天雫健太郎(星野源)は市役所に勤める35歳。真面目で几帳面で酒もタバコもやらないが、職場の誰とも付きあいがなく、仕事が終わるとまっすぐ両親と暮らす自宅へと帰ってペットのカエルにエサをやりゲームに没頭する毎日。
結婚どころか彼女のできる見込みすらない健太郎を心配した父親の寿男(平泉成)と母親のフミ(森山良子)は、健太郎には内緒で息子の“婚活”のため、親同士が見合いする代理見合いの会に出席する。
両親が勝手に婚活しているなどまったく知らない健太郎はいつものように帰宅する途中、突然の夕立に雨宿りをしている女性を見かけた。健太郎は、思い切ってその女性に声をかけ、自分の傘を渡すと雨の中を去っていった。
実はその女性・奈穂子(夏帆)は、健太郎の両親が代理見合いで会った今井夫妻の娘だった。奈穂子が持ち帰った傘の柄に書かれた名前を見て傘の持ち主が健太郎と気づいた奈穂子の母親・玲子(黒木瞳)は、夫の晃(大杉漣)には無断で健太郎と奈穂子、本人同士のお見合いのセッティングを進め出した。
両親の必死な説得に渋々お見合い出席を了承した健太郎は、お見合いの当日、両親とともに奈穂子と再会を果たす。だが健太郎とその両親は、そのとき今井夫妻から初めてある事実を知らされる。奈穂子は病気のために視力を失っていたのだ。
お見合いの相手が健太郎なのが気に入らない晃は、健太郎では目の見えない奈穂子を支えるのは無理と決めてかかる。晃の厳しい言葉を黙って聞いていた健太郎だったが、振り絞るように自分の想いを言葉にする……。
それから、玲子のはからいで晃に内緒で会うようになる健太郎と奈穂子。ふたりの距離は次第に縮まっていく。しかし……。
箱入り息子の恋
監督:市井昌秀
出演:星野源 夏帆 平泉成 森山良子 大杉漣 黒木瞳 ほか
2013年6月8日(土)より テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
2013年/カラー/アメリカンヴィスタ/5.1ch/117分
35歳、市役所勤務、実家で両親と同居、彼女なし。そんな青年を心配した両親は、本人に内緒で親同士の“代理見合い”に出席する。そして青年はひとりの女性と会うことに。その女性に、青年は初めての恋をした……。
舞台や映画、ドラマで活躍する俳優であり、音楽家としてバンド・SAKEROCKやソロで活動、さらに著書の刊行や多数の連載を抱える文筆家としての顔も持つ星野源。多彩な活動で知られる注目の才能が『箱入り息子の恋』で初の映画主演をつとめる。
今回、星野源が演じる天雫(あまのしずく)健太郎は、無愛想で特に目標もなく、判で押したような無難な毎日を過ごしている青年だ。そんな健太郎が見合い相手の奈穂子との出会いによって次第に変わっていく姿を、星野源は見事に表現してみせた。
ヒロインの奈穂子を演じるのは『天然コケッコー』『うた魂♪』などの夏帆。『箱入り息子の恋』では、目の見えない女性という難役を持ち前の明るい透明感で演じるとともに、ラブシーンでは大人の女優としての姿も見せている。
健太郎の両親には平泉成と森山良子、奈穂子の両親には大杉漣と黒木瞳と、ベテランが共演。さらに、期待の若手女優・穂のか、テレビなどでもおなじみの竹内都子、多くの映画で印象に残る役を演じる古舘寛治ら、個性豊かな俳優陣が顔を揃えた。
監督・脚本は、PFFアワード2008グランプリ受賞作『無防備』が海外の映画祭でも高く評価され注目を集めた市井昌秀。本作では不器用にしか生きられない青年の感情のざわめきを独特の視点で描き、これまでにないタイプの恋愛映画を生み出してみせた。
音楽は高田漣が担当。エンディング曲「熱の中」は、細野晴臣のボーカルが優しく作品の余韻を包み込んでいく。
- 星野源
- 夏帆
- 平泉成
- 森山良子
- 大杉漣
- 黒木瞳
- 穂のか
- ノ俊太郎
- 竹内都子
- 古舘寛治
- 監督・脚本:市井昌秀
- 共同脚本:田村孝裕
- ノベライズ:市井昌秀+今野早苗「小説「箱入り息子の恋」」(ポプラ社刊)
- 製作総指揮:木下直哉/水口昌彦/齋藤正登
- プロデューサー:武部由実子/中林千賀子
- 撮影:相馬大輔
- 照明:佐藤浩太
- 録音:尾崎聡
- 編集:洲崎千恵子
- 装飾:松田光畝
- 助監督:副島宏司
- 衣裳:高橋さやか
- ヘアメイク:内城千栄子
- 制作担当:齋藤大輔
- 音楽:高田漣
- 主題歌:高田漣 feat. 細野晴臣「熱の中」(スピードスターレコーズ)
- 製作:「箱入り息子の恋」製作委員会
- 特別協賛:吉野家/(株)IBJ
- 制作プロダクション:キノフィルムズ/ブースタープロジェクト
- 配給:キノフィルムズ
- 宣伝協力:SKIP