石川県志賀町の港町・福浦。かつては活気のあふれた漁師町も、いまは人口減少と高齢化に直面している。だが、この町には数十年の歴史を持つアマチュアオーケストラがあった。クラシック音楽好きの水産会社社長によって創立された「福浦漁火オーケストラ」だ。若き日に名指揮者のマエストロ・オルフェンシュタインに師事しながらも不慮の事故によりプロ指揮者の道を断念した老指揮者・吉川先生を中心に、コンテストを目指して日々練習に励むオーケストラの面々だった。
ところが吉川先生が急死。町からの支援も打ち切られることになり、コンテストを来月に控えて漁火オーケストラは存亡の聴きを迎える。そんなとき、役場勤務でヴァイオリン担当の三村みどり(釈由美子)の頭に浮かんだのは、吉川先生が生前に何度か話していた孫娘のことだった。吉川先生の才能を受け継ぎ、高校生にして海外で指揮を学ぶリトル・マエストラ!
連絡をとってみると、吉川先生の孫娘は冬休みの間オーケストラの指揮をとってくれることを承諾。こうして、天才少女指揮者・吉川美咲(有村架純)が福浦にやってきた!
清楚で朗らかな美咲は、たちまちオーケストラメンバーの人気者となった。決して技術があるとはいえないオーケストラの演奏を批判することもなく、しかしときに丁寧なアドバイスを与える美咲。トロンボーン担当の漁師・荒沢源次(蟹江敬三)、トランペット担当の大野岩雄(篠井英介)とその孫でチェロ担当の高校生・正也(上遠野太洸)、フルート担当で食堂経営の井坂洋子(筒井真理子)、ティンパニ担当のタツ爺(前田吟)たちは、コンテストへ向けてこれまで以上に盛りあがっていく。
そんな中、オーケストラの練習場に東京から1本の電話がかかってきた――。
リトル・マエストラ
監督:雑賀俊郎
出演:有村架純 釈由美子 松本利夫 ほか
2013年2月1日(金)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー
2012年/カラー/1:1.85/108分
小さな港町のアマチュアオーケストラ。ずっとタクトを振ってきた老指揮者がこの世を去りオーケストラが存亡の危機に立たされたとき、老指揮者の孫娘の天才少女指揮者がやってきた!
ひとりの少女の振るタクトが、オーケストラの団員たちを、そして少女自身を変えていく。『リトル・マエストラ』は、石川県福浦を舞台に、人と人が響きあうように支えあっていく姿を描いたハートフルストーリーだ。
主人公の吉川美咲を演じるのは「ハガネの女」『阪急電車〜片道15分間の奇跡〜』など、ドラマ・映画への出演が続き注目を集める若手女優の有村架純(ありむら・かすみ)。「天才少女指揮者」ゆえの悩みや孤独、そして人々と触れあう中での変化を見事に表現してみせた。
そして、オーケストラ団員で美咲の理解者である三村みどりには釈由美子。ナチュラルな演技で等身大の女性を演じている。
そのほか、みどりの同級生・勝に人気グループ・EXILEのMATSUこと松本利夫、町の高校生・正也にジュノン・スーパーボーイコンテスト出身の上遠野太洸、オーケストラ団員に蟹江敬三、篠井英介、筒井真理子、前田吟ら、若手からベテランまで多彩なキャストが美しい演技のアンサンブルを奏でていく。
監督は『チェスト!』『海の金魚』など、人物描写に定評のある雑賀俊郎。本作でも登場人物ひとりひとりを丁寧に描くとともに、ロケーションを活かした巧みな演出で娯楽映画の気持ちよさをたっぷりと味わわせてくれる。
くじけても、胸を張って。オーケストラが奏でる曲のように「威風堂々」と。音楽の力を伝えるあたたかな感動作が誕生した。
- 吉川美咲:有村架純
- 三村みどり:釈由美子
- 荒沢源次:蟹江敬三
- 大野岩雄:篠井英介
- 井坂洋子:筒井真理子
- 大野正也:上遠野太洸
- 荒沢勝:松本利夫(EXILE)
- タツ爺(湊川辰次):前田吟
- マエストロ・オルフェンシュタイン:井上道義
- 谷口博:小倉久寛
- 監督:雑賀俊郎
- 脚本:坂口理子
- 原作:いずみ♡組
- プロデューサー:藤田修/大塚馨/砂塚隆広
- 撮影:百束尚浩
- 照明:高崎信
- 録音:田中博信
- 美術:篠田公史
- 編集:小原聡子
- 音楽プロデューサー:平山広幸
- 音楽:歌里涼
- 指揮指導:松下京介
- 音楽コーディネーター:濱口典子
- 主題歌:moumoon「うつくしい人」
- 製作:「リトル・マエストラ」製作委員会
- 制作:大風/スタジオブルー
- 配給宣伝:アルゴ・ピクチャーズ
- 宣伝協力:NAKED.INC