ホームカミング
監督:飯島敏宏
出演:高田純次 高橋惠子 麗奈 ほか
2011年3月12日(土)より109シネマズグランベリ−モ−ルほか全国ロードショー
2010年/カラー/35mm/ビスタサイズ/DTS/105分

会社を定年退職し、初めて自分が暮らす町に目を向けた男・鴇田。いつの間にか町が活気を失っていたことに気づいた鴇田は、同世代の住民たちや若い婦警とともに、住民の手による祭りの開催を目指す……。
バラエティ番組などで軽妙な笑いを見せる高田純次が、60歳を越えて初めて映画主演をつとめたのが、シルバー世代を主人公にしたハートフル・ストーリー『ホームカミング』だ。
監督は飯島敏宏。「泣いてたまるか」「ウルトラマン」「金曜日の妻たちへ」など、50年以上にわたり演出家・プロデューサーとして幅広いジャンルを手がけてきたヒットメイカーだ。千束北男のペンネームで脚本も執筆した本作では、ニュータウンの住民高齢化などの社会問題を織り込みつつも、笑いや涙にあふれた娯楽作品に仕上げている。
持ち前の軽さとたしかな演技力で見事に鴇田をスクリーンに息づかせた高田純次の脇を固めるのは、高橋惠子、秋野大作、竜雷太、林隆三、高橋ひとみ、黒部進、森次晃嗣、桜井浩子ら、飯島監督ゆかりの名優たち。また「ウルトラマンマックス」の青山草太や、柳沢なな名義で「仮面ライダーキバ」などに出演した麗奈ら、若手キャストがフレッシュな魅力を発揮する。
スタッフにも、撮影の稲垣涌三、美術の池谷仙克、音楽の冬木透ら、数々の名作を生んできた飯島組のベテランメンバーが集結。監督補の小中和哉をはじめとする歳の離れたスタッフたちと世代を越えたコラボレーションを見せている。
定年を迎えたが枯れはしない。歳をとってもまだまだ頑張る主人公たちの姿は、同世代の観客だけでなく、若い世代にも元気をくれるだろう。今年79歳の飯島監督が贈る、現代への応援歌といえる作品だ。

商社勤務の鴇田和昭(高田純次)は、37年勤め上げついに定年退職を迎えた。退職の日“虹の丘タウン”にある自宅では、妻の摩知(高橋惠子)が豪華な料理を作り、いまは会社の寮暮らしの息子・和弘(青山草太)も恋人を連れて退職を祝いにやってきた。だが、和弘は、結婚したら夫婦でマンションに住む予定で家に戻るつもりはないという。家族みんなで大きなテーブルを囲むのが夢で、わざわざ二世帯住宅に改築までしていた鴇田は、すっかり気落ちしてしまう。
退職した次の朝、ジョギングに出かけた鴇田は、筋向いの家の佐藤(秋野大作)、自治会長の大島(竜雷太)、絵を描くのが趣味で通称“画伯”の石田(黒部進)たちリタイア組の先輩と知り合う。これまで仕事一筋で町のことに無関心だった鴇田は、佐藤たちと会話を交わす中で、虹の丘タウンが住民の老齢化が進んだ老人の町になっていることを知る。
ちょうどそのころ、これまで無人だった交番に駐在がやってくることになった。やってきたのは元刑事の交番相談員・花森(森次晃嗣)と、その娘で婦人警官の美咲(麗奈)。さっそく家々を訪問したりと町のために働く美咲を、鴇田たちは「警察花子」とあだ名をつけて大歓迎。美咲は自治会にも積極的に参加し、中止になりそうだった地区のお祭りを自分たちの手で作ろうと提案する。妻に代わって自治会に出席していた鴇田もつい美咲に賛成して、お祭りの実行委員をやることに。
そんな中、石田が町の一角で起きている異変に気づいた。その上、お祭りの開催に絡んでヤクザの森本(林隆三)が現われたりと、町にトラブルが持ちあがる……。
もう一度町に輝きを取り戻すため、鴇田たちは動き出す。やがて虹の丘タウンに起こるのは?