授業を受けているときも常に帽子とサングラス、マスクで顔を覆っている中学生のかずお。その下に隠された彼の顔は、ムンクの絵画「叫び」の人物そっくりの醜いものだった。醜い顔のためにイジメの標的になっているかずおに、ただひとり優しく接してくれる同級生が白石怜子(中学時代:赤沼夢羅)だった。
絵を描くのが好きなかずおは、玲子への想いを込めた絵をこっそりと描き続けていた。アパレル会社の社長兼デザイナーであるかずおの父親(沖正人)は、たまたま目にしたかずおの絵に優れた才能を感じ、かずおの絵をもとにした服を自分のデザインとして発表する。かずおのデザインした服は国際的なコレクションで高い評価を獲得し、父は、激しさを増すイジメのために不登校となっているかずおにデザイナーとして働くことを勧める。だが、同じころ母(林田麻里)の妊娠が発覚し、それをきっかけにかずおは自分が両親からも疎まれる存在であることを思い知らされる――。
それから20年が過ぎ、成長したかずお(中野淳史)は世間にその存在を隠されたまま、苦悩しつつも父親の影としてデザインを続けていた。一方、かずおの弟・つぎお(黒田耕平)はモデル並みのルックスながら性格は独善的。父からデザイナーでなく経営の道に進むように言い渡されたつぎおは不満を募らせ、苛立ちをぶつけるかのように兄を蔑む態度をとっていた。
そんなある日、外出したかずおは成長した怜子(亜矢乃)と偶然に再会を果たす。かずおの父の会社の服が好きで、現在は父の会社で働いているという怜子。怜子が自分のデザインを高く評価してくれているという事実は、かずおにとってなによりの悦びだった。怜子はかずおの不遇の日々に差す一筋の光となるのだが――。
ムンクの叫び
監督:葉山陽一郎
出演:中野淳史 亜矢乃 沖正人 黒田耕平 ほか
2012年5月26日(土)より池袋シネマ・ロサにてレイトショー
2012年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタルステレオ/106分
極度にデフォルメされた人物の姿が鮮烈な印象を残すエドヴァルド・ムンクの名画「叫び」。もし、この「叫び」に描かれた人物そっくりの人間が存在したら……。映画『ムンクの叫び』は、そんな発想に基づいて描かれる作品だ。
ムンクの「叫び」そっくりの容貌で生まれたために、世間からも家族から愛されることなく生きてきた男・かずお。優れたデザインの才能を持つかずおは、世間にはその存在を隠しながらデザイナーとして活躍する影の人生を歩んでいた。そんな中、かずおは中学時代に自分に優しく接してくれた唯一の同級生・怜子と再会する……。
監督・脚本は、治験を題材にした『サル』でセンセーショナルな監督デビューを果たし、『君はまだ、無名だった』『THE OHSHIMA GANG』『モルモット』など様々なジャンルの作品を手がける葉山陽一郎。『ムンクの叫び』では、差別や格差など現代社会のさまざまな病理に鋭い視線を投げかけつつ、ひとりの男の不遇な人生をロマンティックに描いていく。
主人公のかずおを演じるのは謎の俳優・中野淳史。特殊メイクアーティスト・梅沢壮一監修によるメイクを施し、本編中で一切素顔を見せずにかずおを演じきっている。そしてかずおの心の支えとなるヒロイン・怜子に『ナチュラルウーマン2010』『完全なる飼育 〜メイド、for you〜』での大胆な演技が注目を集めた亜矢乃。そのほか、葉山監督作品『モルモット』で印象深い演技を見せた沖正人や、『アジアの純真』などの黒田耕平、期待の新星・赤沼夢羅らが共演。また、人気タレントのカイヤやホラーマンガ家の御茶漬海苔が出演しているのも注目だ。
この世の中で、いったいなにが醜いのか? なにが美しいのか? 混迷の時代に『ムンクの叫び』は問いかける。
- 中野淳史
- 亜矢乃
- 沖正人
- 黒田耕平
- 林田麻里
- 赤沼夢羅
- 雑賀克郎
- 梶原龍児
- 桜井ふみ
- 井上喜充
- 草野とおる
- 山口智恵
- たいがー・りー
- 豊田崇史
- 御茶漬海苔
- カイヤ(友情出演)
- 監督・脚本;葉山陽一郎
- プロデューサー:管乃廣/沖正人
- ラインプロデューサー:小山直樹
- 撮影・編集:横山拓矢
- 照明:城倉裕紀
- 録音:高木潤
- 衣裳:佐藤真澄
- スタイリスト:菅原香穂梨
- メイク:CHIHARU
- 美術:山崎青
- 助監督:品田裕介/豊田崇史
- 制作担当:宮内隆臣
- 脚本協力:小鳥遊まり
- 特殊メイク:梅沢壮一
- 音楽:高木潤
- 製作:リーズフィールド
- 制作プロダクション:シネアスト
- 配給・宣伝:リーズフィールド
- 配給協力:ベンテンエンタテインメント