お肉屋さんで貰った鶏ガラと、余った野菜で作るスープ。お金はほとんどかからないけど、とってもおいしいこのスープの作り方をルイ(坂井真紀)に教えてくれたのはトバちゃん(加賀まりこ)だ。生まれてすぐ母親が亡くなって父親もわからないルイのことを、母の妹のトバちゃんが親代わりとなって育ててくれた。
そのトバちゃんが、突然ずっと年下の青年・水谷さん(萩原聖人)と恋に落ちた。ルイの心配をよそにトバちゃんと水谷さんの決意は固い。水谷さんのお嫁さんになったトバちゃんは、無医村を回る医師の水谷さんと一緒に旅に出た。
トバちゃんとふたりで暮らしてきた家も、いまはルイひとりだけ。そんなルイの家の庭に、田中十二夫(とにお:藤竜也)と名乗る男が入り込んできた。猫を追いかけて入り込んで庭が気に入って、絵を描いていたという。ルイに見つかって追い出されたトニー=十二夫だが、数日後、お弁当を持って謝りにやって来た。飄々としたトニーさんはどこか憎めない。
ある日、ルイは友達の編集者・奈々子(鈴木砂羽)に誘われて、人気作家・井上(平泉成)との食事会に出席する。食事会のあと、ルイを家まで送ってくれたのは、編集部のバイトでいつも笑顔の康介(西島隆弘)。康介は、なぜかルイの家の前にいたトニーさんをルイのお父さんと勘違い。そしてトニーさんは、ルイに「今晩泊めてください」と頼み込んできた。
そして次の日、ルイが仕事から帰ると、トニーさんと康介が仲良く食事の支度中。ルイの家が気に入った康介は、食事の席で「住んでみたいな」と口にする。すると「住もうよ」と応じるトニーさん。その提案をルイも受け入れて、ルイの家でトニーさんと康介、3人での生活が始まった……。
スープ・オペラ
監督:瀧本智行
出演:坂井真紀 西島隆之 加賀まりこ 藤竜也 ほか
2010年10月2日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2010年/カラー/アメリカンビスタ/DTS-SR/119分
大学の図書館で働く女性・ルイ。ずっと一緒に暮らしてきた叔母のトバちゃんが突然お嫁に行き、ルイの前にはちょっと怪しげな絵描きのトニーさん、いつも笑顔の青年・康介くんが現われる……。阿川佐和子の同名小説を原作にした『スープ・オペラ』は、そんな少し変わった人々に囲まれたルイの送る日々をあたたかく描いた作品だ。
主人公のルイを演じるのは、映画、ドラマ、舞台で精力的に活動して女優としての存在感をさらに増している坂井真紀。『スープ・オペラ』では、マイペースながら芯のつよさを感じさせるルイを、等身大の女性としてナチュラルに演じてみせた。
一途な恋に燃えるトバちゃんをチャーミングに演じるのは加賀まり子。飄々としてちょっと情けないトニーさん役で独特の軽さを見せるのはベテランの藤竜也。康介には人気グループ・AAAのメンバーで映画初主演作『愛のむきだし』で一躍俳優としての評価を高めた西島隆弘。そのほか、田山涼成、余貴美子、平泉成、鈴木砂羽、萩原聖人、塩見三省、嶋田久作ら若手からベテランまで充実のキャストが揃い、個性的な登場人物をユーモラスに演じている。
『いつか読書する日』でヨコハマ映画祭脚本賞などを受賞した青木研次が脚本を担当。『樹の海』『犯人に告ぐ』『イキガミ』を手がけてきた瀧本智行監督がメガホンをとり、登場人物の織り成すドラマをゆったりと映し出していく。
そして『スープ・オペラ』のもうひとつの大きな魅力が、タイトルにもなっているスープをはじめとする料理の数々だ。フレンチシェフの稲元亘が実際に撮影現場で作った料理がスクリーンを彩る。また、ルイの住む家や古い遊園地など多くの候補地から選ばれたロケ地の風景が独特の空気を生み出している。
- ルイ(島田ルイ):坂井真紀
- 林康介:西島隆弘(AAA)
- トバちゃん(楢崎藤子):加賀まりこ
- トニー(田中十二夫):藤竜也
- 水谷医師:萩原聖人
- 井上豪;平泉成
- 奈々子:鈴木砂羽
- 吾妻屋主人:田山涼成
- 石橋教授:菅原大吉
- 桂木夫人:草村礼子
- 笹島の母:入江若葉
- 倉木編集長:嶋田久作
- バス発車係:品川徹
- 大谷教授:田村三郎
- 笹島:森下能幸
- クリスチーナ(井上豪の妻):コミアーナ鈴木
- 5歳のルイ:北村海歩
- ネコ:リアン
- 田中泰子(十二夫の妻):余貴美子
- 図書館長:塩見三省
- 監督:瀧本智行
- 原作:阿川佐和子「スープ・オペラ」(新潮社刊)
- 脚本:青木研次
- 企画・製作:藤原弘子/城戸俊治
- エグゼクティブ・プロデューサー:井上和子/久松猛郎
- プロデューサー:臼井正明
- 撮影:柴主高秀
- 美術:若松孝市
- 照明:田中利夫
- 装飾:山本信毅
- 衣裳:宮本まさ江
- 録音;藤丸和徳
- 整音:瀬川徹夫
- 編集:高橋信之
- スクリプター:山下千鶴
- キャスティング:空閑由美子 助監督:山本亮
- 製作担当:澤井克一
- 料理:稲元亘/稲元早苗
- 音楽:稲本響
- 制作プロダクション:シネムーブ
- 製作:スープの会(ビー・アイ・ティー/ブレノンアッシュ/衛星劇場)
- 配給:ブレノンアッシュ