ある夏の日。家の庭に水を撒こうとしていたアイ(尾野真千子)。デスクに向かい仕事をしていた会社員のユウ(郭智博)。学校の体育館で体育の授業を受けていた高校生のケイ(菊里ひかり)。まったく別の場所で、それぞれの生活を送る3人は、同じ時間に同じ体験をする。頭上のなにかを気にするようにして、気を失い倒れてしまったのだ。「空を飛んでいて、私の中に落ちてきた」。保健室で目を覚ましたケイは、そんなことを教師に話した。
怪我もなく、何事もなかったかのように普段の生活へと戻っていく3人。だが、その日の体験は、3人の中に変化をもたらしていた。
ピアニストであるアイは、演奏会を間近に控えていたが、スランプに陥ってしまう。アイの母親(萬田久子)は、アイの様子がおかしいことを気にかけるが、父親(國村隼)は「いつものこと」だと気に留めない。
ユウの恋人(遠野あすか)は、不安定になっているようなユウを心配しつつ、ユウの別れた妻子との関係にも気をめぐらしていく。
ケイは、母親(麻生裕未)から、恋人(風間トオル)を紹介される。母から恋人との結婚を考えていることを聞かされ戸惑いながらも、どこか冷めているように受け止めるケイ。
アイ、ユウ、ケイ、お互いに気がつくことはないまま、3人は同じ感覚を共有していく。やがて、その感覚が重なっていったとき、3人の身に起こるのは……。
心中天使
監督:一尾直樹
出演:尾野真千子 郭智博 菊里ひかり ほか
2011年2月5日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショー
2010年/カラー/35mm/アメリカンビスタ/DTSステレオ/92分
ピアニストの女性・アイ。会社勤めの男性・ユウ。女子高生のケイ。それぞれ関わりを持たずに暮らしているはずの3人は、ある日、同じ体験をする。その出来事は、3人の生活に変化をもたらしていく……。
2000年に制作され、国内外で高い評価を受けた『溺れる人』の一尾直樹監督の10年ぶりの監督作となるのが、人と人との“つながり”を不思議なタッチで描いた『心中天使』である。
この作品で主演をつとめるのは、たしかな実力を持った3人の俳優だ。アイを演じるのは、河瀬直美監督作品『萌の朱雀』『殯の森』をはじめ、様々な作品で独特の存在感を放つ尾野真千子。どこか危うげなユウ役には、主演作『青の瞬間』や『花とアリス』などで好演を見せる郭智博。そして2009年ミスマガジンでミス週刊少年マガジンに輝いた菊里ひかりがケイという難役を映画初主演にして見事に演じている。
そのほか國村隼、萬田久子、麻生裕未、風間トオルらベテラン陣が脇を固める。映画初出演となる元タカラジェンヌ・遠野あすかの好演や、謎めいた役で映画の深みを増す内山理名の存在も印象深い。
また「蒼穹のファフナー」など数々のアニメの主題歌を担当する人気ユニット・angelaが、エンディングテーマ「『リアル』は…」を書き下ろしているのも注目点だ。
『心中天使』は、一尾監督が暮らす名古屋を拠点に制作された。地元の協力により、メジャー作品では実現困難と思われる題材が、35oフィルム撮影の作品として結実している。
- アイ:尾野真千子
- ユウ:郭智博
- ケイ:菊里ひかり(桜井ひかり)
- アイの父親:國村隼
- アイの母親:萬田久子
- ケイの母親:麻生祐未
- ケイの母親の恋人:風間トオル
- 音楽大学教授:今井清隆(特別出演)
- ユウの彼女:遠野あすか(特別出演)
- 猫を抱く女:内山理名
- 脚本・監督:一尾直樹
- エクゼクティブプロデューサー:来間紘/松波頼明
- プロデューサー:大塚馨/井澤昌平/川村晃司/阿部祥三/松波宏忠
- 撮影:金子正人
- 照明:田村文彦
- 録音:弦巻裕
- 美術監督:安藤伸
- 編集:一尾直樹
- 音楽プロデューサー:中西聡
- 音楽:倖山リオ
- 主題歌:angela「『リアル』は…」(スターチャイルド・レコード)
- 企画・制作:大風
- 製作:「心中天使」製作委員会(株式会社三晃社/テレビ愛知株式会社/株式会社ジェー・ピー/株式会社アイ・ヴィ−・シー/東山遊園株式会社/御園サービス株式会社)
- 宣伝:アルゴピクチャーズ
- 配給:マコトヤ