嘉瀬志摩(桐谷美玲)は高校2年生。以前から好意を抱いていた同級生の鏑木から告白されて付きあうことになったが、志摩には、鏑木や友達には内緒にしていることがあった。それは、志摩が短歌を詠む若き歌人であること。
夏のある日、志摩は鏑木や友達たちと海に遊びに行った。周りが気を利かせて志摩と鏑木はふたりきりの夜を迎えるが、志摩は鏑木を拒んでしまう。それ以来、鏑木との関係はぎこちなくなり、そしてついに、志摩は鏑木から別れ話を切り出されてしまう。鏑木は、志摩が短歌で賞を獲っていることも知っていた。「なんで隠してたの?」と訊かれてなにも言い返せない志摩。
志摩は、小さなころから姉のように慕ってきた叔母(月船さらら)に悩む胸の内を明かすが、気持ちは晴れない。短歌も思うように詠めず、著名な歌人で短歌の師でもある母・みお(高島礼子)から厳しい評価がくだされてしまう。
そんな中、志摩は幼なじみで、いまは京都の大学に通っている航大(三浦貴大)と再会する。航大は大学が夏休みのため、実家に戻ってきていたのだ。気のおけない幼なじみとの会話は、少しだけ志摩を楽にしてくれる。
そして、気持ちを迷わす出来事にぶつかる志摩は、富山の祖母を訪ねる旅に出た航大を追いかけると、旅行ガイドで見かけた群馬県の滝へ連れていってほしいと頼みこむ。放り出すこともできず、渋々ながら志摩につきあう航大。
志摩は、たどり着いた滝で自分の抱えるモヤモヤを吹っ切ろうとするが、志摩のちょっとした失敗のために志摩と航大は帰りのバスに乗り遅れ、ふたりは一晩ひとつの部屋で泊まることになる。翌朝、航大は志摩に家に帰るように言うが、志摩はその言葉に従わない。志摩と航大は、一緒に航大の祖母が住む富山を目指す……。
乱反射
監督:谷口正晃
出演:桐谷美玲 三浦貴大 高島礼子 ほか
2011年8月6日(土)よりシネマート新宿ほかにて『スノーフレーク』と2本立てロードショー
2011年/カラー/ビスタ/ステレオ/71分
映画『音楽人』『ランウェイ☆ビート』、テレビドラマ「女帝 薫子」などで注目の女優・桐谷美玲。雑誌「セブンティーン」モデルやCM出演などマルチに活躍する彼女の主演作『乱反射』と『スノーフレーク』が2本同時公開される。
『乱反射』は、高校3年で角川短歌賞を受賞した若き女流歌人・小島なおの歌集「乱反射」を原作にした青春ラブストーリーだ。桐谷が演じるのは高校生にして女流歌人の主人公・志摩。付きあっていた同級生にふられたり、久々に再会した幼なじみと一緒の時間を過ごす中で「誰かを想うこと」の意味に気づきはじめる志摩の経験を描いていく。
志摩の幼なじみ・航大を演じるのは三浦貴大。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』で映画デビューして以降『学校をつくろう』『BADBOYS』など映画出演の続く期待の若手男優が、誠実な演技で志摩との距離感を巧みに表現している。そして、志摩のよき相談相手である叔母役に月船さらら、短歌の師でもある志摩の母役に高島礼子と、実力派女優が脇を固める。
監督は、デビュー作となる仲里依紗主演『時をかける少女』で注目を集めた谷口正晃。『乱反射』でも、青春の瑞々しさを映像へと焼きつけた。また、脚本も『時をかける少女』の菅野友恵が手がけている。
映画の企画プロデューサーもつとめる村山達哉が石塚徹とともに音楽を担当。村山作曲による主題歌「乱反射」は桐谷美玲自身が歌い、物語を優しく包み込む。
ロケによる美しい風景や、制服や水着、浴衣と、さまざま桐谷の姿が見られるのもこの映画の魅力のひとつ。夏の日差しのようにまぶしさがきらめく青春映画が完成した。
- 桐谷美玲
- 三浦貴大
- 月船さらら
- 高島礼子
- 監督:谷口正晃
- 原作:小島なお「乱反射」(角川書店刊)
- 脚本:菅野友恵
- エグゼクティブプロデューサー:一志順夫
- 企画プロデューサー:村山達哉
- プロデューサー:松岡周作
- 撮影:上野彰吾
- 照明:佐々木貴史
- 録音:岩丸恒
- 美術:寺尾淳
- 編集:伊藤潤一
- 音楽:村山達哉TOKYO GRAND ORCHESTRA/石塚徹
- 主題歌:桐谷美玲「乱反射」(作詞:松尾潔/作曲:村山達哉)
- 製作プロダクション:ボイス&ハート
- 製作:「乱反射/スノーフレーク」製作委員会
- 配給:スタイルジャム