後の農業のことを考えなければならない、そういう映画にできあがったと思っています」とあいさつ
「映画にしていただくと聞いて光栄な反面、不安もありましたが、私の想いを理解して大切に一生懸命作っていただいたことがよくわかって、みなさまに深く感謝しています」という原作者の旭爪あかねさん
「“農業というのは非効率な作業”というセリフがあるのですが、映画も非効率。“なんて非効率なことをやっているんだろう俺たちは”と思いながら、なんとか完成にたどり着いた映画です」と金田敬監督
映画の舞台でロケ地として全面協力した千葉県・横芝光町の佐藤晴彦町長も登壇し「今日は(涙を拭くための)2枚ハンカチを持ってまいりました。とても素晴しい映画にできあがっております」とあいさつ
「プロデューサーとしてラッキーだったなと思ったこともありますし、全国からのご支援をいただいた作品なんですね。この映画を支援していただいた方に改めて御礼したいと思います」と桂荘三郎プロデューサー
この日の試写会では、来場者全員にお土産として千葉産のお米2合がプレゼントされました。
佐藤町長がそのことを発表すると、筧利夫さんから「よっ! 太っ腹!」と大きな声が。新妻さん、秋本さんとともに拍手で会場を盛り上げました
農業が題材となっている作品とあって、実際に4月から9月までの長期間にわたり、稲の成長を追いながら撮影がおこなわれており、秋本さんは「何ヶ月にわたって自然に触れあうってなかなかない体験だったので、仕事で行っているのに癒されました。いい自然を眺めるというのは一番の贅沢」とコメント。三上さんは「ベランダを畑にして、春キャベツに向けてキャベツが育っています」と、出演をきっかけに食への考え方が変わったことを紹介しました。
映画の上映形態について桂プロデューサーは「期間をかけて全国のみなさんに観ていただこうと思っております」と抱負を語り、筧さんも「この映画はこれから先1年2年とかけて全国のみなさんと触れあっていくことになります。主人公の千華ちゃんと同様にですね、この映画がどういう成長を遂げていくか、私はひじょうに楽しみにしております。みなさんも温かく見守ってくださいね!」と力強くアピールしました。
『アンダンテ 〜稲の旋律〜』は、1月23日(土)よりポレポレ東中野にて公開されるほか、全国順次上映。各地での自主上映も積極的に展開されていきます。